実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.14
東洋建設、設計レビューの指摘記録を生成AIチャットボットで社内検索
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの判断が本人の中に留まる
- 資料を探すだけで毎回数分かかる
- 紙の回覧でチェックが何日も止まる
どのようなAIの取り組み?
設計レビューで蓄積した指摘記録や社内規定を、Google Cloud の生成AIチャットボットから検索できるようにしたAI取り組み
業種
総合建設業(建設・土木)
取り組み領域
設計部門の社内ナレッジ検索
使ったAI
Google Cloud の生成AIチャットボット(Agent Search/Gemini Pro)
主な成果
数分かかっていた情報検索が数秒で済むことを見込む
東洋建設は、海洋・陸上の土木工事から建築工事までを手がける総合建設会社です。建築事業本部設計部のDXデザイングループでは、紙で回していた設計図書のチェックをクラウド上のデジタルワークフローへ切り替え、そこで交わされる指摘と回答がテキストとして残る状態を先につくりました。そのうえで Google Cloud 専業インテグレーターの G-gen をパートナーに迎え、Agent Search を用いた生成AIチャットボットを構築しています。2023年12月のキックオフ、2024年1月の仮運用を経て、4月中旬から運用が始まりました。チャットボットは普段使っている Google Chat に組み込まれ、指摘事項のデータベースのほか、デジタル庁が公開する法令データ、社内の災害・不具合事例、社内規定集を参照して回答します。導入効果の測定はこれからの段階です。
出典:東洋建設株式会社様 - 導入事例 - 株式会社G-gen(ジージェン) 発行元:株式会社G-gen
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
設計図書は多いときで400枚を超え、それをすべて印刷してグループ内で確認していました。誰かが出張していたり、ひとりが確認に時間をかけたりすると作業はそこで止まり、5〜6人が目を通すだけで10日以上かかることもありました。同時に、長年蓄積されてきた社内のナレッジをうまく引き出せていないという課題も抱えていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は紙の枚数でも回覧の遅さでもありません。「ここは避難経路をこう変えるべきだ」というベテランの判断や、「この部分はこういう理由でこう設計した」という担当者の説明が、その場のやり取りで消えてしまい、次の案件で参照できる形に残らなかったこと。設計の勘所が個人の記憶に紐づいたままだと、若手がどれだけ早く育つかは、たまたま誰と組んだかに左右されてしまいます。
どうやって、うまくいったのか
AIを入れる前に、まず指摘と回答が文字で残る仕事のやり方へ切り替えた順番が効いています。設計図書をクラウドにアップロードし、全員が同じデータを見て指摘事項を書き込む方式にしたことで、「天井高は大丈夫か」といった問いと、それに対する設計者の回答、さらにベテランからの変更提案が一組のテキストとして自然に積み上がっていきました。学習用の資料をわざわざ作る作業を増やさず、日々のレビュー業務そのものを記録装置に変えた設計と言えます。
回答の根拠を示せるかどうかを見極めたうえでモデルを選び、社内データを参照させる RAG(外部のデータを検索してAIの回答に使う仕組み)を土台に据えた点も見逃せません。設計の判断は、結論だけ提示されても採用できず、なぜそうなるのかが説明できて初めて実務で使えます。根拠が返らない仕組みでは、設計者は結局もとの資料を自分で探し直すことになり、時間短縮につながりません。
入口を新しい専用画面ではなく、すでに全社で使っている Google Chat に置いた配置も、利用のハードルを下げる方向に働いたと考えられます。構築に加えてレクチャーとQA対応、Google Chat への組み込みまでを G-gen が担い、社内の情報システム部は連携作業をほとんど負わずに済みました。仮運用の期間を挟んでから本運用へ移した段取りも、いきなり全面展開しない現実的な進め方です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入効果の測定はこれからの段階であり、数値としての実績はまだ示されていません。設計部では、これまで数分かかっていた情報の検索や要約が数秒で済むようになり、それが10件、20件と積み重なれば相当な業務効率化につながる、という期待が語られています。すでにデジタル庁公開の法令データ、社内の災害・不具合事例、社内規定集を Google Cloud に取り込んで運用が始まっており、今後は指針やマニュアルを精査して学習データを充実させ、RAG の強化と回答精度の向上、そして設計部内の利用率向上を目指す方針です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、質問と回答、指摘と対応理由が、すでに何らかの形で文字として残っている業務です。設計レビューに限らず、品質会議のやり取りや顧客からの技術問い合わせなど、「聞かれたこと」と「そう答えた理由」が対になって蓄積される場面があれば、同じ考え方が当てはまります。
一方で、指摘が現場の立ち話や図面への赤入れで完結し、記録が残らない組織では、まず記録の仕方を変えるところからになります。この事例でも、指摘事項のデータベースの更新がまだ十分ではなく、それが回答精度の課題として挙げられています。データを足し続ける担当と手順を決めないまま入れると、精度が上がらず使われなくなる可能性があります。部門ごとに別々のAIツールが動いている場合は、社内展開の前に調整が必要になる点も、この事例が示すとおりです。
小さな一歩として試せるのは、次回のレビューから、指摘への回答に「なぜそう判断したか」の一文を必ず添えて同じ場所に書く、という運用変更。AIを入れるかどうかを決める前でも、その一文の有無が後で効いてきます。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社G-gen
Google Cloud(旧称GCP)プレミアパートナーであり、Google Workspace のプレミアパートナーでもある Google Cloud 専業インテグレーター。請求代行、システム構築から運用に至るまで顧客のニーズに合わせたサービスを提供し、Google の生成 AI 活用をエンジニアが技術支援するソリューションを展開している。ブログや技術レポートも多数執筆している。
東洋建設株式会社
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