実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.12
三井不動産グループがマニュアル検索に生成AI、年4,080時間削減の試算
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内マニュアルを探すのに時間がかかる
- 社内からの問い合わせ対応に追われている
- AIの誤回答が怖くて踏み切れない
どのようなAIの取り組み?
約500件の社内文書を生成AIで検索できるようにし、年間およそ4,080時間の削減を試算した、検証段階のAI取り組み
業種
ビルマネジメント(不動産)
取り組み領域
社内ヘルプデスク/マニュアル検索
使ったAI
PKSHA AI Helpdesk(生成AI/RAG)
主な成果
年間約4,080時間の削減を試算(PoC段階)
三井不動産グループは、社内に積み上がったマニュアルや規定から必要な情報を探し出す作業を軽くするため、生成AIを使った社内向けの質問応答の仕組みづくりに着手しました。当初は自社開発の生成AIチャットボットでRAG(社内の文書を検索し、その内容をもとにAIが回答する仕組み)を試作したものの、画面の使い勝手と、インデックス化や文書の分割といった運用保守の負担が壁となり、外部サービスの利用へ舵を切っています。採用したのは株式会社PKSHA Technologyの「PKSHA AI Helpdesk」で、SharePointなどの社内システムとつなぎ、共通基準のマニュアルから設備管理、法務関連まで約500件の文書を検索対象に設定しました。約100件のテスト質問による検証を経て、PoC(小規模な試験導入)の段階で問い合わせ対応コストの半減と、年間約4,080時間の削減が試算されています。
出典:導入事例|三井不動産様/三井不動産ビルマネジメント様〜RAGにより4,080時間の問合せ削減見込み グループ横断の生産性向上で社長賞を受賞〜 発行元:株式会社PKSHA Technology
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
現場では、答えが載っているマニュアルにたどり着くまでに時間を取られ、とりわけ若手社員の生産性が落ちる状態が続いていました。この状況が動き出したきっかけは社内アイデアソンで、「現場の情報検索作業の効率化」というテーマが社長賞を受けたことでプロジェクトが本格化しています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは資料が足りないことでも、検索機能が貧弱なことでもありません。どの資料のどこに答えが書いてあるかという勘所が、長く在籍した人の経験の中にしか存在していなかったこと。同じ資料を前にしても経験の浅い人ほど遠回りを強いられる構造があり、それが若手の生産性という形で表面に出ていたのではないでしょうか。探す時間の長さは結果であって、原因は知識の在り処が属人化していた点にあると読めます。
どうやって、うまくいったのか
自社開発したRAGの試作を手放し、外部サービスへ切り替えた判断が、この取り組みの起点になっています。試作の段階で行き詰まったのは検索精度そのものではなく、インデックス化や文書の分割を誰が継続的に手入れし続けるのか、現場が毎日触りたくなる画面をどう保つのかという、運用が始まってから効いてくる部分でした。作れるかどうかではなく続けられるかどうかを基準に道具を選び直した設計は、内製の社内システムが途中で止まりやすい理由を正面から避けています。
AI側の賢さに期待するのではなく、読ませる文書の側を作り替えた点も見逃せません。約500件のドキュメントについて、回答にあたる箇所が明確になるよう情報を整理し、細かく分割する作業が徹底されました。検索対象を共通基準のマニュアルや設備管理、法務関連という範囲で区切ったうえで中身を整えるやり方は、回答品質が投入する資料の構造にそのまま左右されるという現実を織り込んだ準備といえます。
三つ目は、AIが間違える前提で逃げ道を用意した運用設計です。回答の確信度が一定の基準を下回ったときには有人対応へ引き継がれる流れが組まれており、誤った情報がそのまま現場の判断材料になる事態を防いでいます。加えて、約100件のテスト質問から見えてきた効き目のある聞き方を社内説明会で共有する準備が進められており、道具の導入だけで終わらせず使う側の技量も引き上げようとする構え。回答精度が質問の仕方に左右される特性を、諦めるべき限界ではなく運用で埋められる余地として扱っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
PoCの段階で、問い合わせ対応にかかるコストの半減が見込まれ、年間およそ4,080時間の業務時間削減が試算されました。いずれも実績ではなく検証段階の見込み値です。数字以外の変化も現れており、社員がAIと言葉を交わす過程で自分の疑問点が輪郭を持ち、自力で解決できる範囲が広がっています。その結果、先輩社員に尋ねる際の心理的なハードルが下がり、より具体的で質の高いやり取りが生まれるという副次的な効果も確認されました。今後は商業マネジメントやホテルマネジメントなど他のグループ会社への横展開や、顧客向けの活用も視野に入っています。
うちでも使える?
応用の見込みが立つのは、答えが文書の形で存在していて、その文書がどこに置かれているかも把握できている組織です。規定やマニュアルが積み上がっている金融、製造、自治体などの社内ヘルプデスクは条件が近く、この事例で行われた文書の細分化と検索範囲の限定は、手順としてほぼそのまま持ち込めます。
逆に難しいのは、答えが文書になっておらず、案件ごとの事情を踏まえた判断が要る領域です。物件や契約の個別条件で結論が変わる相談は、資料をいくら細かく割っても一意の回答を切り出せません。確信度が低いときに引き継ぐ有人の窓口を確保できない体制では、エスカレーションの仕組みが空回りしてしまう点も検討材料になります。
最初の一歩として現実的なのは、社内でよく飛んでくる質問を20件ほど並べ、その答えが今どの資料のどこに書かれているかを実際にたどってみること。たどり着くのに手間取った質問こそ、AIに任せる価値が高い候補です。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社PKSHA Technology
PKSHA AI Helpdesk(AI ヘルプデスク)をはじめ、PKSHA FAQ、PKSHA ChatAgent、PKSHA VoiceAgent などの顧客対応向けサービスと、AIバックオフィス等の社内対応向けAI SaaSを提供する企業。
三井不動産株式会社 / 三井不動産ビルマネジメント株式会社
出典・参考情報
導入事例|三井不動産様/三井不動産ビルマネジメント様〜RAGにより4,080時間の問合せ削減見込み グループ横断の生産性向上で社長賞を受賞〜
発行元:株式会社PKSHA Technology
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