実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.14
食品原料商社の営業メールを生成AIで構造化し社内チャットで検索できる仕組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 必要な情報を過去メールから探している
- メール内容を別ファイルに転記している
- 経緯を担当者しか把握していない
どのようなAIの取り組み?
営業活動で行き交うメールを自動で収集・構造化し、生成AIのチャットボットから検索・要約できるようにしたAI取り組み
業種
食品原料の輸出入・販売(卸売・商社)
取り組み領域
営業部門のナレッジ共有・社内情報検索
使ったAI
Vertex AI/Gemini を用いた社内向けAIチャットボット
主な成果
過去メールをたどる手間が減り、必要な情報へ即時にアクセスできる状態に
乳原料やチーズ、食肉製品といった食品原料の輸出入・販売を手がける株式会社ラクト・ジャパンが、営業活動の中で溜まっていくメールを検索できる情報基盤へ作り替えた取り組みです。開発はアイレットが担当し、短納期・低価格で生成AIを導入できるサービス「かんたん AI パック」を土台に据えています。対象のメールは送信時に所定のアドレスをCCへ入れる運用へ改め、届いたメールをSendGrid経由でGoogle Cloudへ自動で取り込みます。Vertex AIとGeminiで本文や添付ファイルを解析し、顧客名・部署・情報の内容といったタグを付けたうえでBigQueryに構造化データとして蓄積。社内向けのAIチャットボットからこのデータを検索・要約でき、社内認証サービスとのSSO連携によってログインの手間も省かれています。
出典:社内のメールを営業資産に変える。Google Cloud の生成 AI を活用したチャットボットで、ナレッジ可視化と営業スピードの変革を実現|株式会社ラクト・ジャパン様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
メールは社内ルールに沿って管理され、営業に関わる重要な情報の一部として蓄積されていました。それでも案件数と情報量が増えるにつれ、新しい案件の状況を確かめたり過去の経緯をたどったりするたびに複数のメールを横断して開く必要があり、共有するには内容を別ファイルへ書き写す作業も挟まっていました。
詰まっていたのは情報の量ではなく、蓄積の器と共有の器がずれていたことにあったのではないでしょうか。メールは相手ごと・案件ごとに時系列で流れていく形式で、やり取りの当事者にとっては追いやすい反面、他の人が横断的に読み解く用途には向きません。転記という一手間がわざわざ発生していたこと自体が、そのずれを埋めるための人力の補正であり、ナレッジのブラックボックス化や属人化という言葉で語られていた事象の実体だったと編集部は見ています。
どうやって、うまくいったのか
起点を新しい入力作業ではなく、メール送信時にCCへ所定のアドレスを足すという運用の微調整に置いた設計が、この仕組みを成立させた最大の要因だと考えられます。営業担当者が既存のメール業務をそのまま続けるだけでデータが集まる形になっており、「別のツールに改めて記録する」という、定着しないことの多い工程が最初から存在しません。しかもCCに入れるかどうかという判断で対象を絞れるため、収集範囲を人の側でコントロールできる余地も残されています。
収集したメールをそのまま検索対象にせず、解析してタグを付け、構造化してから蓄えるという工程を挟んだことも見逃せません。顧客名・部署・情報の内容といった軸で整理しておけば、質問に対してどのデータを見に行けばよいかが定まり、回答の精度は探し方の工夫ではなく事前の整備で決まる状態になります。読み取りが難しい添付ファイルは無理に解釈させず、保存先へのリンクを自動表示して人が開く形にした割り切りも、AIに任せる範囲と人が担う範囲の線引きとして現実的です。
非IT部門の社員が日常的に使う画面であることを前提にした細部の作り込みも、この手法の要点にあたります。社内認証サービスとのSSO連携で追加設定なしにアクセスできるようにし、入力枠にはプロンプト例を初期表示して、何を聞けばよいか分からないという最初のつまずきを取り除いています。加えて、文字化けへの変換処理や、AI解析に伴ってCloud Runが複数起動した際の重複保存を防ぐロック処理といった地味な対処が積み重ねられており、こうした運用上の詰めこそが日々使われる仕組みと使われない仕組みを分ける部分でしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
必要な情報への即時アクセスが可能になり、過去メールを一つひとつ確認したりファイル整理に時間を割いたりする手間が減っています。営業チーム内での情報共有も進み、属人化していたナレッジがチーム全体で使える「見える化された資産」へと変わったことで、対応速度やナレッジの一貫性の向上にもつながりました。開発面では、ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせた体制により短期間でのサービスインに至っています。今後は他部署への展開も視野に入れられている段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、案件の経緯や取引条件がメールのやり取りに集中していて、送信時にCCを1つ足す程度の運用変更なら現場に受け入れられる組織でしょう。逆に、重要な決定が電話や対面の口頭で交わされていて記録が残らない業務や、案件情報が複数のシステムに分かれていて同じ取引先を指す表記が揃わない状態では、集めても検索の軸が定まらず、タグ付けの粒度が安定しません。部署によって見せてよい情報の範囲が違う場合も、まず権限の設計を決めてからでないと社内展開で止まりやすい点に注意が必要です。
はじめの一歩としては、直近の案件を1件選び、その経緯を把握するために何通のメールを開いたか、どこを転記したかを実際に数えてみる方法があります。その1件で挟まっている手作業が、そのまま自動化の対象と、AIに答えさせたい質問の原型になります。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、開発、運用保守、セキュリティ、請求代行に加え、生成 AI 導入・活用支援サービスを展開している。本事例では「かんたん AI パック」の提案と、UI 設計およびアプリケーション開発を担当した。
株式会社ラクト・ジャパン
出典・参考情報
社内のメールを営業資産に変える。Google Cloud の生成 AI を活用したチャットボットで、ナレッジ可視化と営業スピードの変革を実現|株式会社ラクト・ジャパン様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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