実施 2026.05 ・ 更新 2026.08.15
Trip.comの日本市場でのアプリ獲得、AI生成動画と成果報酬型広告の設計
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広告の獲得コストが上がり続けている
- 申込後のキャンセルで成果が読めない
- 広告素材を量産しても効果が伸びない
どのようなAIの取り組み?
AIが生成する動画クリエイティブと成果課金型の広告運用を組み合わせ、日本市場でのアプリ獲得と収益成長に取り組んだ事例
業種
オンライン旅行会社(宿泊・観光)
取り組み領域
マーケティング/アプリ広告運用
使ったAI
AI生成動画クリエイティブ、AIユーザーモデリング
主な成果
収益とアプリのインストール数が大幅に成長
39の国と地域で旅行予約サービスを展開するTrip.comは、アジア事業の拠点と位置づける日本市場での成長を狙い、AIマーケティング企業のAppierと戦略的パートナーシップを結びました。GoogleやMetaといった主要プラットフォームでの獲得コストが高騰するなか、オープンインターネット上に新しい高品質なトラフィックを開拓することが出発点です。取り組みの柱は、アプリの新規ユーザー獲得、一度接触したユーザーへの再配信(リターゲティング)、そして広告クリエイティブの生成という三つ。旅行予約につきもののキャンセルや変更を前提に、成果に応じて費用が決まるCPS(Cost per Service)課金へ対応する入札の仕組みも、この事例に合わせてカスタマイズされました。結果として、収益とインストール数の大幅な成長が報告されています。
出典:AI活用による収益成長の推進:Trip.com、Appierとの連携を通じて日本市場でのプレゼンスを強化しグローバル展開を加速 | Appier 発行元:Appier
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
日本のオンライン旅行市場は競争が激しく、主要プラットフォームでのユーザー獲得コストが上がり続けていました。加えて旅行予約はキャンセルや変更が日常的に発生するため、成果に応じて費用が決まるCPS課金では、どの予約が最終的に成果として残ったのかを追跡し精算する精緻な仕組みが要ります。グローバルブランドとして、広告が掲載される環境の健全性、いわゆるブランドセーフティの確保と、ボットによる不正なトラフィックの排除も譲れない条件でした。
編集部の見立てでは、この三つは別々の課題ではなく、一つの困りごとの三つの側面です。既存の広告面が飽和したから外へ出る、しかし外へ出た瞬間に「その流入は本当に売上につながる人の行動なのか」を自力で見極めなければならなくなる。困りごとの本質は、出し先を増やすことそのものではなく、増やした先の質を自社の会計の基準で確かめられるかどうかにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
成果に応じて費用が決まるCPS課金に合わせて入札モデルをカスタマイズした点が、この取り組みの土台になっています。旅行予約は後からのキャンセルや変更で成果が動くため、クリック単価やインストール単価だけを追う一般的な運用では、広告の評価と事業の売上が少しずつずれていきます。確定した取引を基準に据えて入札を設計するやり方は、広告運用の目的を「安く集める」から「残る予約を集める」へ置き換えるものです。
クリエイティブを一律に量産せず、訴求の性質で二種類に分けた設計も効いていると考えられます。割引や会員限定の特典、明確なCTA(行動喚起)を前面に出した「機能的価値」型のネイティブ動画は新規獲得に、使いやすさの場面を描いた「情緒的価値」型のフルスクリーン動画は再購入の後押しに、それぞれ強みを発揮しました。同じサービスでも、初めて使う人を動かす理由と、一度使った人がまた開く理由は別物です。生成AIで素材の数を増やせるようになったからこそ、増やす方向を訴求軸で切り分けて管理し、表示回数の制御と組み合わせたところに意味があったのでしょう。
配信面の分析結果を、そのままクリエイティブの出し分けへ接続している点も見逃せません。パフォーマンスの高い広告枠カテゴリーを調べたうえで、キャッシュバックアプリや金融アプリを使う価格に敏感な層には特典を打ち出した素材を届ける、という具合に、どの面に誰がいるかという観察を素材づくりへ折り返しています。面の開拓とクリエイティブ制作を別々の工程に置かず、一つのループとして回す構えが、開拓したばかりの在庫を使いこなす条件だったと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
このパートナーシップを通じて、収益とインストール数の大幅な成長が示されています。具体的な数値は公表されていないため、成長の規模までは読み取れません。それでも、特典訴求のパーソナライズ配信が全体のインストール数を押し上げ、情緒的価値を訴える動画が再購入の促進に有効だと確かめられたというように、どの打ち手が何に効いたのかが切り分けて語られている点は、次の投資判断に直結する収穫です。両社は2026年に向けて協業を深める方針で、ダイナミックレコメンデーション、位置情報マーケティング(LBS)、アプリをまたいだデータ分析が次の重点分野として挙げられています。
うちでも使える?
同じ考え方が生きるのは、申し込みや予約が後からキャンセル・変更される商材を扱っていて、最終的に残った取引を自社のデータで追えている場合です。旅行に限らず、定期購入や来店予約のように「申し込み=売上」とは限らない業種であれば、広告の評価軸を確定した取引に寄せるという発想はそのまま持ち込めます。
一方で、この設計は配信量がある程度ないと成立しにくい面があります。訴求軸ごとにクリエイティブを分けて優劣を確かめるには比較に足る表示回数が必要ですし、成果課金に近い運用は、予約データと広告データを突き合わせる仕組みが前提になります。掲載面の健全性やボットの排除のように、自社だけでは検証しきれずパートナーの技術に委ねる部分が残ることも、判断材料に入れておきたいところ。
まず動かすなら、直近の広告素材を「特典や価格を訴える型」と「使い心地を描く型」に分けたうえで、新規の申し込みと再利用のどちらに効いていたかを並べて眺めてみてはどうでしょうか。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Appier
AIを活用したマーケティングソリューションの世界的なリーディングカンパニー。獲得・エンゲージメント・コンバージョンまでカスタマージャーニーに沿ったワンストップ型AIソリューション(Ad Cloud、Personalization Cloud、Data Cloud)を提供している。
Trip.com
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
