実施 2024.03 ・ 更新 2026.08.14
社内文書に埋もれた暗黙知をRAGで一般化した半導体・電子部品企業の取り組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の資料が探せず毎回作り直し
- ベテランの知識が個人に留まる
- 形式がばらばらな社内文書を活かせない
どのようなAIの取り組み?
LLMと全文検索エンジンを組み合わせたRAGにより、社内文書に埋もれていた知見を業務で使える形に整理したAI取り組み
業種
半導体・電子部品(製造)
取り組み領域
社内文書・ナレッジ活用
使ったAI
LLM+全文検索によるRAG(Azure OpenAI/AI Search)
主な成果
社内の知見を一般化し、ドキュメント作成工数を削減
半導体・電子部品を扱う株式会社マクニカでは、長年にわたって社内に積み上がった文書の中に有用な知見が眠ったままになっていました。この課題に対し、アビームコンサルティングが共創パートナーとして加わり、LLM(大規模言語モデル)と全文検索エンジンを組み合わせるRAG(外部データを検索してAIの回答に活用する仕組み)を採用する方針が採られています。Azure OpenAIとAI Searchによる環境構築とデータマネジメントに加え、LLMを業務へ当てはめて考えるワークショップ、そして回答精度をどう確かめるかという検証の枠組みづくりまでが進められました。結果として、蓄積された文書をAIが解釈・要約し、利用者の質問に回答を返す仕組みが構築されています。
出典:社内文書に蓄積された暗黙知の一般化と徹底活用 | 事例 | ABeam Consulting 発行元:アビームコンサルティング株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内に長年たまってきた知見をどう使うかという問いが出発点でした。活用が生産性向上につながることは見えていた一方で、そこに人を割く余力がなく、最新の技術を試したくても一緒に進める相手がいない。この三つが同時に手を縛っていた状態です。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は文書の量でも人員の数でもなく、知見が個々の文書や書いた本人の頭に貼り付いたままで、他の人が使える形になっていなかった点にあります。必要になるたび誰かが探し、読み、意味を汲み取り直す。この読解の手間が毎回発生する構造だったからこそ、「人的リソースが確保できない」という形で問題が表に出てきたのではないでしょうか。裏を返せば、探索と読解を機械側に寄せられれば、投入できる人手が少ないままでも知見は回り始めます。
どうやって、うまくいったのか
文書の形式がそろっていないという前提を、避けずに最初の難所として扱った点がまず目を引きます。対象となる社内文書はパワーポイント、エクセル、PDF、テキストと入り混じり、純粋な文字列だけでなく図表も含まれていました。ここを素通りしてAIに投げても検索も生成も成り立たないため、データマネジメントを支援の柱の一つとして明示的に工程に組み込む設計が採られています。
次に効いたのが、検証の的を絞る進め方です。文書全般を対象にする以上、いきなり全社を相手にすると効果が薄く広がってしまうため、どの部署に向けた文書解析・文書生成を行えば効果的なのかを議論して決める段取りが置かれました。全社展開を否定するのではなく、先に効果の見える範囲を確定させ、そこから横に広げるステップを描くという順序づけです。
精度の良し悪しを何で判断するかを、検証を始める前に設計したことも見逃せません。RAGは回答がもっともらしい文章で返るぶん、感覚的な評価に流れやすい領域です。判断基準と判断方法そのものを議論の対象に引き上げ、精度検証のフレームワークとして持ち込んだやり方が、感想ベースの評価に陥ることを防いだと考えられます。加えて、業務部門とIT部門の間に立って導入目的や効果測定の方法を突き合わせる役割分担、部署をまたぐデータ共有に全社が協力する体制も、この進め方を成立させる土台になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
長年蓄積されてきた知見が一般化され、業務内容の品質向上と標準化につながっています。LLMが蓄積文書を解釈・要約し、利用者の質問に対して回答を生成する仕組みが構築され、利用者一人ひとりに秘書がつくような使い方が可能になりました。業務内容に沿ったドキュメントを作成する際の工数も削減されています。削減率などの数値は公開されていませんが、探して読み直す作業が仕組み側に移ったことの表れと読めます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、業務の勘所が電子ファイルとして残っている組織です。提案書や報告書の形で過去の判断が文章に落ちていれば、検索と要約を機械に任せる余地は大きくなります。逆に、形式の不ぞろいを整える手間を軽く見ると足をすくわれます。この事例でも図表を含む多形式の文書が最初の難所に挙げられており、そこを整える作業を誰がどこまで担うのかを決めないまま始めると、精度が上がらない原因の切り分けもできません。日々の知見が口頭のやり取りだけで流れていく組織や、部署をまたぐデータ共有に社内の合意が取れない状態では、同じ形をなぞっても効果は限定的でしょう。
最初の一歩としては、社内で最もよく作られている文書を一種類選び、それを書くときに人がどこを参照しているかを追いかけてみてはいかがでしょうか。参照先が特定のファイル群に収まるなら、そこが検索対象の出発点になります。
この事例は2024年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アビームコンサルティング株式会社
日本およびアジア発のNo.1グローバルコンサルティングファームを目指し、「Real Partner®」として企業や組織と共に新たな未来を共創し、企業変革の実現を支援するコンサルティングファーム。クライアントやパートナーとの“共創”による変革の実現を掲げ、テクノロジー・トランスフォーメーション領域などで支援を行う。
株式会社マクニカ
出典・参考情報
社内文書に蓄積された暗黙知の一般化と徹底活用 | 事例 | ABeam Consulting
発行元:アビームコンサルティング株式会社
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