実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.15
第一興商が生成AIで多言語変換を自動化、精度ほぼ100%を達成したツールの仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 言語や表記のちがいで検索がヒットしない
- 紙やPDFからの文字入力に人手を取られている
- 多言語のデータを扱える担当者が社内にいない
どのようなAIの取り組み?
Google Cloud の Vertex AI と生成AIを組み合わせた汎用ツールで、楽曲名・アーティスト名の多言語変換と歌詞の文字起こしに取り組んだ事例
業種
通信カラオケ(メディア・コンテンツ)
取り組み領域
楽曲検索/歌詞データ管理
使ったAI
Gemini 2.0 Flash(Google Cloud Vertex AI)
主な成果
多言語変換を運用開始、検証精度は100%に限りなく近い水準(文字起こしは検証中)
通信カラオケ「DAM」を手がける株式会社第一興商は、楽曲やアーティスト名の検索と、歌詞データの管理という二つの領域に生成AIを持ち込みました。開発を担ったのはアイレットで、Google Cloud の Vertex AI 上に、簡体字から繁体字への変換、複数の言語からハングルへの変換、画像やPDFに記された歌詞の文字起こしという三つの機能を束ねた汎用ツールを構築しています。生成AIには Gemini 2.0 Flash を採用し、言語によって別のタイトルが流通するK-POP楽曲のように、従来の機械翻訳では扱いにくかった表記にも対応させました。変換機能はすでに運用としての利用が始まっており、歌詞の文字起こし機能は現在検証中の段階にあります。
出典:生成 AI で DX を加速!Gemini 2.0 Flash で顧客体験向上と業務効率化を実現する開発および内製化支援|株式会社第一興商様の事例紹介 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
カラオケの楽曲検索では、簡体字なら見つかる曲が繁体字ではヒットしない、英語などで登録された曲名やアーティスト名をハングルで探しても正しく表示されない、といったことが起きていました。歌詞データの側でも、画像やPDFに載った歌詞を人が読み取って登録する作業が残っていた。さらに、繁体字や簡体字を含む多言語のデータを社内で整備できる担当者はおらず、変換用のプログラムを自作するにも相応の工数がかかる状況でした。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は検索の仕組みの善し悪しではなく、一つの曲が言語ごとに別の表記を持つという構造に、社内の運用体制が追いついていなかった点にあります。楽曲が増えれば表記の組み合わせも増えていくため、対応関係を人手で維持しようとすれば、担当者がいるかどうかがそのままサービスの使い勝手を左右してしまいます。
どうやって、うまくいったのか
三つの機能を別々のシステムに分けず一つの汎用ツールへ束ね、設定ファイルの変更だけで新しい変換や文字起こしを足せるようにした設計が、この取り組みの中心にあります。翻訳家の手配やシステム改修、専門的な知識を前提としないため、機能を増やすかどうかの判断が、外部への発注や開発計画の話ではなく社内の運用の範囲に収まります。目の前の課題を個別に片づけるのではなく、次に似た要望が出たときの手数をあらかじめ削っておく発想と読み取れます。
生成AIを単なる翻訳エンジンとして扱わなかったことも効いています。K-POPの楽曲のように韓国語と英語で異なるタイトルが流通している場合、文字列をそのまま置き換えても目当ての曲にはたどり着きません。Gemini 2.0 Flash を用いた処理では、それぞれの言語でどのタイトルが使われているかを踏まえたうえで変換する形をとっており、文字の変換ではなく表記の対応づけを解く問題として定義し直した点に、この用途で生成AIを選んだ意味があります。
開発と運用の内製化を前提に置き、外部のパートナーであるアイレットが土台となる仕組みづくりを担い、その後の機能追加は第一興商側で回せるようにした役割分担も見逃せません。Vertex AI に Cloud Storage、Cloud Functions、Cloud Run Jobs を組み合わせた構成は、要望ごとの受託開発を積み重ねる形とは異なり、社内で長く使い回すことを想定した作りになっています。求められる正確さの水準が異なる文字起こしを検証段階に置いたまま、変換機能から先に運用へ乗せた進め方も、二つを同じ速度で走らせない現実的な判断でした。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
多言語からの変換については、すでに運用としての利用が始まっており、検証結果は100%に限りなく近い精度に達しています。従来の機械翻訳では難しかった変換を外部リソースに頼らず処理できるようになり、コスト削減につながりました。一方、歌詞の文字起こしは検証中の段階で、手作業だったデータ入力の工数やコストの削減は今後に期待される効果という位置づけです。繁体字やハングルで検索できることによるユーザー体験の向上や、訪日観光客への利便性も、現時点では見込みとして示されています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、変換や読み取りのルールを言葉で書き下すのは難しいものの、出てきた結果が正しいかどうかは人がその場で判断できる作業を、大量に抱えている場合です。表記ゆれの吸収、紙やPDFからのデータ化などは、この条件に当てはまります。逆に、変換結果の正誤を社内の誰も判定できない領域や、一件の取り違えがそのまま事故につながる契約・請求といった業務では、同じ形をそのまま持ち込むのは難しいでしょう。
設定ファイルの変更だけで機能を増やせる作りも万能ではなく、追加したい処理が「入力を受け取る、AIが変換する、結果を登録する」という同じ骨格に乗るからこそ成り立ちます。骨格の異なる業務まで一つのツールに抱え込ませれば、汎用性はかえって失われます。まず試すなら、自社のデータの中で同じものが複数の表記で存在している箇所を一つ選び、十数件だけ生成AIに変換させて人が採点してみる。精度の当たり外れが、思ったより早く見えてきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行・運用保守や、各クラウドを用いた生成 AI 導入・活用支援サービスを手がける。
株式会社第一興商
出典・参考情報
生成 AI で DX を加速!Gemini 2.0 Flash で顧客体験向上と業務効率化を実現する開発および内製化支援|株式会社第一興商様の事例紹介
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
