実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.14
実証実験3か月で正答率5割から8割へ、電子デバイス企業の社内ナレッジ検索AI
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- マニュアルを見れば分かる質問が集中
- 詳しい人にしか答えられない業務
- 生成AIの進め方が分からない
どのようなAIの取り組み?
社内ナレッジ検索へのRAG活用を3か月の実証実験で検証し、回答の正答率を5割から8割へ引き上げたAI取り組み
業種
電子デバイス製品の設計・開発(製造業)
取り組み領域
社内ナレッジ検索/技術問い合わせ対応
使ったAI
生成AI・RAG(Vertex AI Search、Gemini 2.0)
主な成果
正答率が5割から8割へ向上(PoC段階)
電子デバイス製品の設計・開発と販売を手がける加賀FEI株式会社は、UI/UXソリューション事業の業務効率化を狙い、2025年1月から生成AIを使った社内ナレッジ検索の検証に着手しました。支援したのは、Google Cloud のパートナー企業であるアイレットです。Vertex AI Search を用いて、社内の文書をAIが検索して回答に使うRAGの仕組みを構築し、非構造化データと構造化データのそれぞれに合わせて解析の精度を調整しながら検証が進められました。開始直後は5割程度だった正答率は、定期的な打ち合わせを挟んで改良を重ねた結果8割程度まで上がり、3か月でバージョンは8を数えます。PoC終了後には役員層向けの報告会が開かれ、2025年4月の全社横断の生成AI専門部署の立ち上げにつながりました。
出典:生成 AI 活用による業務効率化を PoC で模索。正答率5割から8割へ改善し、社内横断ワーキンググループを全社展開!|加賀FEI株式会社様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
マニュアルを見れば解決できる質問まで開発者本人に直接寄せられ、その対応に人手が取られていた。加賀FEIが生成AIに目を向けた出発点は、この状態でした。そこに、技術者の高齢化や離職で技術の受け渡しが細っていく懸念と、生成AIを使いたいが具体的な進め方が見えないという迷いが重なります。
編集部の見立てでは、ここで効いていたのは問い合わせの件数そのものではなく、答えが社内の資料に存在しているのに「詳しい人に聞いたほうが早い」という状態が固定化してしまっていたことです。資料が読まれないのは現場の怠慢ではなく、専門的な情報のどこに答えがあるかを探す手間が、担当者に尋ねる手間を上回っていたからでしょう。だとすれば必要だったのは、マニュアルを読ませる働きかけではなく、探す行為そのものを肩代わりする仕組みだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
AIが認識しやすい形にデータを組み替えるという判断が、この検証の土台になっています。もともと社内の情報は煩雑なXML構造で保持されていましたが、これをJSON形式へ変換し、可読性を高めたうえでAIに渡す設計へ切り替えました。RAG(社内の文書を検索してAIの回答に使う仕組み)は、探し出した文書をそのままAIに読ませる構造であるため、モデル側の調整よりも渡すデータの形が回答の質を左右します。プロンプトの工夫に手を伸ばす前にデータ構造そのものへ立ち返った順序が、後の伸びしろを作ったのではないでしょうか。
短い期間に版を重ねる進め方も、この取り組みを支えた要素です。技術製品の専門情報を扱う以上、事実と異なる内容をもっともらしく答えてしまうハルシネーションは業務に直結する障害となるため、定期的な打ち合わせで検証と改良を繰り返し、3か月でバージョンは8まで進みました。途中で登場した Gemini 2.0 への切り替えが転機になっている点も見逃せません。基盤モデルを固定せず、外部の進歩をそのつど取り込める余地を残しておいたことが、データ側の作り替えとかみ合ったと言えます。
検証の出口を最終報告書ではなく報告会に置いた設計は、技術面とは別の意味で重要でした。役員層とプロジェクト外のメンバーに向けて、複数の視点をまとめた資料で成果を共有する場が用意され、その資料は報告会の後も業務で使われています。PoCを技術検証だけで閉じず、社内の理解を作る工程まで含めて組み立てたことが、次の展開を引き寄せた要因と見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
データを入れただけの段階では5割ほどだった正答率は、改良を重ねた結果8割ほどまで上がり、担当者が信頼して使えると判断できる実用レベルの精度に到達しました。手応えは組織にも及び、2025年4月には社内横断のワーキンググループ形式で生成AIの専門部署が発足。ソリューション推進部が事務局を担い、業務アプリの運用を内製化する目標のもと、4部門でそれぞれの製品に合わせたチャットボットを立ち上げる動きが進んでいます。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、答えが社内の文書として実在していて、正解・不正解を判定できる問い合わせが一定量ある領域です。加賀FEIの検証は技術製品の仕様という「照合できる正解」がある題材だったからこそ、正答率という物差しで改良の良し悪しを判断し、3か月で版を重ねられました。逆に、案件ごとに答えが変わる相談業務や、担当者の交渉判断が結果を決める領域では、そもそも改良の指標を置けず、同じ回し方は成立しにくいはずです。
もう一点、XMLからJSONへの組み替えが効いたのは、元のデータが機械で読める形式で管理されていたからです。紙やスキャンしたPDFしか残っていない場合は、AIに渡す前の整備が別途必要になり、必要な期間も費用も変わってきます。
小さく試すなら、手元のマニュアルを1本だけ生成AIに読ませ、実際に寄せられた質問を10件ぶつけて何件正しく答えられたかを数えてみてはどうでしょうか。その数字が、改良を始める出発点になります。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の導入支援や生成 AI 導入支援サービスを手掛け、Google Cloud のパートナー企業として実績を持つ。
加賀FEI株式会社
出典・参考情報
生成 AI 活用による業務効率化を PoC で模索。正答率5割から8割へ改善し、社内横断ワーキンググループを全社展開!|加賀FEI株式会社様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
