実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.14
ポーラ・オルビスHDが内製した社内マニュアル検索AI、RAGで精度を検証
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- マニュアルが多すぎて探せない
- 新人から同じ質問を何度も受ける
- せっかくの社内資料が使われない
どのようなAIの取り組み?
Azure上に整えた基盤とRAGを使い、社内マニュアルを検索できるチャットボットを自社開発し、グループ会社の設計部門で試験運用したAI取り組み
業種
化粧品(製造業)
取り組み領域
社内マニュアル・ドキュメント検索
使ったAI
Azure OpenAI Serviceを用いたRAGチャットボット(生成AI)
主な成果
PoC(小規模な試験導入)で正しい文書を提示する確率の高さを確認
化粧品事業を軸に複数ブランドを展開するポーラ・オルビスホールディングスは、グループ全体の業務効率化と生産性向上に向けて、生成AIを動かすためのインフラ環境をMicrosoft Azure上に整えました。セキュリティ面の判断からAzure OpenAI Serviceを選び、その基盤の上に社内文書を検索できるチャットボットアプリを自社の手で開発しています。構築を丸ごと外部へ委ねるのではなく、クラスメソッドからアドバイザリーとしての技術支援を受けながら進めた点が、この取り組みの特徴です。インフラは2023年11月から約1ヶ月で立ち上がり、2024年1月にアプリが完成。グループ会社のポーラ化成工業では、包装設計部門でPoC(小規模な試験導入)を行い、社内マニュアルの検索用途で効果を確かめています。
出典:ポーラ・オルビスホールディングス様事例|Azureによるインフラ環境を迅速に構築生成。AIチャットボットのPoCで効果を実感|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
同社の総合企画室でグループのDXを進めるチームが向き合っていたのは、社内で参照する機会の多いマニュアルやドキュメントの検索性の低さでした。とりわけポーラ化成工業の包装設計部門では、ISOの標準規格から製造ライン向けのルールまで参照すべき文書が数多くあり、まだ業務に慣れていない新入社員や中途入社の社員が「どのマニュアルのどの部分を参考にすればいいのか分からない」という状態に置かれていました。
ここで見落としたくないのは、文書そのものは適切に作成・更新されていたという点です。困りごとの本質は、情報が不足していたことでも整備が滞っていたことでもなく、必要な一節にたどり着く経路が個人の記憶と経験に握られていたことだったのではないでしょうか。経験の浅い人ほど、探すための手がかりになる用語自体を持っていません。検索性の低さという言葉の下にあったのは、この非対称だと編集部は見ています。
どうやって、うまくいったのか
開発の座組みを「委託」ではなく「伴走」に置いた選び方が、この取り組みの土台になっています。社内にAWSの知見を持つ従業員はいてもAzureの知見は少ないという現状を踏まえたうえで、環境一式を発注するのではなく、自分たちで手を動かせるよう助けるアドバイザリー型のパートナーを探しました。支援側は相談をそのまま受け入れるのではなく、リスクがある場合は説明したうえで止め、代案をメリット・デメリットとともに提示する形で関与しています。開発の途中でMicrosoft TeamsだけでなくSlackとの連携を足したときも、セキュリティ面を考慮した検討を挟んで対応が進みました。
精度を押し上げたのは、回答生成を一つの大きなタスクとして処理せず、細かい単位に分割した設計です。質問から回答までを一息に任せてしまうと、どこで判断を誤ったのかが見えないまま出力だけが返ってきます。工程を刻んでおけば、検索と生成のどちらに問題があるのかを切り分けながら手を入れられる。あわせて回答には必ず参照元の資料URLを添える作りとし、利用者が原典に当たって確かめられる状態を保っています。
検証の場に包装設計部門を選んだ判断も見逃せません。ここは参照文書が多く経験の浅い従業員が最も困っていた領域であると同時に、文書が適切に作成・更新されていた領域でもありました。RAG(社内の文書を検索してAIの回答に活用する仕組み)は元になる文書の状態をそのまま結果に映すため、整った文書が揃う場所を最初の検証先に据えたことは、手法の実力を正しく測るうえで理にかなった置き方だったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
包装設計部門でのPoCでは、ユーザーが質問した内容に対して正しいドキュメントを提示する確率が高いという結果が得られています。定量的な数値までは示されていないものの、この手応えを受けてポーラ化成工業では対象部門を段階的に広げる方針を取り、ホールディングス側もグループ全体での生成AI活用を進める予定です。検証段階の結果がそのまま次の展開の判断材料になっている点に、この取り組みの現在地が表れています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、参照すべき文書が多く、しかもその文書が定期的に更新されている職場です。規格や製造ラインのルールのように、答えが文書の中に確実に存在していて、探し出す手間だけが問題になっている業務は、この事例と構造がよく似ています。反対に、判断の根拠が文書化されておらず、熟練者の頭の中や個別のやり取りに散らばっている領域では、同じ作りを持ち込んでも参照先そのものが存在しないため、期待した精度は出にくいでしょう。文書の更新が止まっている場合には、古い記述をそのまま自信ありげに返してしまう危うさもあります。
最初の一歩として現実的なのは、直近で新人から寄せられた質問をいくつか書き留め、その答えが今ある文書のどこかに本当に書かれているかを確かめてみることです。書かれていない質問が多いなら、AIより先に文書を直す番。書かれているのに探せていないのなら、この事例と同じ土俵に立っています。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWS・Google Cloud・Microsoft Azure などのクラウド導入支援や生成AI総合支援、データ活用、アプリ開発、セキュリティ、組織開発・人材育成などを提供する企業。生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援し、実績は5,600社以上。
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
出典・参考情報
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