実施 2023.12 ・ 更新 2026.08.14
キリングループのAI予測基盤を移行しツール利用費80%削減、3カ月の移行設計
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 定額契約のAIツールを持て余している
- 機能制限で使える部署を絞っている
- グループ全体にAI活用を広げたい
どのようなAIの取り組み?
AI予測ツールの基盤を従量課金型のサービスへ移行し、ツール利用コストを80%削減したAI取り組み
業種
グループIT子会社(IT・通信)
取り組み領域
AI予測基盤の移行・グループ全体への活用推進
使ったAI
Gemini Enterprise Agent Platform(AutoMLによる回帰予測)
主な成果
ツール利用コストを80%削減
キリングループのIT関連業務を担うキリンビジネスシステムは、2018年から業務にAI予測を取り入れ、自動販売機の販売予測などに活用してきました。ただし利用していた他社のAI SaaSは機能制限が厳しく、料金も定額制だったため、使う案件を絞らざるを得ない状態が続いていました。同社は従来製品を含む3つの製品を比較したうえで、従量課金制を決め手にGemini Enterprise Agent Platformへの移行を決定します。作業は2023年9月に始まり、Google Cloudプレミアパートナーである株式会社G-genの支援を受けながら、同年12月に環境構築を終えて運用が開始されました。移行の過程では、グループ各事業会社の活用実態と今後の意向を聞き取る勉強会・説明会が10回以上重ねられています。
出典:キリンビジネスシステム株式会社様 - 導入事例 - 株式会社G-gen(ジージェン) 発行元:株式会社G-gen
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、AIの精度や性能ではなく、契約と機能の制約でした。従来のAI SaaSには大きな機能制限があり、あらかじめ定義したプロジェクトの範囲でしか使えません。グループ全体でAI活用を進める方針を掲げながら、実際に使うプロジェクトのほうを絞り込むという逆行した運用が生まれていました。料金も定額制で、利用の少ない月でも同じ費用が発生します。
編集部の見立てでは、本当の困りごとは費用の高さそのものではなく、「まず試してみる」という行為に費用と手続きの重さが張り付いていたことではないでしょうか。予測AIは、実際に当ててみるまで役に立つかどうかが分からない領域です。使う前に対象を絞らせる仕組みは、成果の出る用途を見つける機会そのものを減らしてしまう。キリンビールの9つの工場のうち1工場でしか予測ツールが使われていなかった状況は、その帰結として読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
3つの製品を並べたときに機能面の差がほとんどなかったため、選定の軸を機能比較から課金形態へ移した判断が、この移行の起点になっています。従量課金であれば使った分だけの支払いで済み、月ごとに利用量が上下しても無駄が出ません。予測モデルの試作は、使えるものが出るまで何度も回す性質があり、年間の利用量をあらかじめ見積もりにくいという事情があります。定額を前提とした契約では「使わないかもしれないから申請しない」という判断が働きますが、従量課金はその判断自体を不要にします。
もう一つの要因は、移行作業と並行して、グループ各事業会社がいまAIをどう使い、これから何に使いたいのかを聞き取る場を10回以上設けた進め方です。基盤の入れ替えは本来システム側の作業で完結しますが、ここでは利用者側の理解をつくる工程が同じ期間の中に組み込まれました。切り替え時に混乱がほとんど起きなかったのは、事前に各社の使い方が把握され、それに合わせた説明が届いていたためと考えられます。支援を担ったG-genはGoogle Cloud Japanからの紹介で参画したパートナーで、環境構築だけでなく、この聞き取りと説明の部分も役割として引き受けています。
基盤を切り替えた時点で支援を終わらせず、移行後の利活用促進を別のフェーズとして残した設計にも注目したいところです。ツールを置き換えるだけでは、使う人の数は自動的には増えません。移行を完了ではなく出発点として位置づける組み立てになっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
ツール利用にかかるコストは、従来と比べて80%削減されました。機能制限がなくなったことで、あらかじめ定義したプロジェクト以外でもAIを使えるようになり、キリンビール9工場のうち1工場にとどまっていた予測ツールの利用を、他の工場へ広げる動きが出ています。従業員からは、シンプルで分かりやすい、使う際の心理的ハードルが下がったという反応が寄せられ、各社へ活用支援を行う立場からは教育がしやすくなったという受け止めも生まれています。
うちでも使える?
同じやり方が効きやすいのは、AIツールの利用量に月ごとの波があり、いまの契約が定額制になっている場合です。費用や機能の枠を理由に、使う部署や案件をあらかじめ絞っている状態であれば、契約形態を見直すだけで利用の裾野が変わる可能性があります。ただし従量課金は、使うほど支払いが増える仕組みでもあります。全社に利用が定着して常時大量に処理を回す段階に入れば、定額のほうが有利になる場面も出てきます。現在の利用量と、今後どこまで広げたいのかを併せて見たうえでの判断になるでしょう。
この移行が短い期間で収まった背景には、グループ各社の使い方を横断して把握できる立場のIT部門が主体になっていた点があります。利用実態が部署ごとに散らばって見えていない組織では、同じ速度では進まないと考えておいたほうが現実的です。手をつけるなら、いま使っているツールで「機能や費用の制限があるから諦めた」使い方を、現場から一つ挙げてもらうところから。その一つが、契約を見直す価値があるかどうかを測る材料になります。
この事例は2023年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社G-gen
Google Cloud(旧称GCP)プレミアパートナー。請求代行、システム構築から運用に至るまで、顧客のニーズに合わせた最適なサービスを提供する。Google Cloud / Google Workspace の導入支援や専任プロフェッショナルサービスを提供している。
キリンビジネスシステム株式会社
出典・参考情報
キリンビジネスシステム株式会社様 - 導入事例 - 株式会社G-gen(ジージェン)
発行元:株式会社G-gen
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
