実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.15
コンサル育成4〜5年を3年へ、財産コンサル会社が挑む生成AI活用
企業規模:500人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 一人前になるまで何年もかかる
- 資料作成と情報集めに時間が消える
- ベテランの勘が本人止まり
どのようなAIの取り組み?
Microsoft Copilotの活用研修を起点に、コンサルタントの育成期間短縮と暗黙知の継承を狙うAIエージェント構想へ進もうとしている取り組み
業種
財産・事業承継コンサルティング(士業・コンサルティング)
取り組み領域
コンサルタント業務/人材育成・社内DX
使ったAI
Microsoft Copilot(生成AI)
主な成果
議事録やメール下書きでの活用が広がり、育成期間3年程度への短縮を目指す段階
富裕層向けに財産承継や事業承継のコンサルティングを手がける青山財産ネットワークスは、2024年から生成AIの業務活用に着手しました。旗振り役は経営企画本部のDX推進室で、伴走パートナーには電通総研が選ばれています。コンサルタント業務の大部分がMicrosoft 365上で行われている実情を踏まえ、最初の一手に据えられたのがMicrosoft Copilotの活用研修でした。全3回のハンズオン形式で、間接部門と営業部門からそれぞれ数十名が参加しています。その先に置かれているのが独自の「AIエージェント構想」で、情報収集や資料整理、提案のストーリー構築といった作業をAIが担い、コンサルタントは対話や判断に集中する姿が描かれています。あわせて、対話ログや作業ログを集めて成果を上げているコンサルタントの進め方をデータ化する方針も構想に含まれます。
出典:コンサルタントとAIが共創する未来の働き方とは――青山財産ネットワークスの挑戦 | 事例 | インサイト | 電通総研 発行元:電通総研
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
青山財産ネットワークスが提供しているのは、顧客一人ひとりの事情に合わせたオーダーメイドの財産コンサルティングです。専門性が高いぶん一人前のコンサルタントに育つまでには4〜5年を要し、入社後の2〜3年は先輩に同行して顧客とのやり取りを間近で学ぶところから始まります。情報の収集や資料の作成といった手作業も、社内には依然として残っていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は作業量の多さではありません。案件ごとに答えが変わる仕事であるために、ベテランが何をどの順で調べ、どういう意図でその判断に至ったのかが本人の中にとどまり、外に出てこない。標準化しにくい仕事は、教材の形では渡せず同行という形でしか渡せないため、育てる側の時間も同時に消えていきます。育成期間の長さは、その構造が年数として表れたものだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最初の一手を独自システムの開発ではなくMicrosoft Copilotの活用研修に置いた順序に、この取り組みの性格がよく表れています。コンサルタント業務の大部分はMicrosoft 365のアプリケーション上で行われており、毎日開いている画面の中にAIを置くのであれば、新しい操作を覚え直す負担はほとんど生じません。パートナー選定の基準が、Azureをベースとしたパブリッククラウド環境でのカスタマイズ開発の知見に置かれた点も同じ発想の延長にあり、既存環境との地続きさを軸にした判断だったと考えられます。
研修を一方向の講義にせず、ハンズオンで組み立てた設計も効いています。受講メンバーの普段の業務内容やITリテラシーを踏まえ、電通総研とディスカッションを重ねながらプログラムを作り上げたことで、その場は知識を受け取る時間ではなく「これもできるのではないか」と用途を出し合う時間になりました。間接部門と営業部門の双方から数十名を集め、受講した初期メンバーをアンバサダー役として周囲へ広げる組み立ても、研修を一度きりのイベントで終わらせないための仕掛けです。
AIエージェント構想で核心にあたるのは、暗黙知をヒアリングで聞き出すのではなくログとして集めるという切り替えでしょう。どのタイミングで、どのような情報を、どういう意図で調べているのかという思考プロセスは本人に尋ねても言葉になりにくく、そこでAIエージェントとの対話ログや作業ログを収集・分析し、成果を上げているコンサルタントのアプローチをデータとして蓄積してAIへ戻す設計がとられました。AIを使う行為そのものが記録を生む形にした点が、この構想の勘所です。進め方の面でも、定期的に動くものを提示しながらアジャイルに検証する形がとられ、現場のユーザーが自分の肌感覚で評価できる状態が保たれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
研修の後には、会議後の議事録作成と上長への共有、メールの下書きをMicrosoft Copilotで行うようになったという声が複数寄せられています。DX推進室の発足から約1年で社内の空気も変わり、当初の「本当に実現できるのか」という受け止めは「できるかもしれない」という期待感に変わりました。提案資料のコンプライアンスチェック業務の一部をAIで代替できないか、といった具体的なニーズも現場から生まれはじめています。育成期間を4〜5年から3年程度へ短縮し、サービス品質を均一化することは、これから目指す目標として掲げられている段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、業務の大半が同じグループウェアの上で完結していて、資料作成や情報収集の過程がそのまま画面に残る職場です。まず全社で使えるAIアシスタントを議事録やメールの下書きから使い始め、手になじんでから独自の仕組みへ進むという順番は、専門職を抱える中小企業でもそのまま踏襲できます。
一方で、この事例の後半にあたるログからの暗黙知の抽出は、条件を選びます。ベテランの判断が客先での会話や手元のメモの中で完結し、AIやシステムを経由しない職場では、集めるべきログがそもそも生まれません。富裕層の財産情報のような機微な情報を扱う現場では、リスク管理と情報セキュリティの整備が先に立ちはだかる点も、この事例が率直に示しているところです。
手はじめは、来週の会議1本分の議事録をAIに下書きさせ、自分が直した箇所を眺めてみることから。直した部分にこそ、その職場でまだ言葉になっていない判断が潜んでいます。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
電通総研
Microsoft環境、特にAzureをベースとしたパブリッククラウド環境でのカスタマイズ開発に長けたIT企業。生成AI活用の伴走パートナーとして、Microsoft Copilot活用研修の企画・運営を支援した。
株式会社青山財産ネットワークス
出典・参考情報
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