実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.15
商品規格書の作成を2時間から30分へ、食品原料商社の生成AI活用とデータベース化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ商品の資料が何十件にも散らばる
- 他部署からの問い合わせに毎回探し回る
- 取引先ごとの書式に手作業で転記している
どのようなAIの取り組み?
商品情報のデータベース化を土台に、自然言語での検索・PDF規格書の出力・社内向けチャットボットを1つのWebアプリへ統合し、規格書作成を1件約2時間から約30分へ短縮した取り組み
業種
食品原料の輸入・販売(小売・流通)
取り組み領域
品質管理/商品規格書の作成・社内情報検索
使ったAI
生成AI(自然言語での商品検索・RAGチャットボット)
主な成果
規格書作成が1件あたり約2時間から約30分へ短縮
乳原料やチーズなどの食品原料を輸入・販売する株式会社ラクト・ジャパンでは、海外の食品製造者から受け取った商品情報を、自社および販売先それぞれの書式の規格書へ転記する業務が負担になっていました。開発を担当したアイレットは、一度に大規模なAI導入を行なうのではなく、まず商品情報のデータベースを整備し、次にそれを使うアプリケーションとAI活用へ広げる二段階の進め方を提案しています。150項目以上を扱えるデータベースを設計したうえで、Vertex AI Searchによる自然言語の商品検索、独自フォーマットのPDF規格書出力、BigQueryのデータを参照するRAG(外部データを検索してAIの回答に使う仕組み)チャットボットを一つの業務アプリに統合。認証はIIJ-IDとのシングルサインオンで揃え、品質アセスメント部での本格運用が始まっています。
出典:作業時間を約75%削減!生成 AI を活用した商品情報データベースおよび Web アプリ構築|株式会社ラクト・ジャパン様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
海外の食品製造者から届く商品情報は、書式が統一されておらず言語もさまざまで、しかも一度にまとまって届くとは限らず、複数回に分けて個別に送られてくることもありました。1商品あたり約30〜40ファイルにのぼる資料がフォルダに積み上がり、営業担当者から問い合わせが入るたびに、その中から最新のものを探し直す必要があったわけです。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質はファイル数の多さそのものではなく、情報を管理する単位が「商品」ではなく「届いたファイル」のままだった点にあります。ファイル単位で保管されている限り、最新版の判断も、書式の違う規格書への転記も、担当者の記憶と手作業に頼らざるを得ません。横断的な活用ができないという状態は、その必然的な帰結だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
データ基盤の構築とAI活用を明確に分け、ステップ1で商品情報のデータベース化、ステップ2でアプリ実装とAI活用の拡張へ進む順序を採った点が、この取り組みの土台になっています。各項目を棚卸ししたうえで150項目以上を扱える構成へ設計し直したことで、ばらばらのファイルに散っていた情報が、商品という単位で参照できる状態に置き換わりました。生成AIを先に立てるのではなく、AIが読みに行ける形へ情報を作り替える工程を先に置いた判断が、後続の検索やチャットボットを成立させています。
登録の入り口を現場が使い慣れた道具に寄せた設計も見逃せません。日常的な運用のしやすさを重視してGoogle スプレッドシートでの入力・登録方式を選び、アップロード容量の制約についてはGoogle FormsとCloud Runを組み合わせた独自の登録フローで解消しています。どれだけ整ったデータベースでも、入力が続かなければ最新性は保てません。入力の負荷を下げる工夫は、基盤を「使われ続けるもの」にするための設計だったといえます。
できないことを仕様として先に確定させた進め方も、実運用を成り立たせた要因でしょう。自然言語検索ではスコア付きでの結果表示に対応していないため、あらかじめ上位20件に絞る仕様を発注側と合意して決めています。200〜300項目に及ぶ情報を扱う画面についても、専門のデザイナーが加わり、表形式を基本に据えたうえで分類ごとの見出しを開閉できる形にし、必要な情報だけを段階的に確認できるようにしました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
品質アセスメント部ではすでに本格運用が始まり、従来は1書類あたり約2時間を要していた作業が、現在は約30分程度まで短縮されています。情報が整理されたことでコピーや再利用がしやすくなり、作業の標準化も進みました。外国語の資料を都度人の手で翻訳していた頃と比べ、表現のばらつきや誤字脱字、記載内容の誤りといったヒューマンエラーが大幅に減り、販売先へ提出する規格書の精度向上にもつながっています。営業部門への展開は今後の予定で、社内からの問い合わせ対応の工数削減も現時点では期待される効果という位置づけです。
うちでも使える?
取引先ごとに書式の異なる書類を作っている、あるいは商品や案件にひもづく資料が複数のファイルに分かれて溜まっている——そうした業務であれば、この進め方は応用の余地があります。鍵になるのは、AIツールを選ぶ前に「何を1件と数えるか」を決められるかどうかです。商品や契約といった単位で項目を定義できる情報なら、データベース化の効果は検索にも帳票出力にも波及します。
一方で、判断の根拠が担当者の交渉履歴や口頭のやり取りにしか残っていない業務、あるいは項目の定義そのものが取引ごとに変わる業務では、同じようには進みません。この事例でも、150項目以上という構成を決められた背景には、規格書という定型の出力先が先にあったという条件があります。棚卸しの前に、そもそも出力先の様式が固まっているかを確かめておきたいところ。
まずは直近に作成した書類を1件開き、その情報が何本のファイルから集められたかを数えてみてはいかがでしょうか。その本数が、データベース化で消える手間の大きさを示す目安になります。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、開発、運用保守、請求代行に加え、Amazon Bedrock や Vertex AI などを活用した生成 AI 導入・活用支援サービスを手掛ける。AWS コンピテンシー認定パートナー。
株式会社ラクト・ジャパン
出典・参考情報
作業時間を約75%削減!生成 AI を活用した商品情報データベースおよび Web アプリ構築|株式会社ラクト・ジャパン様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社
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