実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.14
2週間で電話対応をクラウド化、年間8000件のAI評価を見込むまでの軌跡
予算規模:100万円以内
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話番のために出社が必要
- 通話録音が活用できていない
- 応対品質の評価が年1回だけ
どのようなAIの取り組み?
Amazon Connectでコールセンターをクラウド化し、生成AIによる全通話の応対評価の実装へ進んだAI取り組み
業種
業務用映像機器製造(製造業)
取り組み領域
カスタマーサポート/電話対応
使ったAI
Amazon Connect Contact Lens(音声認識・感情分析・生成AI)
主な成果
約2ヶ月でコールセンターをクラウド化、全通話の生成AI評価は実装中
業務用プロジェクターやディスプレイを手がけるパナソニックプロジェクター&ディスプレイでは、4名のカスタマーサポートセンターが年間約8,000件の問い合わせを受けています。10年以上使い続けたオンプレミス型のPBX(社内の電話交換機)では出社しなければ電話を取れず、18年分の録音もSDカードに眠ったままでした。同社は2025年1月にクラスメソッドへ相談し、20万円(税別)・2週間で提供されるAmazon Connectのスタートパッケージを採用。同年3月に導入を終え、通話録音や文字起こし、感情分析までを含む環境を整えました。設定作業は現場の係長が自ら担い、さらに2025年10月には生成AIによる応対評価機能の導入を正式に決め、現在も実装を進めています。
出典:パナソニックプロジェクター&ディスプレイ様事例|わずか2週間でコールセンターをクラウド化。低コスト導入に加え生成AIによる全件品質評価も可能に|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
販売代理店からの問い合わせは、設置作業の最中にかかってくることも珍しくありません。目の前に顧客がいる状態で電話をかけてくる相手に、その場で答えを返せるかどうかが問われます。だからこそ外部委託はせず、4名の社員がオペレーター業務からFAQ作成、サポートツールの開発までを一貫して担ってきました。一方で固定電話に縛られ、平日の日中は誰かがオフィスに残らざるを得ない状態も続いていました。
編集部の見立てでは、この現場の本質的な困りごとは電話が取れないことそのものではなく、専門知識が4名の頭の中と18年分の音声ファイルに閉じ込められ、外へ取り出せなかったことにあります。ベテランの退職が近づくほど、蓄積された知見は引き継げないまま目減りしていく。録音がSDカードのまま眠っていた状況は、その構造をそのまま映していたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
20万円・2週間という小さな単位に導入範囲を切り出した設計が、この取り組みの入口を作っています。通話機能、コンタクトフロー、通話録音、Contact Lensによる文字起こしと感情分析までを標準構成として先に固め、そこから先の作り込みは導入後に利用者側が進める前提に置かれていました。複数のベンダーから数ヶ月と高額な費用を提示されて足が止まっていた状況を踏まえると、要件をすべて詰めてから作るのではなく、標準品を先に動かして要件は運用しながら決めるという順番の入れ替えが効いたと考えられます。
設定作業をベンダーではなく現場の担当者が担う形にしたことは、その後の運用の速度を決める分かれ目になりました。コードを書いた経験のない係長が、レクチャーで基本操作を押さえ、公開されている技術ブログの記事を手順書代わりにしながら、商材ごとに分かれた複数のフリーダイヤルのコンタクトフローを約1ヶ月かけて組み上げています。ここで効いているのは、支援側が設定を代行せず、質問できる窓口と参照できる文書を用意して自走を支えた点でしょう。小さな変更にも見積もりと待ち時間が発生していた以前の状態を思えば、現場の気づきをその場で反映できること自体が、少人数体制を成立させる条件になっています。
新しい機能を自社の課題に結びつける回路を、セミナー参加という形で常設したことも見逃せません。生成AIによる応対評価機能は、手を動かしながら学ぶ形式のセミナーに参加した担当者がその場で導入を決めたもので、日頃感じていた課題と機能が現場の頭の中で直結したことになります。加えて、次世代の料金体系で会話分析や生成AI関連の機能が束ねられ、月額約20ドルの増分で検討できる構造になったことが、判断の重さを大きく変えたと見られます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入から9ヶ月、システムは安定した稼働を続けています。台風で電車が止まった日には、以前ならコールセンターを閉じて自動音声に切り替えるしかなかったところを、全員が自宅から電話を受けられました。オペレーターからは在宅で電話が取れるようになったことを歓迎する声が上がっています。スーパーバイザーが新人の通話をリアルタイムで聞きながら必要な情報を調べ、その場で支援できるようになった点も、育成と品質の両面で現場に定着しました。生成AIによる評価は実装中の段階で、年間約8,000件の通話をすべて自動評価できる見通しが立ったところです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、電話やメールの問い合わせを少人数で回していて、対応の履歴が録音や個人の記憶の形でしか残っていない組織でしょう。この事例では、標準構成のまま動かせる部分と自社で作り込む部分が最初から分かれていたため、専任のエンジニアがいなくても着手できました。逆に、基幹システムとの連携や独自の業務ルールが電話の振り分けに深く絡んでいる場合、標準構成のままでは収まらず、切り分けを前提にした進め方そのものが崩れます。24時間対応や多席数の運用も、小さく始めて後から広げる形とは前提が異なります。
評価の自動化についても、全件を機械的に採点できることと、その結果を現場が納得して受け止められることは別の問題です。まずは直近1ヶ月の通話録音が今どこに、どんな形式で保存されているかを確かめてみてはいかがでしょうか。テキストにできる状態かどうかで、次に打てる手はかなり変わってきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWS総合支援や生成AI総合支援を手がける企業。ChatGPTやAmazon Bedrockなど各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援し、コールセンターのクラウド化では「スタートパッケージ for Amazon Connect」を提供。技術ブログやAmazon Connect導入企業向けの無料ハンズオンセミナー・新機能紹介セミナーも運営している。
パナソニックプロジェクター&ディスプレイ株式会社
出典・参考情報
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