実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.15
看護師の時間外労働が最大5分の1に、AI音声認識とスマホで記録業務を効率化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録の入力に追われて残業が減らない
- パソコンの空き待ちで作業が止まる
- 現場に端末を配っても使われるか不安
どのようなAIの取り組み?
医療向けのAI音声認識とスマートフォンを組み合わせ、看護師の記録業務を効率化して時間外労働の抑制につなげたAI取り組み
業種
総合病院(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
看護部門/電子カルテの記録業務
使ったAI
AI音声認識(AmiVoice iNote Lite)
主な成果
月4〜500時間だった病棟の時間外労働が100時間台に
佐賀県鳥栖市にある病床数255床の総合診療病院、今村病院は、看護師の記録業務の重さと慢性化した時間外労働に向き合うため、NTTドコモビジネスが医療機関向けに提供する『トライアルforメディカル』を利用しました。iPhone30台に、医療用語に対応したAI音声認識記録支援サービス『AmiVoice iNote Lite』と、端末を安全に管理するMDM(モバイル端末の管理サービス)『あんしんマネージャーNEXT』を組み合わせ、3カ月の試用を実施。看護師が手が空いた時間に音声入力やフリック入力でカルテに残す内容のベースを作れる環境を整えました。試用後の検証を経て、看護師の要望を反映した機能を加えたうえで本格導入に移り、端末台数を段階的に増やしています。
出典:導入事例 医療法人社団 如水会 今村病院 | NTTドコモビジネス 法人のお客さま 発行元:NTTドコモビジネス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ここ10年で外来・入院患者数、手術数、緊急搬入台数が増え、200名を超えるスタッフを抱える看護部では、慢性的な人材不足に業務フローの複雑化と医師からのタスクシフトが重なっていました。患者の高齢化で1人あたりのケアに要する時間も延び、電子カルテなどの記録では院内のPC台数が足りず、順番待ちの長い列ができる状態が続いていました。
編集部の見立てでは、この病院の困りごとの本質は記録の量そのものではなく、記録できる場所と時間が業務の流れから切り離されていた点にあります。看護師は医師やリハビリ担当、患者家族の間をつなぐ橋渡し役として院内を動き回る一方、記録だけはPCの前に戻らなければ一歩も進みません。動きながら発生した情報を、動いたまま残せない構造が、勤務終了後にまとめて片づける入力作業として積み上がり、時間外労働という形で表面化していたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
導入を決める前に3カ月という長さの試用期間を確保した設計が、この取り組みの起点になっています。実際、最初の1カ月はほとんど使われず、2カ月目から利用率が上がり、3カ月目に終了予告をすると継続を望む声が現場から出ました。新しい端末への警戒が解けるまでの助走を、効果測定の期間にあらかじめ織り込んだ判断です。1カ月で区切っていれば、まだ使われていない状態のまま「効果なし」と結論づけていた可能性は小さくありません。
説明会を開く余裕がないまま始まった運用を支えたのは、端末に1から10まで番号を振り、その日誰が何番を持つかをホワイトボードに掲示するという、ごく単純な割り当ての仕組みでした。共用の端末は誰の持ち物でもないぶん放置されがちですが、番号と担当者を紐づけたことで、持ち出しと返却が日々の手順に組み込まれます。あわせて、渡すそのタイミングで操作をレクチャーし、慣れない看護師の抵抗感をほぐしていく進め方が取られました。仕組みで使う機会をつくり、対面で使い方を手渡す二段構えが、定着の分かれ目になったのではないでしょうか。
試用の結果をそのまま本番に流し込まず、看護師アンケートで要望が集まったiPhoneのカルテ対応を加えてから本格導入へ進めた段取りも効いています。薬剤投与時に患者・薬剤・看護師の3点に誤りがないかを確認する仕組みや、患者ごとのバイタル確認まで端末で完結させたことで、音声入力の道具から日常業務の土台へと位置づけが変わりました。患者の個人情報を扱う前提でMDMによる不要アプリの制限を試用の段階から組み込んでいる点も、安全性の担保を後付けにしない構成として読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
試用終了時の検証では、医療用語に特化した音声認識で記録業務を支えるAmiVoiceについて、約7割が「記録業務の負担が軽減できた」「時間外労働の削減に貢献した」と回答しています。本格導入後は、師長就任時に月4〜500時間あった病棟の時間外労働が300時間台、200時間台へと下がり、直近では100時間台まで抑えられました。端末は13台から23台に増え、患者のケアという本来注力すべき業務に時間を向けられる環境に近づいています。院内DXの取り組みは求人での訴求材料にもなり、近隣病院からの見学も相次いでいます。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、担当者が動き回りながら情報が生まれ、記録だけは決まった端末の前に戻らないと進まない仕事です。訪問型のサービスや設備保全、店舗の巡回点検などは、その場で音声の下書きを残せるだけで後工程の手戻りが減る余地があります。反対に、この事例が成り立った前提として、医療用語に対応した音声認識と、機微な情報を扱う端末を管理する仕組みが最初から一体で用意されていた点は見落とせません。専門用語の変換精度が実用に届かない分野や、端末管理の運用を引き受ける担当がいない組織では、同じ形では回らない可能性があります。
小さく試すなら、一つの部署に数台だけ渡し、誰がいつ使うかを紙一枚で決めて回してみる。そのうえで、数週間ではなく数カ月の使われ方を見てから判断する。最初の低い利用率で見切りをつけないこと、これがこの事例から持ち帰れる実務的な示唆です。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTTドコモビジネス
医療機関向けにiPhoneとAI音声認識記録支援サービス「AmiVoice iNote Lite」、MDMサービス「あんしんマネージャーNEXT」をワンパッケージで試用できる「トライアルforメディカル」などのICTサービスを提供する法人向け事業者。
医療法人社団 如水会 今村病院
出典・参考情報
導入事例 医療法人社団 如水会 今村病院 | NTTドコモビジネス 法人のお客さま
発行元:NTTドコモビジネス
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