実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.14
名古屋鉄道が社内チャットに生成AI、検証で累計1,200時間の効率化
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 人を増やせないのに仕事量が減らない
- グループ各社に同じ仕組みを広げたい
- 生成AIを試したが社内で使われない
どのようなAIの取り組み?
普段使いのビジネスチャット上に生成AIチャットボットを組み込み、グループ約9,000人へ生成AIの利用環境を開放したAI取り組み
業種
鉄道・バス事業(運輸・物流)
取り組み領域
グループ全社の社内業務/社内チャット
使ったAI
Gemini Pro を使った生成AIチャットボット
主な成果
検証段階で累計1,200時間以上の業務効率化を確認
愛知県と岐阜県を基盤とする名古屋鉄道は、100社以上のグループ会社を抱えています。グループ横断でDXを担うデジタル推進部が主体となり、社内のビジネスチャットである Google Chat の中で動く生成AIチャットボットを用意しました。導入前には、Google Cloud のAIプラットフォームサービス Gemini Enterprise Agent Platform を経由した Gemini Pro と、GPTシリーズを使う Azure OpenAI Service を比較しています。一般的な用途では性能に大きな差がないと判断し、グループの約半数にあたる60社程度が使う Google Workspace との親和性を決め手に前者を選びました。構築と性能検証は Google Cloud 専業インテグレーターの G-gen が担当し、2024年1月中旬の相談、2月中旬の要件定義を経て、新年度初日の4月1日に全 Google Workspace ユーザーへ公開されています。
出典:名古屋鉄道株式会社様 - 導入事例 - 株式会社G-gen(ジージェン) 発行元:株式会社G-gen
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コロナ禍の影響でグループ全体が打撃を受け、業績は回復に向かっているものの、鉄道の利用率はコロナ前の9割ほどにとどまり、インバウンド需要も十分には戻っていません。収入が減ったぶんを業務の効率化で補う必要がある一方、人手不足を人員増で解消できる状況にはない、というのが出発点です。
編集部の見立てでは、この事例で本当に難しかったのは「効率化の手段を見つけること」ではなく、「見つけた手段を、100社以上に散らばった現場へ同時に届けること」だったのではないでしょうか。グループ会社ごとに業務も規模も違えば、部門別に最適な道具を配っていくやり方は際限がなくなります。デジタル推進部が全社的な基盤整備をミッションに掲げていた点からも、個別最適の積み上げではなく、誰が使っても効く共通の土台をどこに置くかが問われていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
生成AIを新しい専用ツールとして配るのではなく、社員が日常的に開いている Google Chat の中に置いた点が、この取り組みの設計の中心にあります。チャットボットとの対話という形をとったことで、利用者にとっては「いつもの画面で話しかける」以上の学習が要りません。導入の成否を分けるのは機能の多さより到達距離だという判断が、置き場所の選択に表れています。
製品選定で「性能」ではなく「親和性」を決定打に据えた基準の立て方も見逃せません。要約や翻訳といった一般的な用途であれば各社モデルの実力差は小さいと見極めたうえで、判断の軸を、どれだけ多くの社員に一度に環境を渡せるかへ移しています。Google Workspace はグループの約半数にあたる60社程度が導入済みで、全社展開も進行中でした。既存基盤の広がりを配布経路そのものとして評価する見方は、比較検討が機能比較の泥沼になりがちな場面で効いたと考えられます。
段取りの組み方にも工夫があります。2023年7月から最大約400名規模で生成AIの検証を先行させ、そのうえで2024年1月中旬にパートナーへ相談、2月中旬に要件定義を開始し、新年度初日の4月1日という区切りに合わせて公開するという流れです。構築と性能検証は Google Cloud 専業インテグレーターの G-gen が担い、名鉄側は用途の見極めと社内展開に集中する役割分担がとられました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
全社公開から日が浅く、定量的な導入効果の検証はこれからの段階です。ただし2023年7月から最大約400名で進めてきた検証では、約半年間で累計1,200時間以上の業務効率化効果が確認されています。2024年5月時点で生成AIを業務に恒常的に使っているのは約1,400人。グループ全体で約9,000人に機能が開放されているため、7人に1人以上が使っている計算です。すでに使っている社員からは「生成AIがないと仕事にならない」という声も出ており、業務の一部として定着しつつある様子がうかがえます。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、全社員が毎日開くグループウェアやチャットツールがすでに一本化されていて、当面の用途が要約・翻訳・下書き作成といった汎用的な範囲に収まる場合です。既存の入口に相乗りできるなら、利用者に新しい操作を覚えてもらう負担がほとんど発生せず、公開範囲もアカウント単位で一気に広げられます。
反対に、社内システムの中にある非公開の情報を参照させたい場合や、部署ごとに使っている道具がばらばらで共通の入口が存在しない場合は、同じ形をそのまま持ち込んでも届きません。名鉄でもグループ100社以上に対して Google Workspace の導入は60社程度で、残り半数には別の手立てが要る状況です。共通基盤がどこまで揃っているかが、応用可能性をかなり左右します。
手をつけるなら、自社で一番多くの社員が毎日開いている画面はどれか、その中に生成AIの窓口を置けるかを確かめるところから。用途を絞り込む議論は、その後でも遅くありません。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社G-gen
Google Cloud 専業インテグレーターで、Google Cloud(旧称GCP)プレミアパートナー。Google Cloud / Google Workspace の導入、請求代行、システム構築から運用までを提供し、Google の生成 AI 活用をエンジニアが技術支援するソリューションを展開している。
名古屋鉄道株式会社
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