実施 2026.01 ・ 更新 2026.08.13
キッコーマンがLINEでAI献立提案、9000点超のレシピから対話で提示
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 自社サイトの情報が使われない
- SNS配信が一方通行のまま
- AIを社内効率化以外にも使いたい
どのようなAIの取り組み?
9,000点を超えるレシピ資産と生成AIの対話を組み合わせ、LINE上で献立を提案する顧客接点をつくったAI取り組み
業種
食品メーカー(製造業)
取り組み領域
顧客接点/LINEでのレシピ提案
使ったAI
AIチャット機能「Ligla」(生成AI)
主な成果
9,000点以上のレシピを対話で提案するサービスを一般公開
キッコーマンは、LINE公式アカウントで提供するレシピ提案サービス「みつかる♪きょうのごはん」に、ブレインパッドグループのTimeTechnologiesが開発するLINE向けマーケティングツール「Ligla(リグラ)」のAIチャット機能を採用しました。利用者はコーポレートキャラクター「なあにちゃん」と会話しながら、冷蔵庫に残っている食材やその日の気分を伝えると、9,000点以上のレシピの中から献立の候補を受け取れます。返信メッセージの候補を選択肢の形で自動表示する仕組みや、病気・アレルギーに関わる話題での対話制御も組み込まれており、2026年1月26日から一般公開されています。
出典:[株式会社TimeTechnologies発表]ブレインパッドグループのTimeTechnologies、キッコーマンのLINE公式アカウントに「Ligla(リグラ)」のAIチャット機能を提供開始 - ブレインパッド 発行元:株式会社ブレインパッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この取り組みの出発点は、問い合わせ対応の負荷といった社内側の困りごとではなく、消費者との関係の作り方にありました。LINE公式アカウントを通じたつながりは、企業からメッセージを配信する一方向のものが中心で、そこから先の会話が生まれにくい構造です。キッコーマンは「ファン化の促進/顧客接点の充実」を掲げ、その中核施策として双方向のやり取りができるAIチャットによるレシピ検索を検討してきました。
編集部の見立てでは、本当の詰まりは9,000点を超えるレシピという資産そのものではなく、それを「今日の晩ごはんはどうしよう」という消費者側の曖昧な問いに結びつける経路が細かったことにあるのではないでしょうか。検索窓に入れる言葉が決まっていない人にとって、蓄積量の多さはそのまま使いやすさにはなりません。背景として、生成AIの普及後も企業側の活用用途は社内の業務効率化に寄りがちである、という認識も示されています。
どうやって、うまくいったのか
対話の入口を、料理名やカテゴリではなく「冷蔵庫に何が残っているか」「どんな気分か」という消費者の言葉に置いた設計が、この取り組みの中心にあります。既存のレシピを作り直すのではなく、9,000点以上の蓄積を生成AIが参照する対象として据え、はっきりしない言い方からでも候補を絞り込める形に変えた格好です。コンテンツを増やす方向ではなく、すでにある資産への入り口だけを作り替える判断は、長く蓄積を続けてきた企業ほど効き方が読みやすいはずです。
ユーザー側の返信メッセージを選択肢として自動表示する仕組みも、地味に見えて効果の大きい工夫でしょう。チャットは自由に書けることが利点である反面、何を打てばよいか分からない瞬間に会話が止まります。打ち込む手間を省く選択肢を挟む設計により、キャラクターとの会話が途切れずに続き、提案の精度を上げるための手がかりも自然に集まる構造。あわせて、メッセージが集中する時間帯でも応答速度を保つシステム基盤を用意した点は、利用が特定の時間に偏る献立相談という用途を前提にした組み立てと読めます。
病気に関する質問やアレルギーへの注意喚起といった領域に、あらかじめガードレール(AIが答えてよい範囲をあらかじめ制限する仕組み)を効かせた対話制御は、食品メーカーが消費者と直接会話する以上は避けて通れない部分です。生成AIは聞かれたことに答えようとするため、健康や体質に踏み込む問いへどこまで応じるかを先に線引きしなければ、公開の可否そのものが判断できません。安全側の制御を後付けの制限としてではなく、ツール採用時の評価軸に組み込んだ進め方が、企業の公式チャネルでの一般公開を成り立たせたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本機能は2026年1月26日から、キッコーマンのLINE公式アカウント上のレシピ提案サービスとして一般公開され、消費者が実際に使える状態になりました。開発面では、構想からおよそ1か月という短期間でプロトタイプが立ち上がっています。効果については、献立を考えるという日々の悩みを解決し、料理の楽しさを再発見してもらうことでキッコーマンをより身近に感じてもらう、という期待がキッコーマン側から示されている段階で、利用実績としての数値は公表されていません。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、レシピのように「正解が一つに定まらず、相手の状況によって答えが変わる」情報を、ある程度の量で自社に持っている場合です。既存の顧客チャネルがすでにあり、そこに会話の入口を足せる状況なら、コンテンツを新規に作り込むより着手のハードルは低くなります。選択肢を提示して相手の状況を聞き出す作りも、業種を問わず流用しやすい部分でしょう。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。今回のように健康や体質に触れうる話題を扱う場合、どこから先は答えないかの線引きと、その判断を誰が承認するかを固めなければ公開段階に進めません。また、参照させる情報が数十件程度しかないなら、対話でたどり着かせる価値は薄く、一覧を見せたほうが早い場面も多いはずです。
はじめの一歩としては、顧客から実際に寄せられている質問のうち、相手の事情によって答えが変わるものを一つ選び、「AIに任せてよい範囲」と「人が答えるべき範囲」の境目を一枚の紙に引いてみる。この線引きができるかどうかが、公開できる会話か否かの分かれ目になります。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社TimeTechnologies
株式会社ブレインパッドのグループ企業。LINE特化型マーケティングオートメーション「Ligla(リグラ)」の開発と提供を手がける。資本金17百万円(2022年4月15日現在)。
キッコーマン株式会社
出典・参考情報
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