実施 2025.11 ・ 更新 2026.08.14
京王電鉄の顧客データを2カ月で統合、生成AIも組み込んだデータ基盤の構築
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 事業や部署ごとにデータが散らばっている
- データを分析できる人が社内に足りない
- 既存システムを残したままAIを使いたい
どのようなAIの取り組み?
Databricks を使い、グループ横断の顧客データ統合基盤を2カ月で本番稼働させたAI取り組み
業種
鉄道業(運輸・物流)
取り組み領域
顧客データ統合・分析/マーケティング
使ったAI
Databricks(データ分析基盤)と生成AI機能「AI/BI Genie」
主な成果
2カ月で顧客データ統合基盤が本番稼働
鉄道を軸に不動産やホテルなど複数の事業を持つ京王グループでは、経営統括本部デジタル戦略推進部が中心となり、グループ横断の顧客データ統合基盤(CDP。顧客の属性や行動履歴を集めて施策に活かすための基盤)を整備しました。支援したのは、クラウドとAIの導入を手がける株式会社ナレッジコミュニケーションです。京王グループはすでにグループ共通のAWSアカウント上のAmazon S3にデータを集約し、DWHとしてAmazon Redshiftを利用していたため、データ移行や新しいDWHの構築を伴わず、既存環境と共存する形でDatabricksを構築する構成が採られました。アクセス経路はAWS PrivateLinkで閉域に限定し、グループの閉域網からのみ接続できるという既存のセキュリティポリシーを維持しています。設計・構築から初期の分析環境整備までを2カ月で終え、本番稼働に到達しました。
出典:【支援事例】京王電鉄株式会社様、Databricks によるCDP基盤構築を2カ月で稼働開始 | 株式会社ナレッジコミュニケーションのプレスリリース 発行元:株式会社ナレッジコミュニケーション
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
京王グループは2020年頃から利用者の利便性向上を目的にDXを進め、交通情報やグループ共通ポイントサービスを扱う京王アプリのリニューアルにあわせて、グループ各社のWebサービスのID統合を進めてきました。その結果、お客様の移動に関する情報や購買に関する情報は集まるようになりましたが、それらを横断して分析する基盤づくりと、AIを使った顧客分析が主な課題として残っていたのです。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとはデータの量や種類が足りないことではなく、事業ごとに分かれたまま置かれたデータを一つの視点で並べて見る場所がなかったことにあります。ID統合は、バラバラの記録を「同じお客様のもの」として束ねるところまでを担う仕組みです。束ねた先で誰がどう分析し、どんな施策につなげるのかは、それとは別に用意しなければならない。基盤が空いたままでは、せっかくつながった移動と購買の情報も、事業単位の報告材料にとどまります。
どうやって、うまくいったのか
既存のAWS環境をそのまま土台にできるかどうかを、製品選定の最初の条件に据えた判断が効いています。データがS3に集まり、DWHも動いている状態から、データ移行や新規DWH構築を前提とする構成を選べば、着手の前に大がかりな合意形成と作業が必要になります。現行環境と共存できる構成に絞り込んだことで、議論の中心を「どこへ移すか」ではなく「どう横断して見るか」へ寄せられたのではないでしょうか。従量課金で人的・金銭的・運用面の負担を抑えたPoC(小規模な試験導入)を先に回せたことも、判断の前に手を動かす余地を生んでいます。
セキュリティ要件を後回しにせず、設計の初期条件として扱った点も見逃せません。グループの閉域網からのみアクセスできるという既存ポリシーは、新しい分析基盤にとっては明らかな制約ですが、ここではAWS PrivateLinkでフロントエンドとバックエンドの双方を閉域で結び、ポリシーを変えずに基盤を置く道が選ばれています。閉域の内側に基盤があれば、利用者を事業部門へ広げるたびにセキュリティの検討をやり直す必要がなくなる。展開の速度を左右するのは、機能の多さよりこの種の前提の置き方だと考えられます。
分析の担い手を増やすことまで選定基準に含めた設計も、この取り組みの特徴です。Databricksに標準搭載された生成AI機能「AI/BI Genie」を使えば、SQLの知識がないビジネス側の担当者でも自然言語でデータを集計・分析でき、データサイエンティストの増員を前提にせずマーケティングの検討を進められます。既存AWSアカウント内に置くがゆえのインフラ制限やネットワーク経路といった独自要件については、支援側が要件の整理からコンソール作業の手順整備、実作業までを伴走し、技術チームへのハンズオンによる内製化支援も担いました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
これまで使っていたAWSからの日次データ取り込みと、各種データを横断して分析する環境は早い段階で整い、設計・構築から初期分析環境の整備までを含めて2カ月で本番稼働に到達しました。閉域網の内側に構築したことで、事業部門へのAI/BI Genie展開を含めセキュリティ面を気にせず進められた点を、京王電鉄側は高く評価しています。顧客分析の効率化・精度向上は今後の期待として語られている段階で、旧基盤からのデータ移行や横断分析の定常化、事業部門によるセルフサービス分析の促進もこれから進める予定です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、クラウド上にデータはすでに集まっているのに、事業や子会社ごとに分かれていて横断して見られない、という状態の組織です。既存のDWHを止められない、閉域網からしか接続させられないといった制約がある場合でも、現行環境と共存できる構成を条件に候補を絞れば、移行を伴う大きな計画にしなくても着手できる可能性があります。従量課金の製品なら、投資判断の前に小さく試して社内で結果を見せられる点も現実的です。
一方で、そのままなぞりにくい条件もあります。この事例では、事前にWebサービスのID統合が進み、移動と購買の情報が同じお客様のものとして結び付く下地ができていました。会員IDが事業ごとにバラバラだったり、データが紙や個別システムに閉じていたりする場合は、基盤の前段でその整備が必要になり、同じ進み方は望めません。自然言語で集計できる機能も、元のデータの整い方に結果が左右されます。
まず確かめるとよいのは、いまの社内ルールで新しい分析基盤にどこまで接続を許せるのかという点です。情報システム部門に閉域網やアクセス経路の条件を先に聞いておけば、製品比較の段階で候補が現実的に絞れます。
この事例は2025年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ナレッジコミュニケーション
「破壊的イノベーションで世界の在り方を変える」をミッションに掲げ、「AI×クラウド事業」「VR・AR事業」「Education事業」の3領域を展開。クラウド&AIの利活用コンサルティングや導入・開発支援、運用サポート等を通じて顧客のAX(AIトランスフォーメーション)を支援する。国内最初期からのDatabricks認定パートナー。
京王電鉄株式会社
出典・参考情報
【支援事例】京王電鉄株式会社様、Databricks によるCDP基盤構築を2カ月で稼働開始 | 株式会社ナレッジコミュニケーションのプレスリリース
発行元:株式会社ナレッジコミュニケーション
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
