更新 2026.08.14
中外製薬の全社DX研修、平均スコア11点向上と4,800人参加を生んだ設計
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内のデジタル格差が広がっている
- 研修を用意しても同じ人しか来ない
- 苦手な人ほど学びから遠ざかる
どのようなAIの取り組み?
理解度診断とeラーニングを2ヶ月に凝縮し、国内グループ社員の6割にあたる約4,800人の自主参加と平均スコア11点の向上につなげた、全社デジタルリテラシー教育の取り組み
業種
医薬品製造(製造業)
取り組み領域
全社の人材育成/DXリテラシー教育
使ったAI
DXアセスメント(理解度診断)+eラーニング(学習内容の個別最適化)
主な成果
修了者の平均スコアが72点満点中52点から63点へ11点向上
医薬品メーカーの中外製薬は、全社的なデジタル人材育成として、DX研修事業を手がけるキカガクのDXアセスメント(デジタル知識の理解度を測る診断テスト)とeラーニングを組み合わせた「DXリテラシー向上プログラム」を実施しました。約20分の診断で各自の現在地を測り、その結果に応じて必要な講座だけを受講し、最後にもう一度診断を受けて伸びを確かめる流れです。提供元標準の1年間ではなく受講期間を2ヶ月に絞り、参加は原則手挙げ制としました。社員同士の紹介を促す告知や、Power AutomateとPythonによる進捗別の個別リマインドで、参加と完走を後押ししています。国内グループ社員8,000人弱の61パーセントにあたる約4,800人が参加し、修了者の平均スコアは11点伸びました。
出典:導入事例:中外製薬株式会社様 | アセスメント平均スコア11点向上。デジタル格差を解消し、4,800人の行動変容を実現したDXリテラシー教育の全貌 | 法人向けDX研修ならキカガク 発行元:キカガク
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
中外製薬はDXを2030年に向けた成長戦略のキードライバーに位置付けていましたが、社内では部署や職種によってデジタルツールの活用率に差があり、この「デジタルデバイド(デジタル活用の格差)」が推進のボトルネックになっていました。学習コンテンツもDXプロジェクトへ参画する場も以前から用意されていたものの、新しい取り組みに自主的に手を挙げるのは8,000人弱の社員のうち多くて2,000人ほどで頭打ち。「DXは推進部門や一部の専門家の仕事で、自分には関係ない」という受け止めが根強く残っていました。
編集部の見立てでは、この「2,000人の壁」は学ぶ機会が足りないことの表れではなく、用意された機会が届く相手が固定されていたことの表れではないでしょうか。自分で必要性を判断し、自分で選び取れる人にしか機会は届きません。デジタルに馴染みの薄い社員にとっては、「あれはスキルの高い人たちのためのもの」という先入観そのものが最初の関門で、教材の中身に触れる手前で足が止まっていた。困りごとの本質は、コンテンツの不足ではなく到達の設計にあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
学習の入り口を講義ではなく理解度診断に置き、その結果から受講すべき講座が自動で提示される導線が、この取り組みの土台になっています。診断で現在地を測る、必要な範囲だけを学ぶ、もう一度診断を受けて伸びを見る。この一直線の流れは、「何から手をつければいいか分からない」という迷いを学習者に持たせない構造になっており、苦手意識のある層ほど効きやすい設計と見えます。自分の弱点が埋まっていく手応えが数値で可視化される点も、学びを続ける理由を学習者自身の内側に置く工夫と言えます。
提供元の標準では1年間だった受講期間を、あえて2ヶ月に絞り込んだ判断も見逃せません。この短縮は、100名規模で実施した先行トライアルで出た「期間が長くなっても先送りしてしまうだけ」という受講者の本音を反映したものです。診断1回が約20分、講座は1本約10分で全体でも約2.5時間という総量設計と組み合わせることで、「これなら数時間で終わる」という見通しが最初に立ちます。多忙な社員を巻き込む全社規模の施策では、内容の質と同じくらい、参加前に負担量を見積もれることが実行可能性を左右したのではないでしょうか。
参加を広げる手段を事務局の告知ではなく社員同士の紹介に置いた運用設計は、届きにくい層への打ち手として理にかなっています。全社向けオンライン説明会のゴールを、参加者本人の申し込みではなく周囲への紹介に設定し、申込フォームに任意の紹介者欄を設けることで、誰が周りを動かしているかをデータで把握できるようにしました。さらに、受講者の進捗に応じてパターン分けした個別リマインドをPower AutomateとPythonで半自動化し、単なる督促ではなく診断結果や先行受講者のコツを添えた声かけとして届けています。達成目標をAランク(正答率80パーセント以上)と高めに置いたうえで、到達者を人事システム上の認定資格として登録する仕組みを新設した点も、学ぶ理由を業務の外側に置かないための接続と読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
手挙げ制にもかかわらず、国内グループ社員8,000人弱の61パーセントにあたる約4,800人が参加し、2回目の診断まで終えた修了率は92パーセント、目標としたAランクの合格率は88パーセントに達しました。平均スコアは72点満点中52点から63点へ11点伸び、推奨された講座の進捗率が高い人ほどスコアが伸びる傾向もデータで確認されています。スコアのばらつきも縮まり、事後アンケートでは87パーセントがリテラシー向上を実感、76パーセントがさらに学びたいと回答。業務で生成AIを積極的に使うようになったという変化も生まれています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、教える内容そのものより「誰が学び始めるか」が詰まっている組織です。診断で現在地を測り、その人に必要な範囲だけを短時間で学ぶ構成は、教材をゼロから作らなくても既存のeラーニングやテスト機能で組み立てられます。数百人規模の会社でも、部署をまたいだ紹介の連鎖は十分に起こせますし、申込フォームに紹介者欄を一行足すだけなら仕組みの改修もほとんど要りません。
一方、そのまま持ち込みにくい部分もあります。今回は認定資格を人事システムに登録し、ジョブ型人事制度への移行という社内の流れと重なったことで、学ぶ動機が制度の側から支えられました。評価や資格制度と接続できない場合、短期集中の設計だけでは完走まで引っ張りきれないことも考えられます。進捗に応じた個別リマインドも、配信を自前で組める前提があってこそ成立するもので、担当者の手作業に頼るなら対象人数を絞る判断が要ります。
手始めに、直近の社内研修で参加しなかった人が全体の何割いたかを確認してみてはどうでしょうか。届いていない層の輪郭が見えれば、告知文を書き直すのか、紹介の導線を作るのか、打ち手の順番が決まります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
キカガク
法人向けDX研修を提供する企業。業界業種を問わず1000社以上の企業に導入され、DX人材育成の課題解決を支援している。DXアセスメントやeラーニングコースを提供。
中外製薬株式会社
出典・参考情報
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