実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.14
オプテージ、月1,200件の経理問合せをAIで一次対応し正答率86%へ
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ質問への回答に毎日追われている
- 回答待ちで質問した側の仕事が止まる
- FAQを作っても誰も探し出せない
どのようなAIの取り組み?
GPT-4.1とRAGを用いた社内向けチャットボットで、経理部門への問合せに24時間365日の一次対応を可能にし、FAQ正答率86%に到達したAI取り組み
業種
総合通信事業(IT・通信)
取り組み領域
経理部門の社内問合せ対応
使ったAI
生成AIチャットボット(GPT-4.1+RAG)
主な成果
FAQ正答率86%を達成し、24時間365日の一次対応を開始
関西電力グループで光回線「eo光」や格安スマホ「mineo」を手がけるオプテージでは、全社員から経理部門に寄せられる問合せが月1,200件に達し、回答までの待ち時間が中央値で5時間49分に及んでいました。同社は2024年11月にITヘルプデスクへ全社展開した生成AIの手応えを踏まえ、経理部門への横展開を決定。技術支援パートナーのクラスメソッドとともに、2025年4月から8月までの5カ月で経理部門向けチャットボット「ケイリー(kAIly)」を開発しました。Microsoft Azureを基盤に、当時最新のGPT-4.1と、社内データを検索して回答に活用するRAGを組み合わせ、社内用語の定義集や同義語集を現場が作り込むことで精度を高めています。2025年10月に全社公開され、経理への問合せに24時間365日応じる一次対応が始まりました。
出典:オプテージ様事例|月間1,200件の問合せ対応をAI活用で効率化。現場の知見を注入したチャットボットでFAQ正答率86%を実現|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
2024年4月の社内システム入れ替えを境に、経理部門への問合せは1日50件以上へ膨らみました。回答窓口である経理サポートチームは対応に追われ、質問した側も半日近く待たされて業務が止まる。FAQやマニュアルを整えて自己解決を促す計画はあったものの、日々の対応に時間を奪われて着手できず、ExcelやSharePointに置いたFAQは経理担当者自身でさえ目的の項目にたどり着けない状態でした。
編集部の見立てでは、この困りごとの核心は問合せの件数そのものではなく、知識が「探せる形」になっていなかった点にあります。答えは社内にすでに存在していたのに、情報量が増えるほど分類が難しくなり、検索ではたどり着けない。結果として人に聞いたほうが早いという判断が繰り返され、負荷は窓口へ戻ってくる。件数の多さと検索性の低さが互いを増幅する循環こそが、改善に手をつける余地を塞いでいたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIが答えられなかった用語だけを一覧化し、その意味を経理部門が定義するという分業が、この開発の中核にあります。ゼロから用語集を作らせるのではなく、実際に回答を外した箇所に絞って現場へ渡したことで、日常業務の合間しか時間を割けない担当者の負担を必要最小限に抑えています。正式名称と略語が入り混じる社内特有の言い回しには同義語集を用意し、利用者の質問から関連する検索語をAIが補うクエリ拡張も組み合わせました。技術側が分からない箇所を特定し、業務側が意味を埋めるというこの切り分けは、外部からは書きようのない社内知識をシステムへ流し込む、現実的な経路になったと考えられます。
毎週動くものを見せながら改善を重ねるプロトタイピング開発も、精度を押し上げた要因です。要件定義書を固めてから作る進め方と違い、開始2カ月の時点で実務に使える環境が用意されたため、現場は机上の想像ではなく実際の業務のなかで不足を指摘できました。一度の回答では解決せず再問合せに繋がるという課題提起に対しては、要望から3週間で、最大10ラリーまでの文脈を踏まえる対話履歴機能が形になっています。仕様が固まりきらないまま走り出さざるを得ない生成AIの案件では、先に触らせる設計そのものが要件を引き出す仕掛けとして働きます。
検証を、生成AIによる自動評価と支援側の詳細確認、そして経理部門4名による最終判定に分けた二段階方式も、この規模を5カ月で回せた条件でしょう。正答かどうかは業務知識がなければ判断できない一方、全件を現場が見るのは現実的ではなく、機械と支援側で候補を絞ってから業務側が判定する順序にしたことで、限られた工数が本当に判断の要る場所へ集中しました。当初の目標水準を早い段階で満たしたあと、同じデータセットでの微調整を続けず、過去の実際の問合せデータへ評価の軸を移した判断も、数値を整えることより運用に耐えるかどうかを優先した設計の表れです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
3サイクルの精度検証では、初回77.8%だった正答率が2サイクル目に86.1%へ伸び、当初目標の80%を早々に上回りました。評価の軸を実際の問合せデータへ切り替えた3回目でも83.3%を維持しています。2025年10月に全社公開された「ケイリー」は24時間365日の一次対応を担い、スーパーフレックスや土日勤務の社員も待たずに回答を得られるようになりました。公開初日には他部門から導入を希望する連絡が届いています。運用面では月次のログ分析とLike/Dislikeボタンによる評価収集が続き、FAQ更新を簡略化する管理機能は現在も検証段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えが社内文書のどこかに存在しているのに、探す手間が大きすぎて人に聞いたほうが早くなっている業務です。経理に限らず、人事や情報システムの窓口のように、質問の多くが既存のルールや手順で説明できる領域であれば、同じ組み立てが機能する余地があります。
一方で、この進め方が成立した背景には、回答が正しいかどうかを判定できる担当者が業務側に確保されていたという条件があります。正誤を社内の誰も判定できない領域や、都度の交渉や個別事情で結論が変わる相談ごとでは、正答率という物差し自体が置きにくく、この形はそのままでは持ち込みにくいはずです。
最初の一歩は、直近1カ月に窓口へ届いた質問を見返したうえで、AIが答えを外したときに用語の意味を書き足す役を誰が担うのかを先に決めておくこと。この事例で効いていたのは定義を書ける人の存在であり、その席が空いたままではツールを選んでも精度は伸びません。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
ChatGPTやAmazon Bedrockなど各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援を行う企業。AWS総合支援、生成AI総合支援、データ活用基盤、アプリ開発などのサービスを提供している。
株式会社オプテージ
出典・参考情報
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