実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
地域医療支援病院が生成AIで診断書作成を50%短縮、25名体制へ広げた運用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 特定の担当者しか書けない書類がある
- 書類作成に時間を取られている
- 退職で業務が止まるのが怖い
どのようなAIの取り組み?
生成AIで診断書の作成時間を半分に短縮し、専任2名が担っていた業務を25名で分担する体制へ組み替えた取り組み
業種
地域医療支援病院(医療)
取り組み領域
診断書作成/医療事務・記録業務
使ったAI
ユビー生成AI(文書作成向けの生成AI)
主な成果
診断書1件の作成時間を約40分から約20分へ50%削減
医師の働き方改革に伴うタスクシフトで事務負担が増えていた地域医療支援病院が、Ubie株式会社の「ユビー生成AI」を導入した事例です。月に約400件の診断書作成を2名の専任スタッフで担っていた部門が起点となり、退職による欠員をきっかけに文書作成の進め方そのものを見直しました。使い先は診断書にとどまらず、看護部門のカンファレンス記録や患者への説明と同意の記録、リハビリテーション科での記録チェック、DX推進室の議事録作成や音声の文字起こしまで広がっています。導入時には現場から効率化への疑問や操作面の不安が出たため、部署ごとに業務内容と課題を確かめながら使い方を組み立てる手順が取られました。
出典:戸畑共立病院、「ユビー生成AI」活用で月間約400件の診断書作成時間の50%削減を実現 | Ubie株式会社のプレスリリース 発行元:Ubie株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
月に約400件の診断書を2名の専任スタッフで回していた体制が、退職による欠員で立ち行かなくなる。これがこの取り組みの出発点です。背景には医師の働き方改革に伴うタスクシフトがあり、医師から移された事務作業がコメディカルスタッフの側に積み上がっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは単なる人手不足ではありません。診断書のように様式と用語の正確さが求められる文書は経験の差が仕上がりに表れやすく、誰でもすぐ代われる仕事にはなりにくい。業務が2名の中に閉じ込められ、代わりを立てるにも相応の経験を積んだ人が必要になる、という構造だったのではないでしょうか。人員補充が難しい局面で欠員がそのまま業務停止のリスクへ直結したのは、件数の多さよりもこの閉じ方に理由があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
導入の起点になったのは、現場から出た「本当に効率化できるのか」「操作が難しそう」という声を、押し切る対象ではなく設計の材料として扱った進め方です。各部署の業務内容と課題を一つずつ確かめ、そこに合う使い方を個別に組み立てていく。ツールを配って使い方を覚えてもらうのではなく、部署の仕事の側にAIを寄せていく順序を取ったことが、定着のなめらかさを支えたように見えます。
欠員を人の補充で埋めず、文書作成を既存スタッフが分担できる形へ組み替えた判断も効いています。診断書作成を「専任者しかできない仕事」のまま残せば、必要になるのは経験を積んだ人材であり、採用が難しい局面では手詰まりになります。AIが作成の負荷を引き受ける前提に置き直せば、求められる力は一から書き上げることから、内容を確認して整えることへ移る。担当できる人の条件を下げるこの組み替えが、体制そのものを作り直す余地を生んだと考えられます。
用途を診断書に閉じず、看護部門のカンファレンス記録や説明と同意の記録、リハビリテーション科での記録チェック、DX推進室の議事録や文字起こしまで広げた展開の仕方も見逃せません。職種も文書の種類もばらばらですが、話された内容や経過を決まった形の文章にまとめ直す、という作業の型は共通しています。業務単位ではなく作業の型で適用先を選べば、部署ごとに別々の仕組みを用意せずに済み、現場同士で使い方を持ち寄ることもできる。横断的な広がりは、この見立ての取り方から来ているのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
専任スタッフの退職後も人員を補充することなく、25名の既存スタッフが「ユビー生成AI」を活用して業務を継続する体制が構築されました。診断書1件あたりの作成時間は約40分から約20分へと50%短縮され、月間では約130時間の削減に至っています。あわせて、経験の浅いスタッフでもベテランと同等の質の診断書を作成できるようになり、業務の標準化とチーム全体のスキルアップにつながりました。時間の数字以上に、特定の担当者が抜けても業務が止まらない状態へ移れたことの意味が大きいでしょう。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、様式がある程度決まっていて、内容の材料がすでに記録として残っている文書業務です。この事例で対象になった診断書や会議の記録、面談内容の記録はいずれもその性質を持ちます。契約書類や報告書を扱う士業、不動産、建設などでも、同じ構図の業務は見つかるはずです。
一方で、そのまま持ち込みにくい場面もあります。出力の内容が法的責任や安全に直結する領域では、誰がどこまで確認して責任を負うのかを先に決めておかないと、時間短縮どころか確認作業が二重になりかねません。医療や人事のように機微な個人情報を扱う業務では、どの情報をAIに渡してよいかの線引きも欠かせない前提になります。また、部署ごとに使い方を作り込む余力がない場合、ツールだけ配って使われずに終わる可能性は残ります。
はじめの一歩としては、自部署で最も件数の多い定型文書を一つ選び、1件あたりの所要時間を実際に計ってみること。削減余地の大きさは、そこではじめて見えてきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Ubie株式会社
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医師とエンジニアが2017年5月に創業したヘルステックスタートアップ。AIをコア技術とし、症状検索エンジン「ユビー」や、医療機関向けサービスパッケージ「ユビーメディカルナビ」(ユビーAI問診、ユビーリンク等)、医療機関向け「ユビー生成AI」、製薬企業向け「ユビー for Pharma」を開発・提供している。
社会医療法人 共愛会 戸畑共立病院
出典・参考情報
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