実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.15
IHI機械システムが生成AIで帳票入力を自動補完、書類品質を平準化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 書く人によって書類の質がバラバラ
- 過去の報告書が探せず使えていない
- 社名や製品名の表記揺れで集計できない
どのようなAIの取り組み?
生成AIとRAGで過去の帳票資料を参照し、入力補完とAIレビューによって製造現場の書類品質を平準化した取り組み事例
業種
産業機械などの製造(製造業)
取り組み領域
帳票起票・社内文書作成
使ったAI
生成AI・RAG(Amazon Bedrock/Claude Sonnet 4.5/Amazon Kendra)
主な成果
過去資料の自動参照とAIレビューで帳票の記載品質を平準化
製造現場で日常的に発生する不具合報告書や社内申請資料の起票業務を対象に、株式会社IHI機械システムが生成AIを使った帳票起票アシストシステムを構築しました。設計・開発を担当したのはアイレットで、前フェーズの帳票検索システムに続く第二段階という位置づけです。管理者がExcelファイルをアップロードするとAmazon Bedrock上のClaude Sonnet 4.5が入力項目を解析してWebフォームのひな形を生成し、現場担当者が起票する場面ではAmazon Kendraが過去の帳票資料を検索して入力候補を提示します。社内マスタデータとの連携によって正式名称での記載を促し、入力を終えた段階では生成AIが整合性や未入力項目、フォーマット準拠を確認するという流れになっています。
出典:帳票起票を自動化し品質を平準化!AWS を活用した AI アシストシステム構築|株式会社IHI機械システム様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
起票者によって記載の粒度や品質、正確さがばらつき、その差を埋めるためにチェック工程へ相応のコストがかかっていました。過去の類似書類や報告書は帳票データベースに大量に蓄積されていたものの検索性が低く、新しく書くときに参照されない状態が続いていたほか、Excelベースの運用のため顧客名や製品名の表記が揺れ、集計や分析にも支障が出ていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は書く人の力量差そのものではなく、書くために必要な材料が、書くその瞬間の手元に届いていなかったことにあります。過去の記載例も正式名称も社内には確かに存在していたのに、Excelのフォーマットを開いた担当者からは遠く、結局は一人ひとりの記憶と判断で埋めるしかなかった。チェック工程にかかっていたコストは、その距離を人手で埋め合わせていた分の費用だったと整理できます。
どうやって、うまくいったのか
管理者が手元のExcelをアップロードすると生成AIが入力項目を解析してWebフォームのひな形を起こす、という入口の設計が効いていると考えられます。現場が使い慣れた様式をそのまま出発点にできるため、新しいシステムのために帳票を作り直す作業が発生しません。各項目に対するAIレビューの観点を自然言語で設定できる形にした点も見どころで、品質基準の更新が開発側の改修ではなく管理者による言葉の書き換えで完結します。
入力補完を「生成」ではなく「検索」に寄せた構成も、実運用を成立させた要因ではないでしょうか。担当者が自然言語でキーワードを入力するとAmazon Kendraが帳票データベース内の過去資料を探し、類似案件の記載内容を候補として返します。さらにAttributeFilter機能で最大4階層のフォルダ構造を段階的に絞り込む作りにしており、全社の全文書を一律に対象とせず、用途に応じて参照する母集団そのものを狭めています。RAG(外部データを検索してAIの回答に活用する仕組み)の使い勝手は生成側より検索側の精度に左右されるという勘所を、押さえた設計と読めます。
表記揺れの扱いをAIの判断に委ねず、社内マスタデータとの照合に切り分けた判断も見逃せません。マスタをAmazon DynamoDBに置いて入力中にリアルタイムで候補を提示し、マスタにない表記には警告を返すという、結果が一意に決まる処理に寄せています。AIのレビュー結果のほうは各項目の直下にバリデーションメッセージの形でインライン表示し、既存のフォーム操作の作法から外れないようにしました。開発プロセス側でも、Figma MakeやGemini Canvasで動くモック画面を先に作り、そこから出力されたReactコードを実装のベースに据えながら顧客との要件定義を並行させることで、仕様の認識ずれを早い段階でつぶす進め方が採られています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
テンプレート作成の工数が減り、起票の場面では過去資料を手作業で探さなくても入力のベースを自動で取得できる状態になりました。生成AIのレビューが記載の抜けやフォーマットのずれを指摘するため、書く人が変わっても一定水準の品質を保つ運用が可能になり、顧客名や製品名の表記揺れも抑えられています。削減幅を示す数値は公開されていませんが、チェック工程に人手をかけて品質を揃えるという構造そのものが変わった点に意味があると考えられます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、同じ様式の書類が繰り返し発生し、その蓄積が社内のどこかにまとまっている業務です。フォルダ構成や案件区分など絞り込みの手がかりが既にあるほど効果は出やすく、顧客名や品番の正式表記をマスタとして持っている、あるいはこれから整えられることも条件になります。
逆に、案件ごとに書く内容が毎回入れ替わる企画書や、現場で測った値とその場に居合わせた人しか知らない経緯が中身の大半を占める報告書では、過去資料を引いても下書きの骨組みまでしか埋まりません。表記の正解が社内でまだ定まっていない段階であれば、AIを載せる前にマスタを一本化する作業が先に来ます。まずは直近数か月に作成した同じ種類の帳票を数枚並べ、毎回ほぼ同じ文言で埋まる欄と案件ごとに固有の欄がどこで分かれるか、線を引いてみてはいかがでしょうか。前者の比率が、そのまま自動補完で削れる余地の目安になります。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行や運用保守、生成 AI 導入・活用支援サービスを手掛け、AWS コンピテンシー認定パートナーとして企業の DX を支援する。
株式会社IHI機械システム
出典・参考情報
帳票起票を自動化し品質を平準化!AWS を活用した AI アシストシステム構築|株式会社IHI機械システム様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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