実施 2024.08 ・ 更新 2026.08.14
iPad32台が連動する展示に画像生成AIを組み込んだ体験コンテンツの設計
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 展示会でブースに人が集まらない
- 自社の技術力をうまく伝えられない
- AIを使った体験型の企画を作りたい
どのようなAIの取り組み?
Stable DiffusionとControlNetを使い、来場者の写真を世界各国のお祭り風の画像に変える体験を、32台のiPadが連動する展示ディスプレイとして開発したAI取り組み
業種
クラウドインテグレーション(IT・通信)
取り組み領域
展示会ブースの体験型コンテンツ/イベントディスプレイ
使ったAI
Stable Diffusion+ControlNet(画像生成AI)
主な成果
体験型展示が反響を呼び、画像生成AIの導入検討企業から多数の問い合わせ
クラウド支援サービスcloudpackを手がけるアイレット(KDDIアイレット株式会社)は、自社の展示ブース向けに、来場者の写真をその場で別世界の一場面に変える画像生成アプリを開発しました。画像生成にはStable Diffusionを使い、拡張機能のControlNetで撮影画像から姿勢や輪郭、顔の特徴を取り出したうえで、世界各国のお祭りの雰囲気へ変換する仕組みです。以前から手がけていたイベントディスプレイ用のiPadアプリに機能を追加する形をとり、2024年8月1日から2日に開催されたGoogle Cloud Next Tokyo ’24では、32台のiPadを同期させた大型ディスプレイとして展示しました。生成された画像はQRコード経由で来場者が持ち帰れる設計です。
出典:画像生成 AI アプリで顧客体験価値を向上!32台の iPad が連動したインタラクティブディスプレイを開発 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、iPadで動かせる画像生成AIアプリをつくりたいという開発上の狙いと、展示会で来場者の足を止める体験をどう用意するかという企画上の問いでした。生成AIを扱う企業が増えるなかで、技術を持っていること自体はもはや差にならず、「AIで何ができるのか」を直感的に伝える手立てが要る、という認識も背景にあります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は技術力の不足ではなく、技術と来場者のあいだをつなぐ翻訳装置が手元になかったことにあります。説明パネルや事前に用意したデモ映像では、AIの出力を自分ごととして受け取ってもらいにくい。自分の写真が目の前で変わるという形式は、その翻訳を来場者自身の体験に肩代わりさせる仕掛けだったと言えます。
どうやって、うまくいったのか
撮影した人物と背景をどう切り分けるかに開発の重心を置いた設計が、この企画の土台になっています。ControlNet(画像生成の出力を下絵や姿勢で制御する拡張機能)で写真から姿勢や輪郭、顔の特徴を取り出し、そのうえで奥行きの情報を使って境界線を抽出する方式を採用。背景を丸ごと差し替えても本人の特徴が残るのは、この一手間があってこそでしょう。
題材となるお祭りの選び方にも、生成AIの性質を踏まえた判断が表れています。各国の祭りについて衣装や化粧、装飾品、その国ならではの特徴までを調べ、AIへの指示文(プロンプト)に落とし込んでは生成と検証を繰り返す進め方がとられました。そのうえで、動作そのものに特徴がある祭りよりも、服装や装飾で雰囲気が伝わる祭りを優先しています。AIに苦手なことをさせるのではなく、得意な方向へ題材のほうを寄せる。この割り切りが、生成結果の一貫性を支えたのではないでしょうか。
待ち時間を体験の一部として設計し直した点も見逃せません。初期段階では1回の生成に約4分かかっていたため、Compute Engineのインスタンスを2つ使った並列処理とGPUの増強で処理側を手当てしています。同時に、画面をタップした位置から波紋が広がる演出や、ページをめくるように切り替わるローディング画面をShader(描画を細かく制御する仕組み)で作り込みました。処理速度だけで押し切ろうとせず、演出と両輪で詰めたことが、待つ時間を不満に変えない構造を生んだと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
展示会場では生成された画像を喜んで受け取る来場者の姿や、順番を待つ列が見られ、仕組みそのものに関心を持った人からは技術的な質問も寄せられました。結果として、画像生成AIの導入を検討する企業から多数の問い合わせが寄せられています。処理面でも、当初約4分を要していた生成が並列処理とGPU増強によって短縮され、4枚の画像をなめらかに出せる状態になりました。体験そのものが技術の説明役を果たした、と読むこともできます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、来場者や来店客がその場で参加でき、生成物をデータとして持ち帰れる形に落とせる場面です。ソースでも、アパレルでのバーチャル試着や観光での地域体験コンテンツへの展開が期待として挙げられています。撮る、待つ、受け取るという流れが自然に成立する場であれば、同じ組み立てはかなり移しやすいはずです。
一方で条件は軽くありません。人物の輪郭を安定して取るには撮影位置や明るさがある程度整った専用スペースが必要ですし、生成を待ってもらえる時間にも限りがあります。GPUを動かし続ける構成になるため、来場者数に対して費用が見合うかの見極めも欠かせません。商品の見た目を正確に見せたい用途のように、生成結果の揺らぎが許されない場面には不向きです。
試すなら、まずは自社で見せたい世界観をひとつだけ決めて、社員の写真1枚を市販の画像生成サービスに通し、本人だと分かる範囲でどこまで変換できるかを確かめてみる。そこが向き不向きの分かれ目になります。
この事例は2024年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、開発、運用保守、生成 AI 導入支援などを手掛ける。
出典・参考情報
画像生成 AI アプリで顧客体験価値を向上!32台の iPad が連動したインタラクティブディスプレイを開発
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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