更新 2026.08.15
大日本印刷の全社生成AIアイデアソン、150件超のアイデアから2件が実装へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AI環境を用意したのに使われない
- 社員が業務での使い道を思いつかない
- 研修が実際の企画につながらない
どのようなAIの取り組み?
全社規模の生成AIアイデアソンを外部の伴走支援とともに実施し、150件超のアイデアから2件のプロジェクト始動につなげたAI取り組み
業種
総合印刷(製造業)
取り組み領域
全社の生成AI活用推進/人材育成
使ったAI
生成AI(社内向け利用環境)
主な成果
150件超のアイデアから2件が実装へ動き出す
印刷を軸に事業を展開する大日本印刷(DNP)は、社内に生成AIを使える環境を整えたものの日常的な利用が広がらない状況を受け、全社規模の生成AIアイデアソンを実施しました。運営は法人向けDX研修を手がけるキカガクが伴走し、事前の説明会とセミナー、アイデアの募集と審査、選抜チームへの1on1・1onNのメンタリング、発表会の運営までを一貫して支援しています。旗を振ったのは価値創造推進本部 業務革新推進室で、人財開発部や事業部のメンバーとの議論から全社イベントへと発展しました。募集には150件を超えるアイデアが集まり、発表会にはオンラインを含め650名以上が参加。現在はそこから生まれた2件が実装に向けて動いています。
出典:導入事例:大日本印刷株式会社様 | 【事例:生成AIアイデアソン】社員の創造力で加速する生成AI活用。大日本印刷のアイデアソン好事例 | 法人向けDX研修ならキカガク 発行元:キカガク
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内には生成AIを使える環境がすでに用意されていました。それでも毎日使う社員は全体の2割に届かないのではないか、というのが推進を担う業務革新推進室の見方で、グループとして目指す「効率化で生まれた時間をより価値の高い活動へ振り向ける」状態には距離がありました。担当者自身が「きびしめの見解」と断りを添えているとおり、問題として語られているのは数字そのものよりも、個々人が自律的に使うための意識変容が起きていないことです。
編集部の見立てでは、ここでのつまずきは環境整備の不足ではなく、社員一人ひとりが自分の担当業務と生成AIを結びつける経験を持てていなかった点にあります。使ってよい道具が置かれていても、日々の仕事のどこに差し込めるかが像を結ばなければ、利用は関心の高い一部の層で頭打ちになるでしょう。利用率という指標の下にあったのは、技術の問題ではなく、業務を分解して当てはめてみる発想の場が足りていなかったこと。そう読むと、次の一手がイベントの企画になったことにも筋が通ります。
どうやって、うまくいったのか
アイデアを募る前に、業務フローを分解してどの部分に生成AIを使うのかを考える思考フレームを共有した設計が、この取り組みの起点になっています。説明会兼セミナーと当日のセミナーで同じ考え方を配ったことで、応募者は「生成AIで何かできないか」という漠然とした問いではなく、自分の担当工程を材料に考え始められます。アイデアの質を審査でふるいにかける前に、発想の入口のほうを揃えてしまう組み立てだったと見ています。
選抜後に1on1・1onNのメンタリングを厚く置いた設計も、成否を分けた要素でしょう。AI開発やコンサルティングの経験を持つ専門家が参加者の考えを引き出しながら、実現可能性の高い形へ具体化していく過程は、企画づくりそのものの訓練としても機能します。参加者から「企画はたたかれて良くなることを改めて実感した」という反応が出ていることからも、一度出した案を外部の視点で削り直す往復に重心が置かれていたことがうかがえます。
審査員に役員など、事業化した際に関係者となる可能性の高い人たちを据えた点は、運営上の工夫として見逃せません。この種のイベントが単発で終わる原因の多くは、選ばれた案を実行に移す段階で、意思決定者への説明を一から始め直さねばならないところにあります。審査の場を、選考であると同時に意思決定者へ社内の発想を届ける場としても使う設計により、その断絶をあらかじめ潰しにいったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
募集には150件以上のアイデアが集まり、発表会にはオンライン参加を含めて650名以上が集まりました。最も重視されていたのはイベントの盛り上がりではなく具体的なプロジェクトの推進で、発表会以降に実装へ動いているものが2件あります。1件は要件を整理したうえでプロトタイプ作成へ向かう段階、もう1件は当初の想定より規模が大きくなり予算面の課題を抱えながら事業部内で進行中です。発表会に残らなかった案件も、横展開できるものやインパクトのあるものを対象に、あらためて洗い出す方針が示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、AIを使える環境はすでにあるのに利用が一部にとどまっている組織です。この事例で効いているのは道具の追加ではなく、業務を工程に分けて差し込みどころを探す考え方を先に配り、出てきた案を外部の目で磨く場を用意した順番のほうにあります。この順番であれば、社内で使っているツールが何であっても再現の余地があるはずです。
一方で、そのまま真似ると空回りしやすい条件もあります。審査員に役員を据える打ち手が効くのは、アイデアを事業化へ運ぶ意思決定者と現場の間に距離がある規模だからで、経営者が日常的に現場の案を拾える小さな組織では、審査会を設けるより直接持ち込むほうが速いこともあるでしょう。良い案が出ても予算がつかなければ止まる点は、この事例でも1件が現に直面しています。まずは一つの部署で、直近に作った資料や手戻りの多い工程を題材に、生成AIをどこで挟めるかを30分だけ話し合う場を持ってみる。全社に広げるかどうかの判断は、その反応を見てからでも遅くありません。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
プロジェクト実施・導入企業
キカガク
法人向けDX研修を提供する企業。業界業種を問わず1000社以上の企業に導入され、DX人材育成における課題解決を支援している。
大日本印刷株式会社
出典・参考情報
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