実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.14
小田急不動産の社内AIチャットボット、部署ごとのデータ分割で検索精度を高めた設計
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内資料がどこにあるか分からない
- 規程の確認に毎回時間を取られる
- 生成AIのコストが高く全社に広げられない
どのようなAIの取り組み?
Gemini を使った社内向けAIチャットボットを短期間・低コストで構築し、社則やナレッジを含む社内資料の検索を効率化した取り組み
業種
総合不動産(不動産)
取り組み領域
全社の社内資料検索・社内問い合わせ対応
使ったAI
Gemini を使った社内AIチャットボット(RAG)
主な成果
社内資料を検索できるAIチャットボットを短期間・低コストで構築
総合不動産会社の小田急不動産は、社則やナレッジを含む社内資料の検索を効率化するため、社内向けの生成AIチャットボットを導入しました。試験的に使っていたLLM(文章を扱う大規模なAIモデル)はコスト面に課題があり、Gemini の採用が検討されていた経緯があります。開発を担当したのはアイレットで、同社のサービス「Google Cloud かんたん AI パック」をベースに、Vertex AI や Vertex AI Agent Builder、Cloud Run などを組み合わせた構成が採られました。部署や業務ごとのニーズをヒアリングしたうえで、検索時に部署名・業務名をタグとして指定できるプロンプト設計機能、部署ごとのデータストア分割、RAG(社内データをAIが検索して回答に使う仕組み)の活用に加え、Firebase のブロッキング関数によるIP制限や独自のアカウント管理、ファイル添付、チャット履歴のCSV一括ダウンロードといった機能が実装されています。
出典:業務効率化をする実用的な AI チャットボットを短期間・低コストで実現|小田急不動産株式会社様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
小田急不動産が置かれていたのは、社則やナレッジが社内に管理されてはいるものの、必要なときに目当ての資料へたどり着くまでに手間がかかる状態でした。試験的に使っていたLLMはコスト面で折り合いがつかず、全社で使える形にするには別の選択肢を探す必要もありました。
ただ、この案件で重かったのは検索の精度やコストそのものよりも、入れたあとに使われ続けるかどうかという点だったのではないでしょうか。全社的に利用できること、ドキュメント検索を手軽に実装できること、そして導入して終わりにせず社内の利用促進につながること。この要望の並び方を見ると、求められていたのは高機能な生成AIというより、日常業務の流れの中で自然に開かれる相談先だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
部署ごとにデータストアを分け、検索時に部署名や業務名をタグとして指定できるようにしたプロンプト設計が、この仕組みの中心にあります。RAGは参照する資料の範囲が広がるほど無関係な文書を拾いやすくなるため、全社の資料をひとつの塊として扱わず、利用者の所属や業務であらかじめ絞り込む構成にした判断は、回答精度をモデルの性能任せにせず情報の置き方で確保する考え方だと読めます。部署や業務ごとにニーズを聞き取ってから機能を組み立てた順序も、この切り分けを実務の単位に合わせるうえで効いているはずです。
既製のパッケージを土台に据え、その上に足りない機能だけを作り込む二段構えも、短期間と実用性を両立させる現実的なやり方でした。基盤の構築と初期セットアップは「Google Cloud かんたん AI パック」で賄い、プロンプト設計機能、独自のアカウント管理、UI/UXの作り込みといった、その会社でなければ決められない部分に工数を寄せる。Vertex AI や Vertex AI Agent Builder、Cloud Run といったマネージドな部品で構成した点も、自前で作る範囲を意図的に狭める設計判断の一部です。
使われ続けるための仕掛けが機能側に組み込まれている点も見逃せません。ファイル添付に対応させて画像や音声も回答の材料にできるようにし、チャット履歴をCSVで一括ダウンロードできるようにしたことで、誰がどんな聞き方をしているかを後から確認できます。社内ネットワークからのアクセスに限定するIP制限を Firebase のブロッキング関数で実現し、外部サービスに依存しない権限管理を持たせた構成は、社内資料を扱ううえで避けられない管理要件を、利用のしやすさを削らずに満たすための工夫です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
パッケージを土台にしたことで、短期間でのシステム導入とコストの抑制が両立し、運用開始もスムーズに進んでいます。検索時に部署名や業務名をタグとして指定できるため、部署ごとに必要な情報へ迅速にたどり着ける状態が整いました。チャット履歴をCSV形式で管理できることから、利用状況の収集と分析も行えます。削減率のような数値は公開されていませんが、社内資料の探し方そのものを組み替えた事例です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内資料が電子化されていて、かつ「この文書は総務」「これは営業」といった具合に、所属や業務の単位で参照範囲を切り分けられる組織です。部署ごとにデータを分けてタグで呼び出す設計は、部門をまたいで似た資料が散在していても、どの部署のどの資料を正としているかが決まっていれば機能します。
逆に、同じ内容の資料が複数の部署に重複して置かれ、最新版がどれか関係者にも判断できない状態では、範囲を絞る前提が崩れてしまい、精度は上がりにくくなります。口頭やチャットでしか共有されていない判断基準も、この方式の対象外です。まず試すなら、この一か月で社内の誰かに口頭で聞かれた質問を三つほど書き出し、それぞれ「どの部署の、どの文書を見れば答えられるか」をたどってみること。たどり着けない質問が多いなら、着手すべきはAIより資料の整理のほうかもしれません。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供し、AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行・運用保守や生成 AI 導入支援を行なう企業。KDDIアイレット株式会社が提供元。
小田急不動産株式会社
出典・参考情報
業務効率化をする実用的な AI チャットボットを短期間・低コストで実現|小田急不動産株式会社様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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