実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.15
第一興商が検証、複数AIの分担でカラオケ楽曲情報を自動収集、発売日の正答率約80%
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 調べ物の裏取りに時間を取られている
- 担当者ごとに調べ方がばらばら
- 外部データの購入費が負担になっている
どのようなAIの取り組み?
複数のAIが役割を分担して楽曲の関連情報を調べ、配信楽曲との突き合わせから登録用データの出力までを自動で行う仕組みを構築し、実業務と並行して検証しているAI取り組み
業種
通信カラオケ(メディア・コンテンツ)
取り組み領域
楽曲関連情報の収集・整備
使ったAI
マルチAIエージェント(生成AI・Gemini)
主な成果
発売日情報で正答率約80%、外部データ購入コストを削減
通信カラオケ「DAM」を展開する株式会社第一興商は、2025年4月に発売した新フラッグシップモデルの選曲リモコン端末にキーワード検索やタグ検索を搭載したことで、楽曲に紐づく略称・年代・ジャンル・タイアップといった関連情報をどこまで充実させられるかという課題を抱えていました。その情報収集を担うのが、アイレットが開発・構築したマルチAIエージェントシステム「楽曲リサーチエージェント」です。GoogleのマルチエージェントSDKであるAgent Development Kitと、Google CloudのAIエージェント実行環境Vertex AI Agent Engineを土台に、Web検索による調査、集めた情報の構造化、配信楽曲データベースとの突き合わせ、参考となるYouTube動画の提示、登録用データの出力までを一続きで処理します。第一興商は現行の収集業務と並行してこのシステムを利用・検証しており、外部からのデータ購入が不要になったことによるコスト削減を確認しています。
出典:マルチ AI エージェントに業務を置換!Agent Development Kit と Vertex AI Agent Engine で情報収集業務を効率化|株式会社第一興商様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
検索機能を載せれば、その裏側で用意しなければならない情報も増えます。楽曲の略称やタイアップといった関連情報は、担当者が一件ずつ調べ、事実確認をしたうえで「DAM」の配信楽曲と突き合わせる必要があり、楽曲によっては外部のリサーチ会社からデータを購入する場面もありました。加えて、担当者によって作業に差があり、出来上がるデータにばらつきが生じていた点も課題として挙げられています。
編集部の見立てでは、この困りごとの重心は作業量そのものよりも、判断の基準が定まっていなかったところにあったのではないでしょうか。何を関連情報とみなし、どこまで裏を取れば十分とするか。その線引きが個人の裁量に委ねられていたために、手をかけるほど品質が揃わなくなる構造が生まれていた。検索機能の価値はデータの粒度が揃って初めて立ち上がるものであり、収集を速くするだけでは届かない問題だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
調査の工程を一つの賢いAIに丸ごと委ねなかったことが、この設計の要になっています。Google検索で楽曲関連情報を集めるサブエージェント、集めた情報を構造化するサブエージェント、配信楽曲データベースに意味を汲んだ検索をかけるサブエージェント、そしてSQL検索ツールやYouTube検索ツールが、それぞれ独立した部品として並び、司令塔となるルートエージェントがシナリオに沿って使い分けます。工程が分かれていれば、精度の振るわない部分だけを差し替えたり、順序を組み替えたりできる。人が手作業で踏んでいた調査の段取りを、そのまま部品の構成として写し取った点に、実務で回せる形にするための判断が表れています。
外の情報を集めて終わりにせず、自社の配信楽曲データベースへの接続を処理の途中に組み込んだ設計も効いていると見ています。楽曲名やアーティスト名から探すときは文脈を汲むセマンティック検索を、配信楽曲IDが渡されたときはSQLで直接照会する経路をと、入口に応じて手段を切り替える構成です。集めた情報が最終的にどのIDへ結びつくかまで面倒を見なければ、担当者の手元には結局「照合し直す仕事」が残ります。
成果物を登録に使えるファイルフォーマットまで変換して返している点も見逃せません。ファクトチェックのための情報や参考となるYouTube動画を画面に添えることで、利用者は出力をうのみにするのではなく、確かめたうえで使えます。さらに、現行業務と並行して動かしながら評価とブラッシュアップを重ねる進め方がとられており、作って引き渡して終わりにしない前提が運用そのものに埋め込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
第一興商は現行の楽曲関連情報の収集業務と並行してこのシステムを利用・検証し、外部からのデータ購入が不要となったことによるコスト削減を確認しています。AIエージェントの活用によって調査業務が標準化され、楽曲の発売日に関しては正答率約80%という結果が得られ、統一性のあるデータ整備につながっています。本格的な業務利用を見据え、アイレットが伴走しながら評価と改善を続け、他の業務へのAIエージェント活用も予定されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、調べる対象と正解の形がはっきりしている情報収集です。社内に突き合わせ先となるデータベースがあり、集めてきた情報が最終的にどのレコードへ結びつくかを機械的に確かめられるなら、調査の段取りをAIエージェントに任せる価値は大きくなります。反対に、正解が一つに定まらない情報や、そもそも公開情報にほとんど出てこない領域では、同じ構成を組んでも確認作業が人の手元に戻ってきます。発売日で正答率約80%という水準は、裏を返せば人の確認が前提として残るということでもあり、AIの出力をそのまま登録に流すのではなく、根拠を添えて確かめやすく見せる設計が欠かせません。
まず試すなら、すでに人手で調べ終えた項目を20件ほど選び、同じ問いを生成AIに投げて答え合わせをしてみてはどうでしょうか。どの項目がどれくらい合うのかが数字で見えれば、AIに任せてよい範囲と、人が最後まで確かめ続ける範囲の線引きが具体的になります。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI の構築・移行、開発、運用保守、および生成 AI 導入・活用支援サービスを手がける。
株式会社第一興商
出典・参考情報
マルチ AI エージェントに業務を置換!Agent Development Kit と Vertex AI Agent Engine で情報収集業務を効率化|株式会社第一興商様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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