実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.13
数日かかる技術パートナー探索を数分に、製造業向けサービスのAIチャット開発支援
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 協業できる技術先探しに時間がかかる
- 集めた企業情報の正確さが不安
- 候補の良し悪しが担当者任せ
どのようなAIの取り組み?
独自の技術情報データベースと対話形式のAIチャットを組み合わせ、製造業のパートナー探索を数分での情報抽出につなげたAI取り組み
業種
ビジネスマッチング・技術探索支援(士業・コンサルティング)
取り組み領域
技術・パートナー探索/新規サービス開発
使ったAI
LLMを用いたAIチャット機能(生成AI)
主な成果
数日〜数週間の調査を数分での情報抽出へ短縮するとしている(2025年9月先行提供開始)
リンカーズ株式会社は、製造業の企業が自社では解けない技術課題の相手先となる中小企業や大学を探せる新サービス「Linkers for Makers」を立ち上げ、その一部機能の構築を株式会社ABEJAが支援しました。ABEJAが持ち込んだのは、自社の基盤システムであるABEJA Platform上で培ったLLM(大規模言語モデル)と周辺技術のノウハウで、これをもとに対話形式のAIチャット機能が開発されています。参照先となるのは、公開特許や論文、市場データといったオープンデータに、リンカーズが10年以上のマッチング支援事業で蓄積してきた技術・課題の情報とマッチング実績を統合した独自データベースです。サービスは2025年9月から製造業のパートナー企業を対象に先行提供が始まり、2026年春の本格提供が予定されています。
出典:ABEJA、リンカーズの新サービス「Linkers for Makers」の一部機能の構築を支援 | 株式会社ABEJAのプレスリリース 発行元:株式会社ABEJA
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
製造業が新規事業や製品開発を進めるとき、自社のリソースだけでは解決が難しい技術課題に突き当たる場面は珍しくありません。相手となりうる中小企業や大学、公的研究機関そのものは全国に数多く存在します。それでも探索には膨大な時間とリソースがかかり、集まった情報の正確さにばらつきがあること、候補の評価が担当者の経験に左右されることが、課題として残されていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「候補が見つからないこと」ではなく、「候補が多いにもかかわらず、絞り込みの基準を自分の言葉にできないこと」にあったのではないでしょうか。探し始める前の段階で、何を条件に置けばよいのかが定まらない。だから調査は長引き、最後は目利きのできる人の判断に寄りかかることになります。数の問題ではなく、入口の設計の問題だったと読めます。
どうやって、うまくいったのか
公開特許や論文、市場データといった外部のオープンデータに、10年以上かけて自社で蓄積したシーズ(技術)とニーズ(課題)の情報、そしてマッチング実績を重ねて一つのデータベースにまとめた設計が、この取り組みの土台になっています。生成AIを載せる前に「何を参照させるか」を固めた順序が効いていると考えられます。既存の検索エンジンで拾えない相手が残るのは、そもそも公開情報の側にその企業の姿が十分に現れていないからで、そこを埋められるのは自前で持つ実績データだけです。外部データだけでも自社データだけでも届かない範囲を、統合によって取りにいく判断だったといえます。
AIチャットに与えた役割を、答えを出すことではなく調査要件を一緒に定義することに置いた点も、この設計の要でしょう。対話しながら条件を詰めていく形にすれば、専門知識のない利用者でも探索の入口に立てます。絞り込みそのものは長年の技術探索支援で培われた調査アルゴリズムが担い、AIチャットは利用者側の曖昧さを言葉に変える工程を引き受ける。役割を分けたことで、生成AIの出力だけに精度の責任を負わせない構造になっています。
LLMとその周辺技術の実装ノウハウを外部から取り込んだ体制も見逃せません。ABEJAがABEJA Platform上で積み上げてきた知見を提供し、リンカーズは自社の調査ノウハウと独自データに専念する分担です。何を内に残し、何を外に頼むかの線引きが明確なぶん、AI機能の開発が本業である探索力の側を薄めずに済んでいます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
調査アルゴリズムとAIチャットを組み合わせた探索により、膨大なデータベースからニーズに合致する情報をわずか数分で抽出でき、従来は数日から数週間を要していた調査プロセスを大幅に短縮するとされています。ただしこれは先行提供の開始にあわせて示された到達点であり、利用企業側で測定された削減実績として公表されたものではありません。サービスは2025年9月にリンカーズの製造業パートナー企業向けの先行提供が始まり、2026年春の本格提供が予定されている段階です。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、調査や引き合わせの履歴が社内に溜まっているのに、それが個々の担当者のファイルや記憶に散らばっている業務です。外部の公開情報だけで答えが出る調査であれば汎用の検索や生成AIサービスでも間に合いますが、公開情報に十分現れない相手を探す仕事では、自社の実績データを検索の対象に組み込めるかどうかが分かれ目になります。
一方で、条件が定まったあとに実際の引き合わせまで運ぶ人のつながりがなければ、候補が数分で並んでも次に進みません。この事例で全国の産業コーディネーターとの関係が機能の一部として併記されているのは、抽出の後工程を誰が担うかまで含めて設計されているからでしょう。AIの部分だけを真似ても、その先が空白なら効果は限られます。
まずは直近の調査依頼を数件取り出し、担当者が最初のやり取りで相手に何を聞き返しているかを記録してみてはどうでしょうか。その質問の型こそが、対話でAIに要件を整理させるときの原案になります。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ABEJA
「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行うデジタルプラットフォーム事業を展開。2012年の創業時よりABEJA Platformの研究開発を進め、2012年からディープラーニング、2018年からLLM、2019年から量子コンピューティングの研究開発に取り組んでいる。東証グロース上場。
リンカーズ株式会社
出典・参考情報
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