実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.14
コールセンターの通話を自動要約、記録の後処理を毎日6時間縮めた設計
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 通話後の記録づくりに時間を取られている
- 担当者ごとに記録の詳しさがバラバラ
- 引き継ぎ時の情報不足で確認が二度手間
どのようなAIの取り組み?
すでに使っていた通話基盤に生成AIを組み合わせ、通話の自動文字起こしと要約生成でコールセンターの対応記録を平準化したAI取り組み
業種
オフィス用品通販(小売・流通・EC)
取り組み領域
コールセンター/通話後の記録作成
使ったAI
Amazon Bedrock(生成AI)+通話の自動文字起こし
主な成果
対応記録の後処理を全体で毎日約6時間短縮
文具・事務用品からオフィス家具までを扱うオフィス用品通販、プラス株式会社ジョインテックスカンパニーのコールセンターでは、CRM部の約20名のオペレーターが1日600本強の問い合わせに対応しています。通話基盤には2019年6月からAmazon Connectを採用していましたが、通話後に残す対応記録は自由記入で、書く人によって情報量に差が出ていました。2025年春からクラスメソッドへのヒアリングを重ね、同年10月に着手したのが、Amazon Connectと生成AIサービスのAmazon Bedrockを組み合わせた自動文字起こしと要約の自動生成です。クラスメソッドが方式検討と設定方法のレクチャーを担い、実装は同社ITアクセラレーター部の担当者が自社のAWS環境で進める技術支援型の体制をとり、プロンプトの調整を経て2025年12月に運用が始まりました。
出典:プラス様事例|低コストが決め手でコールセンターへAI導入。自動文字起こしと要約自動生成で対応記録を平準化|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コールセンターに寄せられる問い合わせは、商品仕様や納期、配送時間からWebフォームの操作方法まで幅広く、通話が終わるとオペレーターはその内容を記録に残します。この記録が自由記入だったため、どの項目をどこまで詳しく書くかは各自の技量に委ねられ、記録に時間がかかる人が出たり、受発注処理や見積作成を担うバックエンド側へ引き継ぐ際に情報が足りなかったりする状態が続いていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは文章を書く速さの差ではなく、「次に動く人が何を知っていれば仕事を進められるか」という基準が言語化されないまま、個人の判断に置かれていた点にあります。基準がなければ、丁寧な人ほど時間を使い、簡潔な人ほど情報が落ちる。文字起こしの精度に満足できず、コールセンター向けパッケージ製品はオーバースペックで見送ったという過去の検討も、求めるものの輪郭が定まらないうちは製品比較に落とし込めなかったことの表れではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
コールセンター製品そのものを入れ替えるのではなく、すでに稼働しているAmazon Connectに、要約を担うAmazon Bedrockを組み合わせるという構成の取り方が、この取り組みの土台になっています。Amazon Connect側に要約機能がないぶんを、同じクラウド内の別サービスで補う形です。機能一式を新たに買うのではなく、足りない一機能だけを既存環境に継ぎ足す判断が、コストを理由に一度は諦めた領域への着手を可能にしたと考えられます。
要約の実用性を左右したのは、プロンプトを一本にまとめなかった運用設計でした。オペレーターが手動で選ぶコールリーズンは大分類だけで約20種類あり、当初はひとつのプロンプトで全分類をまかなう作りでしたが、狙った要約にならない問い合わせが残ったため、プロンプトの種類を増やす方向へ切り替えられています。通話内容を300字から400字にまとめたうえで商品コードなどの定型項目は別途記録させるという出力形式の決め方や、顧客が長い数字を区切って発音するせいで6桁の商品コードに空白やハイフンが混ざる現象への補正は、机上の設計では出てこない類の調整です。ベースとなるプロンプトを支援側が用意し、それを自社環境で試しながら磨いていくという分担が、この細かさに耐える進め方でした。
請負契約で実装を任せ切らず、方式検討とレクチャーをクラスメソッドが、自社AWS環境への実装を同社の担当者が担う役割分担も見逃せません。2週間に1回の定例会議に加えて個別の技術的な問い合わせにも応じる体制があったため、要約完了まで15分かかっていた初期実装を文字起こし精度とAIモデルの調整で通話終了後のリアルタイム出力に変え、混雑によるタイムアウトはAmazon Bedrockへのリクエスト先を国内リージョン限定からグローバルへ広げて回避する、といった手当てをその都度打てています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
運用開始後は通話終了後の処理時間が縮み、オペレーター全員の稼働時間の合計で毎日6時間ほどの短縮になっています。当初はAIが通話内容を要約することへの抵抗感もありましたが、今では会話に集中するための機能として受け入れられました。引き継ぎ先でも、以前は「〇日まで希望」としか残らなかった記録になぜ急いでいるのかという背景まで含まれるようになり、各方面との調整が進めやすくなっています。社内の電話回線へも適用範囲が広がり、蓄積した文字起こしや要約のデータ分析、チャット問い合わせへの要約機能の展開も視野に入っています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、通話や面談の内容が自由記入で記録され、その記録を別の担当者が受け取って次の作業に移る業務です。録音と文字起こしができる基盤がすでにあるなら、要約の部分だけを生成AIで足す構成は現実的な選択肢になります。一方で、この事例の要約が機能しているのは、コールリーズンという分類が約20種類ですでに運用されていたからでもあり、問い合わせの型が定まっていない業務では、まず何を軸に分けるかを決めるところから始まります。商品コードの表記ゆれのような細部は自社でしか気づけないため、実装後も手を入れ続けられる担当者を社内に置けるかどうかが、成否を分けるところ。
はじめの一歩は、直近の通話を1本選び、その記録を受け取る側の担当者に「これで動けるか、何が足りないか」を尋ねてみることです。要約に何を書かせるべきかの答えは、書く人ではなく受け取る人の側にあります。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWS総合支援や生成AI総合支援、データ活用・アプリ開発などを手がけるクラウド関連企業。AWSのAIサービスAmazon Connectを活用したクラウドコンタクトセンターの環境構築・サービス設計を支援する。
プラス株式会社
出典・参考情報
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