実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.14
山梨大学、Teams上で使える学内専用の生成AIチャットボットを教職員へ展開
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生成AIを職員に使わせてよいか迷う
- 情報の扱いが不安で導入が進まない
- 指示文を書ける人しか使えない
どのようなAIの取り組み?
Azure OpenAI Service を基盤に、Teams 上で教職員が使える学内専用のチャットボットを整備したAI取り組み
業種
国立大学(教育サービス)
取り組み領域
教職員の業務支援/学内チャット
使ったAI
Azure OpenAI Service(文章生成AI)
主な成果
教職員向けに学内専用チャットボットの展開を開始
山梨大学は、教職員が業務のなかで安全に使える文章生成AIの環境として Azure OpenAI Service を基盤に選び、学内専用のチャットボット「UY×AI(ゆい)」を整えました。構築を担ったのは、クラウドとAIの導入支援を手がける株式会社ナレッジコミュニケーションです。まず検証用の簡易なチャットボットを短期間で用意し、その環境を触りながら使用するモデルや回答のスタイルを決め、最終的に Microsoft Teams の組織専用カスタムアプリとして提供する形にまとめました。利用は大学の Microsoft 365 アカウントに紐づき、学内関係者だけがアクセスできます。利用ニーズの高い文章要約と日英翻訳には専用ボタンが置かれ、2024年12月に教職員向けの学内展開が始まりました。
出典:【導入事例】山梨大学、業務支援への活用を目的とし、Azure OpenAI Service を活用した専用Teams Chatbot 『UYxAI(ゆい)』の学内展開を開始 | 株式会社ナレッジコミュニケーションのプレスリリース 発行元:株式会社ナレッジコミュニケーション
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
山梨大学は2023年5月の学長メッセージで、AI対話サービスのような新しい技術を拒絶せず、効果的・倫理的・適切に使って学びを深めてほしいという方針を掲げていました。とはいえ方針が示されても、教職員や学生が実際に使える場が用意されていなければ、利用は各自が選んだ外部サービスに委ねられます。プロジェクトを担当した大学教育・DX推進センターが環境整備の必要性を認識した背景には、この落差があったと考えられます。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は生成AIの機能が足りないことではなく、大学として「使ってよい」と言い切れる根拠がどこにもなかった点にあります。入力した内容が生成AIの学習データに使われないこと、利用者を学内に限れること、大学独自の環境として調整できること。Azure OpenAI Service を選んだ理由として挙げられているのは、いずれもAIの賢さではなく、組織が責任を持てるかどうかに関わる条件でした。
どうやって、うまくいったのか
プロジェクト開始から1ヶ月未満で検証用のシンプルなチャットボットを Azure 環境に置き、そこから形を固めていったアジャイル型の進め方が、この案件の骨格になっています。使用する生成AIモデルや求める回答のスタイルは、仕様書の上で議論するのではなく、実際に触った感触をもとに検討されました。Teams のカスタムアプリとして試用が始まってからも、寄せられたフィードバックを受けて機能の追加や調整が重ねられ、そのうえで最終リリースを迎えています。完成形を想像しながら大学側の担当者が判断できる状態を先に作った点が、この進め方の要でしょう。
入り口を Teams に寄せた設計も効いています。大学の Microsoft 365 アカウント情報と紐づけることで利用者認証とアクセス制限を同時に満たし、新しいIDや別画面を増やさずに済みました。加えて、利用ニーズの高い文章要約と日英自動翻訳は専用ボタンとして設置され、都度プロンプトを打ち込まなくても使えます。指示文を書ける人だけが恩恵を受ける構図を避け、普段のチャットと同じ操作感に寄せた判断と読み取れます。
不適切な使い方への備えを、注意喚起ではなくシステムプロンプトへの制御条件として埋め込んだ点も見逃せません。個人情報や著作権侵害の可能性がある場合には回答を生成せず、その旨をメッセージで返す仕組みになっています。運用面では、モデルと提供リージョンによって応答までの時間が変わることを踏まえ、終盤にリージョンやモデルの選定日を設けて最新情報から選び直せるようにし、最新モデルの動向を毎日確認して変更提案を行う体制がとられました。生成AI分野の進化の速さを前提に、選択を一度で固定しない構えにしてあります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
学内展開により、教職員が Teams 上から生成AIを業務のなかで使い始める段階に入りました。公表された内容に削減率や削減時間といった数値は含まれておらず、現時点の成果は「いつでも何でも相談できる身近なアドバイザー」として利用が立ち上がったこと自体にあります。今後は、業務に必要な機能カードの増設、RAG(外部データを検索してAIの回答に活用する仕組み)環境の追加、ログ管理機能といった拡充が目標に掲げられ、他の国立大学や教育機関への提供も視野に入っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、Teams や Microsoft 365 のような共通の業務基盤が組織の全員に行き渡っている職場です。認証とアクセス制限を既存アカウントに任せられるうえ、利用者は普段開いている画面から入れるため、使い方を説明する手間が小さく済みます。文章の要約や翻訳のように、部署をまたいで誰にでも発生する作業が多いほど、ボタン化の効き目は出やすいでしょう。
一方で、この形がそのままはまらない場面もあります。学内規程や過去の事務手続きのように、組織固有の情報を参照しなければ答えが出ない問い合わせは、汎用の文章生成だけでは扱えません。山梨大学の環境でもRAGの追加は今後の目標に置かれており、そこは別の仕込みが必要になる領域です。まずは、要約や翻訳のように「毎日誰かがやっていて、手順が決まっている文章作業」を一つ選び、既存のチャットツールの中でボタンを押すだけの形にできるか試してみる。小さく出して直す前提なら、最初の一手はそれで足ります。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ナレッジコミュニケーション
2012年よりクラウドとAIを活用したデータ活用支援およびコンサルティングサービスを提供。事業内容はクラウドAI導入支援、運用サポート等。「Microsoft Azure の AI および Machine Learning」Specialization を取得し、「AI内製化ソリューション」「AIアクセラレーターパック for Azure OpenAI Service」などのサービスを提供。2024年10月に一般社団法人AIガバナンス協会(AIGA)へ加盟。
山梨大学
出典・参考情報
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