実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.15
手書き帳票と設計データを生成AIで検索、IHI機械システムの段階的な検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の資料探しに時間を取られている
- 手書きの帳票が活用できず眠っている
- 部門ごとに情報が散らばっている
どのようなAIの取り組み?
手書きを含む帳票や設計データを生成AIとクラウドの検索基盤でナレッジ化し、段階的な技術検証を重ねながら社内検索の強化に取り組んだ事例
業種
産業機械製造(製造業)
取り組み領域
社内の帳票・設計データ検索/ナレッジ共有
使ったAI
生成AI・RAG検索(Amazon Bedrock/Amazon Kendra)
主な成果
帳票検索の効率化と手書き帳票のナレッジ化を推進(検証を継続中)
真空熱処理炉などの産業設備を手がける株式会社IHI機械システムでは、部門ごとに管理された帳票や報告書を探すのに時間がかかり、手書きで残された書類は活用しにくい状態が続いていました。同社はアイレットの支援を受け、AWS上に生成AIを使った帳票検索の仕組みを築くプロジェクトを、PoC(小規模な試験導入)として段階的に進めています。まずAmazon Kendraによる検索精度の検証から始め、Amazon Bedrockを組み合わせて回答を生成するミニアプリの試作を経て、Generative AI Use Cases JP(GenU)をカスタマイズした生成AIユースケースサイトの構築へとつなげました。手書き帳票のデジタル化やフォルダ単位のタグ付与も併せて実施され、現在はUIの改善と社内チャットボットとしての活用が検証されています。
出典:非構造化データをナレッジ化!生成 AI を活用した帳票検索システム開発|株式会社IHI機械システム様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
探したい情報は社内のどこかにあるのに、たどり着けない。IHI機械システムが抱えていたのは、そうした状態でした。帳票や報告書は部門ごとに管理され、設計に関するデータの作り方も担当者ごとに異なっていたため、過去の事例を調べるだけで多くの時間が費やされていました。加えて、手書きや別々のフォーマットで残された帳票は、そもそもデータとして扱いにくいものです。
編集部の見立てでは、困りごとの中心にあったのは資料の量ではなく、形式と管理単位がばらばらだったことではないでしょうか。書式が揃っていなければ、検索の入り口をひとつにまとめることも、過去の知見を組織の資産として共有することも難しくなります。属人化という言葉で語られる問題の実体は、担当者の能力ではなく、探し方が個人の記憶に頼らざるを得ない構造の側にあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
要素技術を複数のステップに分けて検証する進め方が、この取り組みの骨格になっています。まずAmazon Kendraだけで検索精度を確かめ、次に検索結果をもとにAmazon Bedrockが回答を作る小さなアプリでRAG(社内の資料を検索してAIの回答に使う仕組み)の有用性を確かめ、そのうえでGenUを用いたユースケースサイトの構築へ進む、という順序が敷かれました。いきなり完成形を目指さず、確かめたい論点を一段ずつ切り分けたことで、業務に合うかどうかの判断を各段階で下せる状態が生まれています。開始時に現場での使い方をていねいに聞き取り、想定するユースケースからテスト手法を先に組み立てていたことも、検証の焦点を保つうえで効いたのではないでしょうか。
検索の対象そのものを作り替えた点も、要因のひとつです。手書きの帳票はAmazon Bedrockで文字をデジタル化して検索できるデータへ統合し、読み取りミスを抑えるためのトレーニングが重ねられています。さらに資料のフォルダごとにタグを付与し、探すための手がかりを検索エンジン側だけでなくデータ側にも持たせました。AI検索の精度はモデルの賢さよりも渡すデータの整い方に左右されるため、この順番には理があります。
現場担当者が自分でアプリを組み立てられる余地を残した設計も特徴的です。ノーコードでユースケースを追加できるGenUの機能をRAG機能搭載型にカスタマイズしたことで、新しい使い道を思いついた人が、そのたびに開発側へ依頼を出さずに形にできます。帳票が保管されたBoxとの自動連携も同じ向きにあり、資料をどこかへ移し替える手間を挟まずに検索対象へ載る流れが作られました。提案から検証、構築までを担ったアイレットが、運用の入り口を現場側へ開いておく形をとった点は、構築して終わりにしないための判断だと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公開されている範囲では、削減時間などの数値は示されていません。示されているのは、帳票検索の効率化と手書き帳票のナレッジ化が推進され、過去の問い合わせや設計不具合の履歴を検索できる仕組みが形になってきたという状態です。現在はUIの改善と社内チャットボットとしての活用が検証され、今後は帳票作成のシステム化やAIを活用した報告作業の効率化も予定されています。検証の積み重ねがそのまま次の用途を呼び込んでいること自体が、この段階での手応えと言えそうです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、資料が部門ごとに分かれて保管され、探す作業そのものに時間がかかっている職場です。文書ストレージにファイルが集まっていて、フォルダ構成にある程度の意味が持たされているなら、タグ付けと検索の組み合わせは短い助走で試せます。一方、判断の根拠が資料に残らず経験者の頭の中だけにある業務では、検索の仕組みを整えても引き出せるものが限られます。手書き帳票についても、書式が一定であれば読み取り精度を高めやすい半面、記入者ごとに欄の使い方が違う書類ばかりだと、デジタル化の前に書式を揃える工程が必要になります。
まず試すなら、直近で「あの資料はどこだったか」と探し回った場面を数件、いつ・誰が・何を探したかまで含めて書き留めてみるところから。その数件が同じ保管場所や同じ種類の書類を指しているかを眺めるだけでも、AIに任せる範囲の当たりはつきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社(アイレット)
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供し、AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、開発、運用保守、生成 AI 導入支援などを手がける。AWS コンピテンシー認定パートナー。
株式会社IHI機械システム
出典・参考情報
非構造化データをナレッジ化!生成 AI を活用した帳票検索システム開発|株式会社IHI機械システム様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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