実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.15
社内マニュアルと課題記録を生成AI検索、1か月でRAG基盤を検証した商社のPoC
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランに質問が集中している
- 新人の育成に時間とコストがかかる
- PDFの社内資料が探しづらい
どのようなAIの取り組み?
マニュアルと課題管理の記録を生成AIで検索できるRAG環境を約1ヶ月で構築し、社内問い合わせの負担軽減を検証したAI取り組み
業種
電子デバイスの技術商社(製造業)
取り組み領域
社内ナレッジ検索/製品問い合わせ対応
使ったAI
Vertex AI Agent Builder(現AI Applications)によるRAG環境
主な成果
業務効率化の目処が立ち、生成AIの専門部署立ち上げにつながる
加賀FEI株式会社は、組込み機器向けのUI/UXソリューションを扱う事業部門で、生成AIを使った社内ナレッジ検索のPoC(小規模な試験導入)に取り組みました。支援したのはクラウド活用を手掛けるアイレットで、Google CloudのVertex AI Agent Builder(現AI Applications)を土台に、生成AIが学習していない自社データも検索・回答の対象にできるRAG環境を構築しています。対象としたのは、PDFやHTMLの形で蓄積されてきた製品マニュアルと、課題管理ツールRedmineに残るチケット情報の二種類。約1ヶ月のあいだに13バージョンにわたる構成とパラメータの検証を重ね、それぞれのデータに合う解析方法を探っていきました。
出典:構造化・非構造化データを有効活用!生成 AI によるナレッジ検索基盤を短期間で構築|加賀FEI株式会社様の生成 AI 導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
UI/UX事業部では、マニュアルを見れば答えが載っているような問い合わせがベテラン開発者に集まり、本来の開発業務が圧迫されていました。新しく参画したエンジニアが製品知識を身につけるまでの時間とコストも重く、加えて、生成AIをどう使い始めればよいのかという進め方そのものにも迷いを抱えていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは問い合わせの件数そのものではなく、答えが社内資料の中に存在しているのに、それを取り出せる人がベテランに限られていた点にあります。マニュアルはPDFやHTMLで残り、開発の経緯はRedmineのチケットに積み上がっている。情報自体は失われていないのに、どこを見ればよいかという判断が人の記憶に依存していたため、質問が特定の人へ集中する構造から抜け出せなかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
精度を左右したのは、文書をどう読み取らせるかという解析方式の選び方です。OCR処理で文字情報を抜き出すデジタルパーサーと、見出しや表といった構成・レイアウトを保ったまま読み取るレイアウトパーサーの双方を検証し、さらにPDF用とHTML用でデータストアを分けて環境を最適化しています。一つの検索基盤にすべてを流し込むのではなく、ファイル形式ごとに得意な読み取り方を割り当てる切り分けが、返答の信頼性を押し上げたと考えられます。
構造化データ側では、Redmineのチケットをそのまま渡さない判断が効いています。階層が深くAIが正確に解釈できないJSONの持ち方を見直し、必要な情報へたどり着ける形へ整形したうえで、チケットの履歴データまで取り込む設計にしました。これにより、あの修正は完了しているか、関連するチケットをまとめて出してほしい、といった従来は担当者が手作業で追いかけていた問いにも、進捗や過去の経緯を踏まえて自然言語で応じられる構成になっています。
約1ヶ月で13バージョンの構成・パラメータを試した進め方も、この取り組みを支えた要素です。RAGの精度は机上で決めきれず、短い周期で条件を変えて比べる以外に最適解へ近づく道がありません。検証の過程で支援側がトレーニング方法や解析手法の知見を加賀FEI側のエンジニアへ渡していった点は、PoCを一度きりの外注で終わらせないための組み立てといえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
構造化・非構造化のどちらのデータでも検索精度を確かめられたことで、生成AIによるリソース削減、すなわち業務効率化の目処が立つ段階に到達しています。ここで得られたのは完成した本番システムではなく、本番導入へ進むかを判断するための材料です。あわせて社内では生成AI活用への機運が高まり、専門部署の立ち上げにつながりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えが社内のどこかに文書として残っているのに、探し出せる人が限られている状況です。マニュアルや課題管理ツールの記録が数年分たまっている職場なら、この事例と同じく、新しくデータを作るのではなく既にある資料を検索できる形へ整えるところから入れます。逆に、判断の根拠が文書化されておらず、経験者の頭の中にしか残っていない業務では、同じ手順をなぞっても効果は薄いはずです。この取り組みが成立した前提には、マニュアルとチケットという書き残された材料が揃っていたことがあります。
まず試すなら、直近1ヶ月に社内で飛び交った質問を10件ほど拾い、その答えがどの資料のどこに書いてあるかを確かめてみてください。資料までたどり着けた質問の割合が、そのままAI検索で拾える範囲の目安になります。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、セキュリティ、開発、運用保守に加え、Amazon Bedrock や Vertex AI を活用した生成 AI 導入・活用支援サービスを提供している。
加賀FEI株式会社
出典・参考情報
構造化・非構造化データを有効活用!生成 AI によるナレッジ検索基盤を短期間で構築|加賀FEI株式会社様の生成 AI 導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社
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