実施 2025.11 ・ 更新 2026.08.14
デンソーが熟練エンジニアの技術をAIで継承へ、ナレッジ管理システムの構築を開始
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテラン頼みの業務が多い
- 退職や異動で技術が途切れる
- 資料はあるが必要な情報を探せない
どのようなAIの取り組み?
熟練エンジニアの技術や情報をAIに学習させ、誰もが検索して使える形に変えるナレッジマネジメントシステムの構築に着手したAI取り組み
業種
自動車部品製造(製造業)
取り組み領域
研究開発/技術ナレッジの継承
使ったAI
AIを活用したナレッジマネジメントシステム
主な成果
属人化の解消と生産性向上を目指し構築を開始
自動車部品メーカーのデンソーが、熟練エンジニアの持つ技術や知見を次世代へ引き継ぐ仕組みづくりに乗り出しています。組むのは、長年の取引関係にある富士ソフトです。両社は2025年11月、熟練エンジニアのナレッジをデジタル化し、社内の誰もがデータベースから必要な情報を抽出して活用できるようにするナレッジマネジメントシステムの構築を開始しました。蓄積した技術や情報はAIに学習させ、探して引き出す部分をシステム側が支える形を目指しています。背景にあるのは、グローバル展開に伴う人財の流動性と業務の属人化です。狙いとして掲げられているのは技術や情報の可視化と活用による属人化の解消、生産性の向上、そして次世代へのナレッジ継承の促進で、取り組みはまだ構築の入り口にあります。
出典:ニュース(20251128) | 富士ソフト、株式会社デンソーのナレッジマネジメントシステム構築を開始 AIの活用で熟練エンジニアがもつ技術や情報を次世代へ継承 |富士ソフト株式会社 発行元:富士ソフト株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
デンソーが抱えていた課題意識は、グローバル展開に伴う人財の流動性と属人化の影響で、熟練エンジニアのナレッジ継承が進みにくくなっていたことでした。
編集部の見立てでは、この困りごとの芯は「教える時間が足りない」という量の問題ではなく、知識の所在が個人に紐づいたままで、組織の側から参照できる形になっていない点にあります。拠点も人も動く体制では、隣の席で仕事ぶりを見ながら覚えていく継承のやり方が成立しにくくなります。誰かが異動する、海外拠点へ移る、そのたびに知識が組織から抜けていくとすれば、失われているのは個々のノウハウというより、必要なときに必要な知識へたどり着ける状態そのものではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
今回の取り組みで軸になっているのは、熟練エンジニアの技術や情報をデジタル化し、誰もがデータベースから必要なものを取り出せる状態に置くという設計です。継承を、限られた人どうしの引き継ぎという一回きりの場ではなく、日常の検索行為に置き換える発想と読み取れます。この置き換えが効くのは、受け手側が「教わる相手を確保できるかどうか」に左右されなくなるためです。
デジタル化した情報をAIに学習させる点も、ただの文書保管との違いを分けています。資料をため込むだけの置き場は、量が増えるほど探しにくくなり、結局は詳しい人に聞いたほうが早いという元の状態へ戻りがちです。AIを介して引き出せる構成は、蓄積が増えることが不利に働かない側へ設計を寄せる判断だと考えられます。
もう一つ見逃せないのが、システムの構築とエンジニアへの浸透を切り離さずに議論しながら進める姿勢が、デンソー側から示されている点です。富士ソフトがソフトウェア開発の技術と実績、AIのノウハウを持ち寄って仕組みを組み立て、ナレッジを出し、使う現場はデンソーのエンジニアが担うという役割分担になります。この形で難しいのは、現場に使われなければ蓄積そのものが始まらないという構造で、両社が35年にわたる取引で積み上げてきた業務理解は、その現場側の勘所を設計へ反映するうえで働く部分でしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公表されているのは構築を開始した段階までで、削減時間や工数といった数値の成果はまだ示されていません。掲げられているのは、技術や情報の可視化と活用による属人化の解消と生産性の向上、次世代へのナレッジ継承の促進です。デンソーの研究開発部門からは、システムの構築とエンジニアへの浸透に向けた取り組みを今後も富士ソフトと議論しながら進めていく意向が示されており、実際の効果が問われるのはこれからの段階になります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、特定の担当者に質問が集中していて、その人が答えている内容の多くが過去の資料や実績に根拠を持つ場合です。出どころのある知識は検索できる形に載せやすく、AIが引き出す対象にもなります。逆に、その場の状況を見ながら判断を切り替えるような、まだ言葉になっていない勘所は、同じやり方では扱いにくい領域として残ります。規模の面では、この事例のような大がかりな仕組みを構えなくても考え方自体は流用できますが、ナレッジの持ち主が自分の価値を取り上げられると感じている状態では、器を作っても中身が集まりません。
小さく試すなら、ベテランに寄せられた質問を1か月分だけ記録し、そのうち何割が社内にすでにある資料で答えられたものかを数えてみる。ここでの割合が高いほど、検索できる形に直す価値のある業務だと判断できます。
この事例は2025年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
富士ソフト株式会社
ソフトウェア開発における技術と実績、AI活用のノウハウを有し、製造業をはじめとする顧客企業の課題解決に取り組む企業。
株式会社デンソー
出典・参考情報
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