実施 2024.05 ・ 更新 2026.08.12
生成AIでスーパーの店内広告を内製、対象商品の売上最大3.3倍の実証実験
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 人手不足で売り場づくりが後回し
- 販促物の外注に時間と費用がかかる
- 店頭の広告を頻繁に変えられない
どのようなAIの取り組み?
生成AIで店内サイネージ用の広告文・画像・動画を内製し、対象商品の売上が最大3.3倍を記録した実証実験の事例
業種
スーパーマーケット(小売)
取り組み領域
店頭販促/デジタルサイネージ
使ったAI
ChatGPTなどの生成AI(文章・画像・動画生成)
主な成果
対象商品の売上が平均1.2倍、最大3.3倍を記録
熊本県などでスーパーを展開する台信商店(ダイノブ)の城南店を舞台に、NTTドコモ、インテージ、ダイノブ、今村商事の4社が実証実験を行いました。NTTドコモがChatGPTなどの一般的な生成AIを使い、ダイノブが販売を強化したい商品の広告文章・画像・動画を制作。作られたコンテンツは、インテージが提供するサイネージ端末と配信システムを通じて店内3か所で流されました。運用面では7日を1サイクルとし、そのつど全体の3分の2を新しい広告に入れ替える高頻度な更新を実施。配信の効果は、今村商事がID-POSデータ(誰がいつ何を買ったかが分かる購買履歴データ)を分析して測定しています。
出典:生成AIを活用した店舗内サイネージ向け広告配信に関する実証実験を実施 - 市場調査・マーケティングリサーチなら株式会社インテージ 発行元:株式会社インテージ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
小売の現場では人手不足が続き、売り場づくりや販促物の制作までは手が回りにくい状況が背景にあります。広告コンテンツを外注すれば時間も費用もかかり、店頭の掲示は一度作ったものを長く出し続ける形になりがちです。
編集部の見立てでは、この事例の困りごとの本質は「販促物を作れないこと」そのものよりも、「作り替え続けられないこと」にあったのではないでしょうか。画像や動画を含む広告を外注すると1週間程度を要するという前提の下では、制作スピードが更新頻度の上限を決めてしまいます。売り場の鮮度は、掲示物の出来映えだけでなく、どれだけ入れ替わるかにも左右されます。つまり課題は制作物の品質ではなく、制作にかかるリードタイムという構造側にあったと読み解けます。
どうやって、うまくいったのか
広告文章・画像・動画という三種類のコンテンツを、まとめて一般的な生成AIで作る構成にした点が、この取り組みの土台になっています。特別に開発した専用ツールではなくChatGPTなどの汎用的な生成AIを使い、制作手順の最大3分の2を半自動化する形に組み替えたことで、外注を前提に組まれていた工程を手元で回せる範囲に引き寄せました。制作の担い手を変えるのではなく、工程そのものを軽くする発想が効いていると考えられます。
もう一つの要因は、7日を1サイクルとして全体の3分の2を差し替えるという、更新頻度を明確に定めた運用設計です。制作コストが下がっただけでは売り場は変わりませんが、入れ替える量とサイクルをあらかじめルール化しておけば、現場は「今週どれを差し替えるか」を判断するだけで済みます。生成AIで浮いた余力を、そのまま更新頻度という変数に振り向けた設計と言えるでしょう。
4社の役割分担が、コンテンツ制作から配信、効果測定までを一続きにしている点も見逃せません。NTTドコモが生成AIによる制作を担い、インテージがサイネージ端末と配信システムを提供し、ダイノブが店舗と強化商品を持ち込み、今村商事がID-POSデータで効果を測る。作って流すだけで終わらせず、購買データに接続する設計になっているため、何がどれだけ効いたのかを検証できる形になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実証実験では、生成AIの活用により広告作成手順の最大3分の2が半自動化され、外注すると1週間程度かかる画像・動画を含むコンテンツの制作時間が最短1時間以内まで短縮されました。売上面では、サイネージに表示した対象商品が表示期間中(1商品あたり7日間)に平均1.2倍、最大で3.3倍の売上増加を記録しています。制作の負担軽減と売上への寄与が同時に確認された点に、この検証の意味があります。
うちでも使える?
参考になりやすいのは、押したい商品やサービスが次々に入れ替わり、店頭やロビーに掲示物を出している業態でしょう。飲食店の季節メニュー、不動産の物件案内など、情報の鮮度が集客に直結する場面とは相性が良さそうです。逆に、扱う商材が少なく訴求内容がほとんど変わらない場合や、掲示スペースへの来店者の接触機会がそもそも限られる場合は、更新頻度を上げても効果が見えにくいと考えられます。今回の結果も、店内3か所という限られた配置での7日間という条件下のもので、そのまま自社の数字として当てはめられる性質のものではありません。
もう一点、効果を測る手立てがあるかどうかも判断材料になります。この事例ではID-POSという購買履歴データが分析に使われていますが、掲示と売上を突き合わせる手段がなければ、続けるべきか止めるべきかの判断がつかなくなります。まずは来週売りたい商品を一つ決めて、生成AIで広告文と画像を作り、掲示した週としない週でレジの数字を比べてみる。この小さな往復から始めるのが現実的ではないでしょうか。
この事例は2024年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社インテージ
マーケティングリサーチ/インサイト事業、マーケティングソリューション事業を展開。本実証実験ではサイネージ端末およびデジタルサイネージ配信システムの提供・運営管理を担当した。
株式会社台信商店(スーパーストアダイノブ 城南店)
出典・参考情報
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