実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.14
三菱マテリアル、工場の部品の数え上げを画像AIで自動化し月3人日削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 部品を数える作業に時間を取られている
- 数え間違いが怖くて手が止まる
- 作業の記録写真を残すのが手間
どのようなAIの取り組み?
YOLOを用いた画像解析AIで工場の部品の数え上げと記録を自動化し、月あたり約3人日分の工数削減につなげたAI取り組み
業種
非鉄金属・電子材料の製造(製造業)
取り組み領域
工場での部品の計数・記録作業
使ったAI
YOLOによる物体検出AI(画像認識)
主な成果
月あたり約3人日分の工数を削減
非鉄金属の製錬・加工から電子材料、自動車部品、資源リサイクルまでを手がける三菱マテリアルの工場では、研磨用ドリルやインサート部品など膨大な部品を人が数える作業が残っていました。この計数作業を自動化するため、開発パートナーのアイレットがクラウド基盤の設計・構築からAIモデルの開発・チューニング、アプリケーション開発までを一括で担当しています。Amazon SageMakerとYOLO(画像から物体を見つけ出す検出技術)で物体検出モデルを構築し、作業者が部品の種類を選んで撮影するだけで、計数とデータ保存までが自動で完了するWebアプリケーションをAWS上に実装しました。取り組みはPoC(小規模な試験導入)で終わらず実業務での利用まで進み、現場では月あたり約3人日分の工数削減につながっています。
出典:AI 画像解析アプリで工場での多品種・大量の部品の計数作業を自動化|三菱マテリアル株式会社様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
工場では研磨用ドリルやインサート部品といった多品種の部品を人が数えており、工数がかさむうえに、数え間違いのリスクと精神的な負荷がつきまとっていました。しかも数えて終わりではなく、作業のたびに証拠となる画像を記録・保存し、複数の工程をまたいで管理する必要もありました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「数える手間」そのものよりも、正確さの担保と記録の管理という二つの責任が、同じ作業者に同時にのしかかっていた点にあります。間違えられないという緊張感が手を慎重にさせ、証跡を残す手順がさらに時間を食う。担当を増やしても、この二重の負荷は薄まりにくい構造です。計数と記録を切り離さず、一続きの処理としてまとめて機械側へ渡す発想が求められていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、PoCの段階から本番での利用を前提にアーキテクチャを組んだ進め方です。常時稼働のサーバーを持たないサーバーレス構成をAWS上で選び、Amazon API Gateway、AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon S3といった部品を組み合わせることで、運用コストを抑えたまま実業務へ移せる土台を先に用意しました。さらにAmazon SageMaker PipelinesとAWS CloudFormationでモデルの自動デプロイ体制まで作り込んでおり、検証が通ってから作り直すという手戻りが構造的に起きにくくなっています。
もう一つの柱は、現場の作業実態から学習データの条件を決めたデータ設計です。工場を訪問して計数作業を見学し、ヒアリングを重ねたうえで条件を設定し、対象部品ごとに30〜40枚の画像を集めて訓練データとしました。ラベリングを含むデータ整備と分析、チューニングを繰り返す進め方からは、特定の業務に特化したモデルでは画像の枚数そのものより、実際の作業条件と学習データが噛み合っているかが精度を左右するという判断が読み取れます。
現場側の操作を「部品の種類を選んで撮る」だけに絞り込んだUI設計も見逃せません。React製のシングルページアプリケーション(画面遷移を伴わないWebアプリ)で撮影・分類・計数・保存を一つの画面に収め、作業者が結果を別システムへ転記する余地をなくしました。認証はAmazon Cognitoと既存のID管理システムを複数のクラウドをまたいで接続する形とし、新しいログイン運用を現場に覚え直させずに済ませています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現場では月あたり約3人日分の工数削減につながり、多品種・多工程にわたる計数作業の省力化が進んでいます。精度と応答速度のバランスについては三菱マテリアル側から高い評価が示されており、技術検証で止まらず実業務の課題解決まで届いた点が、この取り組みの要点。運用開始後も、両社で継続的なモデル改善とチューニングが続けられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、数える対象がカメラで見分けられる形をしていて、種類ごとに数十枚程度の画像を集められる業務です。この事例で訓練データが部品ごとに30〜40枚という現実的な量に収まっているのは、対象の種別と撮り方をあらかじめ絞り込んだからで、同じ考え方は入出庫の検品や部材の棚卸しにも移しやすいと考えられます。記録の保存が義務づけられている作業ほど、計数と保存をひとつながりにした効果は感じやすいはずです。
一方で、部品が積み重なって隠れる、透明や鏡面で輪郭が出にくい、置き方や照明が日によって変わるといった条件では、同じ水準の精度は期待しにくくなります。扱う品種が絶えず増える現場では、その都度の学習データ収集とチューニングが続く点も、あらかじめ見込んでおきたいところ。まずは数え間違いが起きやすい品目を一つ選び、スマートフォンで数枚撮ってみて、誰が撮っても同じ写り方にできるかを確かめてみてはいかがでしょうか。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS・Google Cloud・OCI などのクラウド導入支援、構築・移行、開発、運用保守、生成AI導入支援を手がける。
三菱マテリアル株式会社
出典・参考情報
AI 画像解析アプリで工場での多品種・大量の部品の計数作業を自動化|三菱マテリアル株式会社様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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