実施 2023.12 ・ 更新 2026.08.17
アフラック生命保険、生成AIで資料検索時間を約30%短縮した業務支援の設計
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内の資料探しに時間を取られる
- 問い合わせの回答づくりが遅い
- AIを使いたいが情報漏えいが心配
どのようなAIの取り組み?
生成AIの業務支援システムを社内に展開し、コールセンターでの資料検索時間を約30%短縮したAI取り組み
業種
生命保険(金融・保険)
取り組み領域
社内文書検索・資料作成/代理店向けコールセンター
使ったAI
生成AIによる業務支援システム「Aflac Assist」
主な成果
コールセンターの資料検索時間を約30%短縮
アフラック生命保険は、DX(デジタル技術による業務や事業の作り替え)戦略の一環として、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の支援を受けながら、生成AIを使った業務支援システム「Aflac Assist」を構築しました。誰でも使える汎用の道具を広く配る形ではなく、費用対効果が大きく出そうな業務を先に見極めてから展開する成果重視の進め方を取り、用途を三つの機能に絞り込んでいます。社内情報の検索と資料の要約を担う業務アシスト、企画書のひな型づくりを支える営業活動アシスト、そして代理店向けコールセンターのオペレーターが約款やマニュアルを検索して回答を作る作業を支える商品・事務問い合わせアシストです。あわせて、安定したシステム稼働、強固なセキュリティ体制、AIガバナンスの整備といった守りの仕組みも同時に用意し、ガイドラインの策定と社員教育を進めました。
出典:アフラック流・汎用性より成果重視の生成AI活用術 -BCG Japan 発行元:ボストン コンサルティング グループ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
保険の仕事は、約款や社内マニュアル、過去のやり取りといったテキストと、数値になりにくい定性的な情報を突き合わせて判断する場面が多いものです。金融業界の中でもデジタル化が遅れているという課題感があり、機械や設備からデータが自動的に集まってくるIoTのような機会も限られていました。そのため、判断に必要な記述へたどり着くまでの時間が、そのまま担当者一人ひとりの負荷として積み上がっていきます。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は、検索が遅いという速度の問題ではありません。50年かけて築き上げられた業務プロセスが、どこに何が書かれているかを知っている人が自分で探しにいく、という前提の上に組み上がっていた点にこそ根がありそうです。だからこそ同社は、道具を足すのではなく業務プロセスそのものを抜本的に見直す判断に踏み込んだのだと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
費用対効果が大きく出そうな業務を先に特定し、そこから広げるという順番の付け方が、この取り組みの土台になっています。全社員が何にでも使える汎用システムを目指すと、利用のばらつきが大きくなり、投じた労力がどこで効いたのかを確かめにくくなります。効果の出どころを先に決める設計は、成果の見えやすい場所に人手と改善の労力を集中させ、次の展開を判断する材料を早く手に入れる進め方だと言えるでしょう。
用途を三つの機能へ具体化した切り分けも、実運用を成り立たせた要因の一つです。とくに代理店向けコールセンターでの約款・マニュアル検索は、答えが必ず社内の文書側に存在し、探し当てて回答文に組み立てるという工程がはっきりしています。求める答えの所在があらかじめ定まっている業務を選んだことが、生成AIの出力を現場が判断できる形に収める助けになったのではないでしょうか。
攻めと同じ重さで守りを組み立てた点も見逃せません。安定稼働やセキュリティ体制、AIガバナンスの整備に加え、ガイドラインの策定と社員教育まで並走させたことは、金融機関として信頼を損なわない範囲を先に線引きする作業でもあります。支援に入ったBCGがシステムの設計・実装にとどまらず、業務・オペレーション設計やトレーニングまで受け持った役割分担も、道具の導入を現場の動き方の変更へつなげる働きをしたと見られます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年4月時点で、全社員の約50%が「Aflac Assist」を利用しており、監査部門では利用率100%、コーポレート部門でも70%以上に達しています。コールセンターのオペレーターが応答時に資料を探す時間は従来比で約30%短縮され、社内アンケートでは資料作成の時間が30〜40%短縮されたという結果も出ています。生まれた時間を営業や新商品開発、顧客と向き合う時間に振り向けることは、現時点では今後への期待として位置づけられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、約款や規程、業務マニュアルのように「正解が文書のどこかに必ず書かれている」業務です。問い合わせ対応や社内照会への回答づくりは、探す・読む・まとめるという工程が分かれているため、AIに任せる範囲を切り出しやすい領域だと考えられます。
一方で、そのまま持ち込むのが難しい場面もあります。文書に書かれていない個別の交渉判断や、支店・担当ごとに運用が食い違っていて何が正しいのか社内でも定まっていない業務では、参照先が揺れるため回答の信頼性を保ちにくくなります。規程やマニュアルの改定が頻繁な領域では、更新を反映し続ける担当と手順を決めておかないと、答えが古くなったことに誰も気づけません。
まず試すなら、直近の問い合わせを一件だけ選び、その回答の根拠がどの文書の何ページにあるのかを実際にたどってみるところから。その道のりの長さが、AIに任せる価値がある業務かどうかを測る、いちばん手触りのある物差しになります。
この事例は2023年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ボストン コンサルティング グループ
企業・事業変革の支援を目的とするコンサルティングファーム。日本全体で約1000人のコンサルタントを擁し、うち約300人がテクノロジーを支援できる人材、データサイエンティストも数十人在籍する。必要に応じてプロダクトの設計・実装まで自ら行うスタンスを取り、保険・金融業界のデジタルトランスフォーメーション支援にも取り組む。
アフラック生命保険
出典・参考情報
アフラック流・汎用性より成果重視の生成AI活用術 -BCG Japan
発行元:ボストン コンサルティング グループ
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