実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.14
問い合わせ工数7割削減、太陽光発電の保守部門が使う社内RAGチャット
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ質問への回答に毎日追われている
- マニュアルから答えを探すのに時間がかかる
- AIの回答が正しいか不安で使いきれない
どのようなAIの取り組み?
オープンソースのGenUとAmazon Bedrockで社内専用のRAGチャットを構築し、保守部門の問い合わせ対応工数を7割削減したAI取り組み
業種
太陽光発電・蓄電池システムの設計施工保守(エネルギー・インフラ)
取り組み領域
保守部門の社内問い合わせ対応/社内ナレッジ検索
使ったAI
Amazon BedrockとGenUによる社内専用RAGチャット(生成AI)
主な成果
問い合わせ対応の工数を7割削減
太陽光発電システムや蓄電池システムの設計・施工・保守を手がける株式会社サニックスエンジニアリングは、全国の保守担当者から届く技術サポートや各種手続きの問い合わせ対応に追われていました。同社は内製を前提に生成AIの活用を進めていたものの、商用利用でのハルシネーション制御や応答スピード、セキュリティ設定といった技術的な壁に直面し、クラウド支援サービスcloudpackを提供するアイレットへ相談。アイレットは内製化という方針を前提に技術支援を担い、AWSが公開するオープンソースのGenUを土台として、Amazon Bedrockと連携する社内専用のRAGチャットを構築しました。あわせて、AIが参照する社内文書の書き方そのものを検索しやすい形へ組み替え、認証とアクセス制限による社内限定の利用環境も整えています。
出典:問い合わせ対応の工数を7割削減。AWS の生成 AI を活用した社内専用 RAG チャット構築|株式会社サニックスエンジニアリング様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
保守の現場から寄せられる問い合わせは、太陽光発電や蓄電池の技術的なトラブルシューティングから、地域ごとに異なる経費規定や特例ルールの確認まで幅広いものでした。答えは社内マニュアルや規定文書のどこかに書かれていたにもかかわらず、膨大な資料から必要な箇所を探し当てるまでに相当な時間がかかっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は問い合わせの件数ではなく、「正解がどの文書のどこにあるかを知っている人にしか答えられない」状態そのものにあったのではないでしょうか。地域特例のように条件分岐を含む規定は、探す側が前提条件を理解していなければ該当箇所にたどり着けません。結果として質問が答えられる人に集中し、対応工数が膨らんでいく。しかも同社は内製でやり切る方針を掲げていたため、誤答の抑制や応答速度といった技術的なハードルが、そのまま「実務で使える品質に届かない」という停滞に直結していたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
起点になったのは、出来合いのサービスを買うのではなく、AWSが公開するオープンソースのGenUを土台に据えた構成の選び方です。GenUはAmazon Bedrockと連携し、RAG(社内データを検索して生成AIの回答に使う仕組み)チャットやドキュメント要約を短期間で組み立てられるフレームワークで、ここを出発点にしたことで、コストを抑えながら自社仕様に踏み込む余地が残りました。内製という方針を曲げずに技術的な難所だけを外部の力で越える、という進め方と噛み合った選択だったといえます。
より示唆に富むのは、AIの側をいじる前に、参照される文書の構造そのものを作り替えたアプローチです。地域特例を含む社内規定は従来PDFの表形式で書かれており、生成AIが条件を正確に判断しづらい形になっていたため、表からリスト形式やJSON形式へ改め、特例ルールを明示的に書き下しました。RAGは検索で拾えた断片しか判断材料にできないため、セル同士の関係が失われる形式のままでは、規定が正しくても読み違いが起きます。もっともらしい誤答を出力側で抑え込もうとするより、入力の作り方を正す。この順序の付け替えが、実運用に耐える精度を引き寄せた要因ではないでしょうか。
三つ目は、更新に耐える形でカスタマイズを設計し、その改修方法まで引き渡した進め方です。GenUは頻繁にバージョンアップされ、Amazon Bedrockの機能更新に伴ってバックエンド処理が大きく変わることもあるため、手を入れた箇所がアップデートの影響を受けにくいよう設計されました。部門・用途ごとにナレッジデータが増える将来を見越し、画面パスに応じて複数のナレッジベースを切り替えられる方法をフロントエンド・バックエンド双方の改修手順ごと共有した点も、引き渡し後を織り込んだ設計思想の表れです。プロジェクト途中でAmazon Auroraのベクトル機能に技術的制約が判明した際、コスト・パフォーマンス・アップデート追従性を並べてAmazon OpenSearch ServerlessとBedrock Knowledge Basesの組み合わせを提案し直した判断も、同じ考え方の延長線上にあります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
問い合わせ対応の工数は7割削減されました。当初は保守部門向けに構築された仕組みですが、検索精度と利便性が評価されて設計基準の調査にも使われるようになり、現在は設計部門でも日常的に活用されています。プロジェクト完了後はサニックスエンジニアリング自身がGenUの更新やカスタマイズを継続しており、リアルタイム議事録作成機能を1ページ完結型へ改めたり、LINE WORKS APIとAWS Lambdaを組み合わせて社内コミュニケーションツールへ組み込んだりといった拡張が内製で進んでいます。社内では生成AIを積極的に活用していこうという機運も高まりました。
うちでも使える?
この事例のやり方が効きやすいのは、答えが社内文書に確かに存在するのに、どこに書いてあるかを知っている人にしか答えられない業務です。規定やマニュアルが文章として残っていて、地域差や例外の条件も文書に書かれているなら、検索しやすい形へ整えるだけでも手応えが出やすいでしょう。逆に、判断の根拠が現場での口頭のやり取りや個々の担当者の記憶に留まっていたり、規定文書が実際の運用と食い違ったまま更新されていない場合は、AIに読ませる材料自体が揃っていません。この場合は精度を上げる工夫より先に、書かれていない例外を文書へ起こす作業が必要になります。
内製を志向するなら、外部の支援が終わったあとに基盤の更新を追える人が社内に残るかどうかも見極めどころです。まずは直近の問い合わせから頻出の質問を数件選び、その答えが載っている社内文書を実際に開いてみてください。表組みの中に条件が埋まっていて、前提を知らない人が読むと意味を取り違えそうな箇所はないか。そこが見つかれば、着手すべき場所はもう分かっているはずです。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS、Google Cloud、OCI の構築・移行、開発、セキュリティ、運用保守、請求代行、生成 AI 導入・活用支援などのサービスを展開し、AWS コンピテンシー認定パートナーとして企業の DX を支援している。
株式会社サニックスエンジニアリング
出典・参考情報
問い合わせ対応の工数を7割削減。AWS の生成 AI を活用した社内専用 RAG チャット構築|株式会社サニックスエンジニアリング様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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