更新 2026.08.14
北海道ガスの4.5ヶ月DX人材育成、7チーム17名が現場課題でAI試作に到達
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 研修をやっても現場が変わらない
- AIに関心はあるが試す時間がない
- DXを任せられる人が社内にいない
どのようなAIの取り組み?
実務の課題を題材にした4.5ヶ月の課題解決型研修と個別伴走により、7チーム17名がAIを使った試作の構築まで進んだAI取り組み
業種
ガス供給(エネルギー・インフラ)
取り組み領域
DX人材育成/各部門の業務改善企画
使ったAI
生成AI(Gemini等)、Google AppSheet
主な成果
7チーム17名がAI試作を構築、受講満足度は5点満点で平均4.25
北海道ガスは、2030年までに営業利益倍増と300名の成長分野へのシフトを掲げる中期経営計画「Challenge 2030」を進めており、その担い手となるDX人材の育成が課題になっていました。選ばれたのは座学中心の研修ではなく、各部署の実業務の課題を題材に、解決策の検討から企画の精緻化、PoC(概念実証)用プロトタイプの開発までを行う課題解決型学習です。育成対象は「活用人材」「推進人材」「創出人材」という3階層のうち、部署の変革を担う推進人材に絞られました。プログラムの設計と講師・伴走はSTANDARDが担当し、約4.5ヶ月にわたって7チーム17名が5回の集合研修と個別の伴走ミーティングを重ねています。
出典:「Challenge 2030」中期経営計画達成への号砲。北海道ガスが挑む、成果を出す「4.5ヶ月の実践型DX人材育成」の全貌 - 株式会社STANDARD 発行元:株式会社STANDARD
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
全社アンケートで最初に見えたのは、数字の重さでした。管理職の約8割が自部署のDX人材が不足していると回答し、推進を阻む要因はスキル不足が63%、時間の不足が21%、組織文化・評価の壁が18%と並びます。生成AI(Gemini等)やRPA、BIツールへの関心自体は高いにもかかわらず、「使い方がわからない」「活用する機会がない」という状態が実態でした。
編集部の見立てでは、この構図の核心は知識量よりも「試す場が業務の中に存在しない」ことにあります。関心があっても、通常業務の合間に自分の判断で新しいツールを触り、失敗を挟みながら形にしていくのは、個人の意志だけでは続きません。北ガスが出発点に据えたのが個々のスキル習得ではなく、場と機会を組織の仕組みとして整えることだった点は、その認識の表れと読めます。
どうやって、うまくいったのか
ゴールを一つに固定しなかったことが、全社での展開を成り立たせています。課題の規模に応じて期間内の到達点を変え、大規模なシステム開発なら要求定義まで、身近な手段で解けるならGoogle AppSheetや生成AIで動く形にするところまでを目標に置きました。部署ごとにテーマの重さが違う以上、全チームに同じ完成度を求める設計にすれば、重いテーマは間に合わず、軽いテーマは物足りないまま終わります。到達点を可変にした判断は、テーマ選定の自由度をそのまま残すための条件だったと考えられます。
集合研修の合間の宿題期間に、チームごと1時間の個別相談を挟み込んだ運び方も効き方が明快です。何から着手すべきか、どこを深掘りするか、技術的な壁をどう越えるかといった、教科書では答えの出ない問いに、その場で判断材料を渡す設計になっています。編集部の見立てでは、この種のプログラムが失速するのは知識が尽きたときではなく、次の一手が決まらないまま日常業務に飲み込まれるときです。伴走支援は教える場というより、企画を止めないための場として置かれていたのではないでしょうか。
開始前に管理職へヒアリングして期待値を把握し、研修として業務時間を確保したうえで上長を巻き込む体制を組んだ点は、学習設計というより組織設計に近い工夫です。受講者が持ち帰る検討が「個人の勉強」ではなく「部門の課題」として扱われる下地があってはじめて、実課題を題材にする方式は機能します。全社のデータ活用基盤や、現場が迷ったときの相談体制といったデジタル環境が先に整っていたことも、企画が机上で止まらなかった条件として見逃せません。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
4.5ヶ月で残ったのは企画書だけではありません。緊急保安業務では、現場の状況に合わせて作業手順を自動表示し、不備があると次へ進めない制限を備えたアプリのプロトタイプが構築されました。技術開発の領域では、点在していた過去資料をPythonで整理してAIに読み込ませ、チャットで尋ねると回答と原本の場所を返す検索システムが形になっています。受講生アンケートは5点満点で平均4.25。一方で北ガス自身は、育成と事業成果の時間軸のギャップ、チーム間の完成度の差、安全性への配慮が求められるインフラ事業ならではの適用ハードルを、今後の論点として挙げています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、部署ごとに「これを何とかしたい」という具体的な業務課題が既にあり、その検討に業務時間を割り当てられる組織です。北ガスの進め方は、研修の中身そのものより、実課題を持ち込める前提と上長の関与を先に用意した点に再現性があります。逆に、テーマが「何かAIでできないか」から始まる状態では、同じ形をなぞっても企画が抽象論へ流れやすくなります。
慎重に見たほうがよいのは、試作から実運用までの距離です。保安や設備のように安全性と業務影響の確認が重い領域では、動くものができても現場適用には別の関門が待ちます。短期間で定量的な事業インパクトを求める場合も、この方式は噛み合いにくいでしょう。まず試すなら、各部署の管理職に「自部署でいま最も手が止まっている業務」を一つ挙げてもらい、その一つに月何時間まで検討時間を出せるかをその場で数字にしてもらうところから。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社STANDARD
人材育成を柱に、DXの実現とその先のDXの内製化まで一気通貫で支援する企業。
北海道ガス株式会社
出典・参考情報
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