実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.14
バンダイナムコがゲーム映像から目的のシーンを言葉で探す生成AI検索の実証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 動画から目的の場面を探すのに時間がかかる
- 詳しい人しか必要な素材を探せない
- 社内に眠る映像を活かしきれていない
どのようなAIの取り組み?
Gemini と Vertex AI Search を組み合わせ、ゲーム映像から目的のシーンを自然な言葉で探せる検索基盤を PoC 開発した AI 取り組み
業種
家庭用ゲーム・コンテンツ制作(メディア・エンタメ)
取り組み領域
映像制作・デバッグ/映像アセットの検索
使ったAI
Gemini(生成AI)+Vertex AI Search(意味で探す検索基盤)
主な成果
作品に詳しくない担当者でも目的のシーンを検索でき、工数削減につながる(PoC段階)
株式会社バンダイナムコエンターテインメントは、蓄積したゲームプレイ映像や PV 動画から目的のシーンを取り出す作業を効率化するため、シーン検索システム「ClipSearch」の PoC(小規模な試験開発)に取り組みました。開発は Google Cloud の内製化支援プログラム TAP の枠組みで始動し、Google 社とバンダイナムコエンターテインメント、パートナーとして参加したアイレットの三者体制で、期間中の4日間にプロトタイプを組み上げています。仕組みの中心にあるのは Gemini で、動画から視覚・セリフ・テキストの情報を取り出して検索用のデータへ変換し、Vertex AI Search によって自然な言葉での検索を可能にしました。アイレットは検索基盤の設計・構築に加え、UI/UX 開発、API 開発、検索精度を左右するアノテーション設計までをワンストップで担っています。
出典:Gemini と Vertex AI Search で膨大な映像資産から目的のシーンを即座に検索!|株式会社バンダイナムコエンターテインメント様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
映像制作やデバッグの現場では、キャラクターの必殺技シーンや特定の演出カットを見つけるために、担当者が長い時間をかけて映像を追う作業が発生していました。しかもその特定は、プロデューサーなど作品に精通したメンバーの記憶と経験に依存する属人的なプロセスで、関係者以外には手が出しにくい状態が続いていた。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「映像が多すぎること」そのものではなく、映像という資産に対して検索の手がかりが存在していなかった点にあります。文書ならファイル名や本文の文字列をたどって探せますが、動画は中身が時間軸の上を流れていくため、外側から参照できる情報がほとんど残りません。その結果、作品を知る人の頭の中だけが唯一の索引として機能してしまう。属人化は原因ではなく、索引の不在が引き起こした症状だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
映像をそのまま生成AIに投げ込まず、いったんテキストに置き換えてから検索させる構成が、この仕組みの土台になっています。Gemini によるバッチ処理で各動画のメタデータを作成し、その際に視覚情報・セリフ情報・テキスト情報の3系統へ分けて、それぞれ別のプロンプトで抽出したうえ、検索用の構造化データとしてのタグも作る。出来上がったメタデータは JSONL 形式に整形され、Vertex AI Search のデータストアへ情報の種類ごとに格納されます。情報源を混ぜずに分けて保持したことが、検索時に複数の手がかりを組み合わせられる余地を生んだと考えられます。
精度をモデルの性能ではなく「与える材料」の側から押し上げようとした設計も見逃せません。キャラクターの見た目、音声、ステージの名前、情景といったアノテーション素材を検索対象の映像とあわせて Cloud Storage に用意し、判断の下地として使っています。角度や衣装が変われば同じキャラクターでも映り方は変わりますが、複数の素材を付与することで、その揺れを文脈の理解で補正する狙いがうかがえます。プロンプトの工夫だけに向かわず、判断材料そのものを先に整えるという順番の付け方は、他の領域にも移しやすい考え方でしょう。
探す側の感覚に合わせて検索の粒度を作り替えた点は、実運用を見据えた判断だと読み取れます。当初は動画単位で行っていたベクトル化をシーン単位へ細分化し、担当者が本当に欲しい瞬間的なカットへ届くようにした。並び順についても Vertex AI Search の信頼度スコアを用いて調整し、確度の高い結果が上位に来るよう整えています。UI をスクラッチで開発した選択も、要望に合わせて操作の流れを詰め切るためのものでした。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
PoC を通じて、プロモーション動画の制作時などにゲーム内の特定シーンを誰でも瞬時に検索できるツール「ClipSearch」が形になりました。作品内容に詳しくない担当者でも目的のシーンを簡単に探せるようになり、工数の削減につながっています。処理面では Vertex AI のバッチ予測の活用によって大量の動画を短時間かつ低コストで扱えるようになり、メタデータ作成が初回のみで以降は検索コストしか発生しないため、ランニングコストを低く抑えられる構造です。この取り組みをきっかけに、別のプロジェクトへの進展も生まれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、探したい対象がすでにデジタルデータとして手元にあり、その中身を言葉で説明できる素材を抱えている場合です。研修動画、店舗や展示会の記録映像、製造現場の作業記録など、内容を把握している人が限られていて、その人が不在だと必要な箇所にたどり着けない類のものが当てはまります。一方で、映像だけでは意味が確定せず、社内固有の呼び名や作品固有の背景知識がなければ判断できない素材では、この事例でいうアノテーション素材にあたる材料を誰がどこまで用意できるかが分かれ目になります。素材づくりの手間を見積もらないまま検索精度だけを期待すると、思ったような結果にならない可能性が高いでしょう。また、検索対象が数本程度にとどまるなら、仕組みを作るより人が見たほうが早い場面もあります。
最初の一歩は、手元の動画を数本選び、探したくなる場面を実際の言い回しで書き出してみること。「赤い衣装のキャラクターが技を出す場面」といった現場の言葉が並べば、先に整えるべき情報の種類がおのずと見えてきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社(アイレット)
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供し、AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行や運用保守、生成 AI 導入支援などを手掛ける企業。本事例では検索基盤の設計・構築、UI/UX 開発、API 開発、アノテーション設計をワンストップで支援した。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
出典・参考情報
Gemini と Vertex AI Search で膨大な映像資産から目的のシーンを即座に検索!|株式会社バンダイナムコエンターテインメント様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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