実施 2024.03 ・ 更新 2026.08.17
三越伊勢丹がAIモデル生成でEC商品撮影のコスト削減とリードタイム短縮を見込む
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 商品撮影の費用と手間が重い
- 1日に撮れる商品数に限界がある
- 画像の掲載期間の制限に困っている
どのようなAIの取り組み?
ショップごとに専属のオリジナルAIモデルを生成し、EC向け商品撮影の物理的な制約の解消に取り組んだ事例
業種
百貨店・ECサイト運営(小売)
取り組み領域
EC商品撮影/ビジュアル制作
使ったAI
オリジナルAIモデル生成(AI画像生成)
主な成果
撮影コストの削減とリードタイム短縮を見込む
百貨店の三越伊勢丹が運営する撮影スタジオ事業「ISETAN STUDIO」は、AI model株式会社と協業し、AIで生成したモデルと画像を使う撮影サービスを立ち上げました。三越伊勢丹オンラインストア内の〈リ・スタイル〉〈プライムガーデン〉といったショップに向けて、それぞれ専用のオリジナルAIモデルを生成し、ブランド専属のモデルを必要に応じてオーダーできる形を整えています。同一のAIモデルに各ブランドの商品を着せ、サイズ感の違いを並べて見せる提案手法も生まれました。新宿の撮影スタジオにはAIモデル用の専用撮影レーンを設け、社外企業向けの撮影サービスへも展開しています。コスト削減とリードタイム短縮は、現時点では見込みとして示されている段階です。
出典:「ISETAN STUDIO」AIモデル撮影サービス、「三越伊勢丹オンラインストア」専用AIモデルの提供をスタート | 株式会社 三越伊勢丹ホールディングスのプレスリリース 発行元:株式会社三越伊勢丹ホールディングス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
モデルを起用した撮影では、キャスティングから当日の進行までに費用と時間がかかります。そこへ、同じモデルが服を着替えるのに要する時間、1日に撮影できる型数の上限、撮影した画像を掲載できる期間の制限が重なり、現場の負担となっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの核心は費用の多寡ではなく、商品ビジュアルの生産量が「人の身体と、スタジオを押さえた時間」という有限の資源に縛られていた点にあります。着替えの手間も型数の上限も、突き詰めれば同じ制約が別の顔で現れたものです。加えて掲載期間の制限は、手をかけて作った画像がいずれ使えなくなることを意味し、制作物が積み上がって資産になりにくい構造を生んでいました。扱う商品の点数が増えるほど不足感が強まる、そういう性質の課題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
汎用のAIモデルを共通で使い回すのではなく、〈リ・スタイル〉や〈プライムガーデン〉といったショップ単位で専用のオリジナルAIモデルを生成する設計が、この取り組みの起点に置かれています。ブランドごとに想定する顧客像も見せたい空気感も異なり、そこがずれた人物像で商品を並べてしまえば、いくら効率が上がっても売り場としては成立しません。ブランド専属のモデルをオーダーできる形にしたのは、ブランドとの整合を生成の段階で作り込み、後工程の判断に委ねないという割り切りだと読み取れます。
同一のAIモデルに複数ブランドの商品を着せ、サイズ感の違いを比較して見せる使い方は、既存業務の置き換えから一歩踏み出しています。生身のモデルで条件を完全に揃えた比較を作ろうとすれば、同じ人物を長時間拘束し、着替えを繰り返さなければなりません。着用者という変数を固定できる特性を、費用の圧縮ではなく顧客への提案の分かりやすさに振り向けた発想が効いています。
新宿の撮影スタジオにAIモデル専用の撮影レーンを設けた判断も見逃せません。AI生成を試験的な取り組みとして脇に置かず、既存の撮影オペレーションの中に一つの工程として場所を与えたことになります。生成の技術はAI model株式会社が担い、ブランドの文脈と撮影現場の運用は「ISETAN STUDIO」が持つという役割分担があったからこそ、社外企業向けサービスとして外へ広げる形まで組み立てられたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で示されているのは実績ではなく見通しです。従来のモデル撮影と、EC向けの「ささげ撮影(撮影・採寸・原稿作成)」にかかるコストの削減、そしてリードタイムの大幅な短縮が見込まれる段階にあります。一方でクライアントからの評価はすでに具体的で、掲載期間の制限がない点、着替え時間や撮影型数を気にせず使える点が支持されています。今後はECサイトやカタログ、広告ビジュアルへ展開し、クリック率や売上、離脱率がどう動くかを確かめる実証実験が予定されています。
うちでも使える?
応用が利きそうなのは、見せ方のバリエーションが売上に直結し、しかも条件を揃えた比較が顧客の判断を助ける領域です。同じ人物、同じ角度、同じ光で並べられること自体が価値になる場面なら、この事例と似た効き方が期待できます。ブランドごとに世界観を作り分ける必要がある場合も、専用のモデルを個別に生成するという考え方はそのまま参考になります。
一方で、実際の着心地や素材の落ち感といった、実物を撮ってこそ伝わる情報が購買の決め手になる商品では、置き換えの範囲は限られます。特定のモデルやタレントを起用すること自体が集客の理由になっているケースも同様です。また、生成された人物像がブランドの想定から外れれば売り場の印象を損なうため、チューニングと品質確認の手間を誰が負うのかを最初に決めておく必要があります。
まずは自社の商品ページを開き、「同じ条件で並べて見せられれば顧客が迷わずに済む」カットを一枚だけ選んでみる。そこが検討の入口になります。
この事例は2024年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社三越伊勢丹
撮影スタジオ「ISETAN STUDIO」とECサイト「三越伊勢丹オンラインストア」を運営する企業。「ISETAN STUDIO」では新宿の撮影スタジオ内にAIモデル用の撮影レーンを有し、BtoB向けAIモデル撮影サービスを2023年9月に正式ローンチしている。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
