実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.14
ミルボンが美容室向け生成AIを研究開発、AIエージェント分業で接客を支援
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 接客の提案内容が人によってばらつく
- 社外に出せない自社ノウハウをAIに使いたい
- 商品が増えるたびにAIを作り直したくない
どのようなAIの取り組み?
複数の生成AIエージェントを専門領域ごとに分業させ、美容室での接客から施術提案までの支援を狙って研究・開発に着手したAI取り組み
業種
美容室向け事業(生活関連サービス)
取り組み領域
美容室の接客・カウンセリングから施術提案
使ったAI
Amazon Bedrock(生成AI/複数AIエージェント連携)
主な成果
応答時間の短縮と精度向上を目指す研究・開発を開始
ミルボンが発表した「美容室向け生成AIサービスの研究・開発」プロジェクトで、クラウドAI導入支援を手がけるナレッジコミュニケーションが技術支援を開始しました。土台に選ばれたのは、AWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrockと、2025年3月に一般提供が始まったMulti-Agent Collaboration(複数のAIエージェントを連携させる機能)です。専門領域ごとに置いたサブエージェントを統括役のエージェントがまとめ、タスクを細分化して並列に処理する構成をとり、顧客カウンセリングから施術提案までの応答時間を縮めつつ精度を高めることを目指します。ナレッジコミュニケーション側は「AIアクセラレーターパック for Amazon Bedrock」を通じて、構想を短期間で検証・実装できる環境を用意する役割を担います。
出典:ミルボンの美容室向け生成 AI サービスの研究・開発を、Amazon Bedrock マルチエージェントコラボレーション機能を活用し支援 | 株式会社ナレッジコミュニケーションのプレスリリース 発行元:株式会社ナレッジコミュニケーション
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあるのは、顧客ニーズの多様化と、デジタルでの接客を求める声の高まりという美容業界の変化です。これに対しミルボンは、生成AIを駆使して満足度の高い美容室体験を創造し、業界のDXを牽引するという方針を掲げています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「人手が足りない」という量の問題ではなく、蓄積された自社ノウハウが、目の前の一人の顧客に向けた提案の形になるまでに距離があることではないでしょうか。カウンセリングから施術提案へ至る流れには、状態の聞き取り、見極め、製品や施術の組み合わせといった性質の異なる判断が連なります。この連なりを個々の熟練だけに委ねている限り、ノウハウは社内に積み上がっても、現場ごとの再現性は上がりにくい。研究・開発の照準が単発の機能ではなく応対の流れ全体に置かれているのは、その構造を見据えた選択だと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
統括役のエージェントの下に専門領域ごとのサブエージェントを並べ、タスクを細分化して並列に処理する構成が、この取り組みの中心にある判断です。ひとつのAIに応対の全工程を背負わせるのではなく、業務フローに沿って役割を割り振る形にすれば、各エージェントが引き受ける範囲も、参照すべきノウハウの範囲も絞り込めます。守備範囲を狭くとる設計は、応答の速さと確からしさを同時に狙ううえで理にかなった切り分けと言えるでしょう。
拡張の単位をあらかじめ機能ごとに区切っておく考え方も、実運用を見据えた工夫です。新製品が追加されたり各種業務マニュアルが刷新されたりした際に、関係するエージェントだけを差し替えたり足したりできる構造にしておけば、更新のたびに全体を作り直す必要がなくなります。変化の多い領域でスケーラビリティとガバナンスを両立させる狙いが、この単位設定には表れています。
基盤の選び方が、データの扱いから逆算されている点も見逃せません。顧客データがモデルの学習に使われないこと、堅牢なセキュリティフレームワークの下で企業データを保護できること、複数の最新モデルを単一のAPIで使い分けられることが選定理由として挙がっており、独自ノウハウをセキュアな閉域環境に置いたまま生成AIと連携させる前提が先に固められています。プランニングとオーケストレーションをAmazon Bedrock上で一元管理する集中管理の構えも同じ発想の延長にあり、そこへ外部パートナーであるナレッジコミュニケーションが検証・実装環境を持ち込む分担が重なることで、環境づくりの負荷と研究・開発そのものが切り分けられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
公表時点では技術支援を開始した段階であり、削減率や短縮時間といった数値の成果はまだ示されていません。掲げられているのは、応答時間の短縮と精度向上、機能単位でのエージェント拡張、Amazon Bedrock上での一元管理といった目指す価値です。両社は「AIアクセラレーターパック for Amazon Bedrock」を用いた研究・開発を通じて生成AI活用の知見を共に蓄積し、新たな美容室体験につながる新規デジタルサービスの開発を進める方針を示しています。成果の検証はこれからの段階にあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、対応の流れがいくつかの段階に分かれていて、段階ごとに参照する知識が異なる業務です。聞き取り、状態の見極め、提案という順序があり、それぞれで見る情報が違う仕事であれば、役割別のエージェントに切り分けて統括役に束ねるという組み立て方は業種を問わず検討に値します。反対に、判断の材料が一つの文書や一つのデータベースに収まっていて工程の分岐も少ない業務では、複数エージェントを束ねる構成は管理の手間ばかりが増えかねません。今回のように新製品やマニュアルの更新が頻繁に発生する前提がなければ、機能単位で拡張できる利点も効きにくいでしょう。
まず試すなら、自社の代表的な応対を一本、最初の接触から提案までの順に書き出してみて、どこで参照する情報が切り替わるかに線を引いてみてはいかがでしょうか。その線が引ける場所が、エージェントを分ける候補になります。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ナレッジコミュニケーション
クラウドAI導入支援・データ活用コンサルティングを手掛ける企業。国内のAWSサービスパートナーで唯一のMachine Learningコンピテンシーパートナーとして、クラウドAI導入ノウハウを活かした技術支援を提供する。代表取締役は奥沢明。
株式会社ミルボン
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
