実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.15
東京都北区が2週間で導入した生成AI検索、約2万ページの行政情報を意味で探す
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- サイト内検索で情報にたどり着けない
- ページが多すぎて情報が埋もれている
- 「見つからない」の電話対応に追われる
どのようなAIの取り組み?
Gemini を使ったサイト内検索により、約2万ページの行政情報を言葉の意味から探せるようにしたAI取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
公式サイトのサイト内検索・住民向け情報提供
使ったAI
Gemini(生成AI)/Vertex AI Agent Builder
主な成果
約2万ページを意味で検索可能にし、問い合わせ減少を見込む
東京都北区は、区公式サイトのリニューアルに合わせて、サイト内検索の仕組みを生成AIベースへ切り替えました。開発を担当したのはアイレットで、Google Cloud の Vertex AI Agent Builder と Gemini モデルを組み合わせ、同社が提供する生成AI導入サービスのサイト内検索プランを土台に、わずか2週間で開発から導入まで到達しています。新しい検索では、同義語の辞書をあらかじめ登録しなくても表記揺れや打ち間違いを吸収し、入力された言葉の意味に沿って目的のページを探し当てられます。さらに Gemini が検索結果を要約し、利用者の質問に文章で答える動きも加わりました。多言語翻訳機能も組み合わされ、外国語を母国語とする利用者が同じ検索窓から情報にたどり着けます。Gemini によるサイト内検索の導入は、自治体として全国で初めての取り組みとなりました。
出典:自治体として全国初!わずか2週間で生成 AI を活用したサイト内検索機能を導入|東京都北区様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
区公式サイトには約2万ページもの行政情報が掲載されていました。ところが従来の検索機能は漢字とひらがなの違いや表記の揺れに弱く、入力した言葉がわずかにずれるだけで意図しない結果が並んでしまう。その結果、「必要な情報が見つからない」という問い合わせが区へ寄せられ、職員の電話対応の負担増加や業務効率への影響が懸念される状態になっていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質はページ数の多さではなく、住民が日常で使う言葉と行政文書が用いる言葉のあいだに横たわるずれにあります。制度名や手続き名を正確に知っている人はそもそも検索に困りませんが、困っている人ほど手元にある曖昧な言葉で入力する。そして検索が空振りした瞬間、次の行動は電話へ切り替わります。つまり検索窓の精度が、そのまま窓口の受電量に姿を変えて跳ね返る構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
辞書登録を前提にしない検索設計が、この取り組みの中心にあります。従来型のサイト内検索は表記揺れに対応するため同義語辞書を人手で育てる必要があり、行政特有の用語や新しい制度名が増えるほど整備作業には終わりが見えません。文脈から検索者の意図を読み取るセマンティック検索へ切り替えた判断は、言葉の揺れへの対応を辞書の網羅性に頼らない形へ移し替えたものと言えます。誤入力にも耐えるという性質は、検索に不慣れな利用者ほど恩恵が大きいはずです。
検索結果の一覧を返して終わりにせず、Gemini が要約して自然言語で答えるところまで組み込んだ点も見逃せません。行政情報は制度の説明や手続きの条件が複数のページに分散して書かれがちで、リンクが並んだだけでは読み解く負担が利用者側に残ります。回答生成までを一続きにした設計は、「探す」作業を「尋ねる」作業へ置き換えるもので、多言語翻訳との組み合わせが効いてくるのもこの形だからでしょう。
2週間という期間を成立させたのは、既存のサービスプランに乗せる進め方だと考えられます。アイレット側が用意していたサイト内検索プランを土台に、Vertex AI Agent Builder と Gemini という組み合わせで実装したことで、基盤をゼロから設計する工程を持ち込まずに済みました。区は公式サイトのリニューアルという本来の目的に注力し、AI部分の実装はベンダーが受け持つ。この役割分担は、AI開発の人員を内部に抱えにくい組織が生成AIへ踏み出すときの、現実的な段取りだと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
曖昧なキーワードでも語句の意味に基づいた検索が可能になり、Gemini による要約回答と多言語翻訳が加わったことで、外国語を母国語とする利用者を含め、膨大な情報の中から知りたい内容へすぐアクセスできるようになりました。自治体としては全国初の取り組みです。一方、区への問い合わせ件数の減少は現時点では見込みの段階にあり、職員の電話対応の負担軽減と業務の効率化も、これから期待される効果として位置づけられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、公開している情報量が多く、利用者が探し当てられなかった分だけ電話やメールが増えている組織です。自治体に限らず、大学や病院、製品サポートのページを大量に抱える企業でも、同じ構造の困りごとを抱えていることが少なくありません。
逆に効きにくい場面もはっきりしています。答えがどのページにも書かれていない問い合わせ、たとえば個別の事情に応じた申請可否の判断などは、検索の精度を上げても電話は減りません。また、要約して答える仕組みは元のページの正確さをそのまま映すため、古い情報が残っていたり同じ制度の説明が複数ページで食い違っていたりすると、その矛盾ごと利用者へ届いてしまいます。導入前にコンテンツ側の整合を点検できるかが、実質的な分かれ目になりそうです。
まず試すなら、サイト内検索のログを一週間分だけ取り出し、結果がゼロ件だった語と、検索後すぐ離脱した語を並べてみてください。そこに現れる言葉こそ、利用者の語彙と自分たちの言葉のずれそのものです。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社(アイレット)
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行・運用保守や、生成 AI 導入・活用支援サービスを提供している。
東京都北区
出典・参考情報
自治体として全国初!わずか2週間で生成 AI を活用したサイト内検索機能を導入|東京都北区様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社
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