実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.15
スズキが2040年から逆算、20年ぶりの基幹システム刷新をAI前提で構想
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 古い基幹システムに手をつけられない
- 改修を重ねてシステムが複雑になった
- 利用者の本当の要望がつかめない
どのようなAIの取り組み?
2040年の姿から逆算するワークショップと、触れて確かめられる試作を通じて、20年使われてきた基幹システムの新しいコンセプトを描いたAI取り組み
業種
四輪車・二輪車製造(製造業)
取り組み領域
情報システム部門/基幹システム刷新の企画構想
使ったAI
対話型AIアシスタント(プロトタイプ)
主な成果
基幹システムを「ツール」から「パートナー」へ再定義
四輪車・二輪車などを手がけるスズキでは、設計から生産までをつなぐ図面管理システム「STAGE」と文書管理システム「SUIT-DB」が20年にわたり使われてきました。新しいパッケージへの置き換えも検討されましたが、独自の業務フローや運用ルールが多く合わないと分かり、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と、CTCが資本業務提携するデザインファームのグッドパッチが加わって、作り方そのものを見直す企画構想フェーズが立ち上がりました。設計・生産・デザインなど所属の異なる約30名の利用者が6グループに分かれ、2040年の姿から逆算する全4回のワークショップに参加。そこで多く挙がった「AI」と「パートナー」という言葉をもとに、対話型AIアシスタントとゲーミフィケーションという2種類のプロトタイプが作られ、約半年でシステムの新たなコンセプトが整理されました。
出典:スズキ株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ 発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
20年にわたり使われてきた図面管理・文書管理の基幹システムは、利用者の要望に応じた部分改修を重ねるうちに複雑化し、社内で全体を把握しきれない状態になっていました。膨大な情報を扱うだけに「下手に触って止めるわけにはいかない」という心理的な壁もあり、運用とサポートに追われて新しい技術動向を追う余裕もない。改善したいのに手をつけにくい状況が続いていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は機能の不足ではなく、システムを「どうしたいか」を語る言葉が社内から失われかけていたことにあります。触れないシステムは、やがて要望を出す対象からも外れていきます。そこで集まる声は目先の改修要望に寄りやすく、この先20年を支える土台を決める材料にはなりません。パッケージへの置き換え案が行き詰まったのも、比較の基準そのものが手元になかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
議論の入口を「2040年の未来」に置き、そこから逆算するバックキャスティングという進め方が、この企画構想の骨格になっています。現行システムを前提に課題出しから始めると、話は既存機能への不満と改修要望に収れんしやすい。全4回のワークショップは、まず大きな未来像を描き、回を追って「STAGE」「SUIT-DB」へ議論を寄せていく順序で設計されており、遠回りに見えるこの構成自体が、参加者の視点を現状から引きはがす仕掛けとして働いたと考えられます。序盤に「これはシステムの話ではないのでは」という戸惑いが出たことも、前提を外す作業が効いていた裏返しと読めます。
描いた未来像を、操作できるプロトタイプへ翻訳した点も見逃せません。「パートナー」と「ゲーム」という性格の異なる2テーマに分けて作り込む判断は、平均的な折衷案に丸めず、提供価値を尖らせた状態のまま見せるための切り分けだったのでしょう。言葉のままでは解釈が人それぞれに残りますが、画面に触れれば「こんなに楽していいのだろうか」といった具体的な反応が返ってきます。構想を検証できる素材に変える工程を挟んだ設計が、未来像を要件へ橋渡しする条件になったと考えられます。
利用者を作り手側へ引き入れた体制も、この進め方を成り立たせています。所属の異なる約30名が6グループで議論し、プロトタイプの体験にも再び集まる往復の構造があるため、出たアイデアが誰のものか分からなくなる断絶が起きにくい。CTCがシステム構想と実現性の検討を担い、グッドパッチがデザイン思考の設計とUI制作を受け持つ役割分担も、構想と実装の距離を詰める側に働いたと見られます。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
企画構想フェーズの成果として大きいのは、情報を登録・検索する道具として捉えられていた基幹システムを、未来の業務に寄り添う「パートナー」へと位置づけ直せたことです。利用者から吸い上げた要望は機能一覧やアイデアの形にまとまり、すでに要件定義フェーズのインプットとして使われています。「AI」「パートナー」「ゲーミフィケーション」という3つのキーワードは今後の開発方針を示す指針として残り、新システムは各システム・技術データ・人・組織をつなぐハブと位置づけられ、まずは2026年度末の第一フェーズ稼働が目標に置かれています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、独自の業務フローが積み上がっていてパッケージがそのままでは合わない領域や、改修の積み重ねで全体像が見えなくなった社内システムを抱えている場合です。現状の不満を集めるヒアリングでは改修要望しか出てこないというとき、時間軸を先に飛ばして「どう使えたら嬉しいか」から聞き直す進め方には、まだ言語化されていない要望を引き出す余地があります。
一方でこの進め方は、部門をまたいだ利用者に業務時間を割いてもらい、出たアイデアを触れる形にするところまでやり切って初めて機能します。ワークショップ止まりなら、楽しかったという感想が残るだけになりかねません。日々の業務が逼迫して参加者を出せない、試作を作る手が確保できないという状況なら、大がかりに構えないほうが現実的です。まずは自部門でよく使う画面を1つ選び、5年後にその画面が誰の何を肩代わりしていてほしいかを、利用者3人に聞いてみるところから。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
SIer。デザイン思考を取り入れて新規ビジネスやシステム構想を共創する「Buildサービス部」を持ち、デザインファームの株式会社グッドパッチと資本業務提携し人材交流も行う。中日本営業本部・中日本技術本部などの組織を有する。
スズキ株式会社
出典・参考情報
スズキ株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ
発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
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