実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.14
エムティーアイ、若手と中堅がペアで学ぶ生成AI開発研修と事業部門への広がり
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ツールを配っても一部しか使わない
- ベテランがAI導入に乗り気でない
- 企画と開発の意思疎通に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
AIコーディングエージェントの実践研修を通じて、開発部門だけでなく事業部門にも生成AI活用が広がったAI取り組み
業種
デジタルサービス(IT・通信)
取り組み領域
ソフトウェア開発/社内人材育成
使ったAI
AIコーディングエージェント(生成AI)
主な成果
開発部門と事業部門の双方で生成AIの活用が拡大
ヘルスケアや音楽・動画配信など多様なデジタルサービスを手がけるエムティーアイは、AIコーディングアシスタントのGitHub Copilotを早くから導入していたものの、実際に使うのは一部のエンジニアに留まっていました。その後もDevinやClaude Code、Cursorといったコーディング支援AIの導入を進めたうえで、2025年8月、クラスメソッドが提供する「AI駆動開発実践プログラム」を採用します。丸1日をかけて、AI駆動開発やコーディングエージェントの潮流を学ぶ座学と、実際に手を動かす実践ワークショップを組み合わせた研修が実施されました。参加者は若手と中堅をペアにして送り出し、全社的に採用しているClaude Codeを研修メニューに組み込む形です。事業部門の担当者も加わり、開発現場と企画側が同じ場で生成AIを試す構成になりました。
出典:エムティーアイ様事例|AI駆動開発に舵を切りソフトウェア開発の変革へ|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIのツール自体は、すでに手元にありました。それでも利用は一部のエンジニアに限られ、開発体制の抜本的な変革には届いていない。背景には「コードは自分で書いたほうが早くて信用できる」という従来の考え方の根強さがあり、現場の中堅層には、現行業務のプロセスに不慣れなAIが突然組み込まれることへの抵抗も見られました。一方の若手からは、新しい開発手法に挑戦したいが認めてもらえない、という声が上がっています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとはツールの不足でも操作知識の不足でもなく、動いているサービスを止められない責任を負う層と、新しいやり方を試したい層との間で、判断の物差しが共有されていなかったことにあります。中堅にとってAIの利用は生産性の話である以前に、品質の担保という自分の責任範囲を揺らす話です。配ったツールが使われないとき、そこで欠けているのは習熟ではなく、どこまで試してよいかについての合意ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
研修の人選を若手と中堅のペアという形に設計したことが、この取り組みの起点になっています。意欲のある若手だけを集めれば学習そのものは速く進みますが、現場に戻ったときに承認を得る相手が不在のままになります。エムティーアイはクラスメソッドに対し、ワークショップを双方の対話の場にしてほしいと明確に要望しており、研修は技術の習得と同時に、立場の異なる二者が同じ題材で折り合いをつける場として位置づけられました。教育の設計に、社内で意思決定が動く仕組みそのものを織り込んだ点が、この人選のねらいだと考えられます。
学ぶ対象を、自社が全社的に採用しているClaude Codeへ寄せた組み立ても効いています。プログラムはGitHub Copilot Agent、Cursor、Devin、Clineなど主要なエージェントに対応したメニューを備え、企業ごとの利用ツールや参加者のスキル、バックグラウンドに合わせて内容を組み替えられる構造でした。エムティーアイ側は打ち合わせを重ねて研修内容を自社の現状に即したものへ調整し、自分たちの実務に生成AIがどうフィットするのかをその場で試行錯誤できる環境を求めています。汎用の教材をなぞる形式ではなく、明日の業務で使う道具をその日のうちに触らせる設計が、実直に取り組む社内のカルチャーとかみ合ったのでしょう。
提供元を、製品を持たないニュートラルな立場から選んだ判断も見逃せません。自社製品を扱うベンダーの教育では内容にバイアスがかかりやすいという理由から、主要なAIコーディングエージェントの概念と勘所を横断的に扱えることが選定の基準に置かれました。さらに参加対象をエンジニアに限らず事業部門の担当者にまで広げた設計は、コーディング速度だけでAIの効果を測らないという見立てを、研修の範囲設定として先に形にしたものと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
プログラム実施後、新規サービスの開発プロジェクトで生成AIツールを積極的に使う場面が増えています。活用の輪はエンジニアの外にも広がり、ワークショップに参加した事業部門のメンバーの中には、自らUI/UXのモックアップを作れるようになった人も出ました。動くプロトタイプを誰でも素早く作れるようになったことで、要件定義や基本設計の段階における事業部門とエンジニアの意思疎通は従前より格段にスムーズになり、意思決定も速くなっています。同社は今後、生成AIを中核に据えたソフトウェア開発ライフサイクルそのものの変革と、部署の垣根を越えた展開を見据えています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、AIツールの契約や環境はすでに整っているのに、使う人が特定の層に偏っている組織です。ここで効いたのはツールの追加ではなく、誰と誰を同じ場に座らせるかという人選と、扱う題材を自社の実務に寄せた設計でした。どちらも予算よりも段取りの問題で、規模を問わず取り入れやすい部分です。
一方、そのまま持ち込みにくい条件もあります。この事例でも、既存のソフトウェア資産とのしがらみから整合性を保つ調整作業は残り、一部のコードを単純に置き換えられるわけではないと整理されています。長く運用してきたシステムを抱える現場では、コーディングの速度だけを指標にすると効果が見えにくくなるはずです。抵抗の理由が現行業務への責任にある場合も、受講だけでは動きません。試してよい範囲を上長が示すこととセットで考える必要があります。
小さく試すなら、次の案件の要件定義で、企画側がスライドで説明していた画面イメージを一つだけ動くモックアップに置き換えてみる。言葉で埋めていた溝がどれだけ縮むか、それだけでも見えてきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWS総合支援や生成AI活用支援を手がけるIT企業。ChatGPTやAmazon Bedrockなどの各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発までを支援するほか、生成AI技術を活用したトライ&エラーの手法を習得する「AI駆動開発実践プログラム」を提供している。
株式会社エムティーアイ
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