実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.17
精度95%で転記を自動化、書式が揃わない資産台帳に生成AIを使った損保ジャパン
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 取引先ごとに書式が違う書類の処理
- 膨大な項目の確認と転記に追われている
- ルール設定型の自動化では歯が立たない
どのようなAIの取り組み?
書式が揃わない固定資産台帳をAIエージェントに読み取らせ、保険書類への転記を精度95%で自動化したAI取り組み
業種
損害保険(金融・保険)
取り組み領域
火災保険の書類作成/情報の転記
使ったAI
AIエージェント「Heylix」(生成AI)
主な成果
固定資産台帳の転記を精度95%で自動化
損保ジャパンでは、企業向け火災保険の手続きにおいて、代理店が顧客の固定資産台帳を確認し、必要な情報を書類へ転記する作業を抱えていました。台帳の書式は顧客ごとにばらばらで、項目数が膨大になる場合もあり、あらかじめ決めた規則に沿って処理する従来型のシステムでは自動化しきれない領域でした。ここに持ち込まれたのが、AI inside株式会社のAIエージェント「Heylix」を用いた仕組みです。担当者が台帳のファイルをアップロードすると、AIが資料の構造そのものを認識し、必要な情報だけを取り出します。読み取り対象外のシートや空欄の行が混ざっていても、人手で整える前処理を挟まずに抽出できる点が設計上の要です。転記作業は精度95%での自動化に至っています。
出典:AI inside、損保ジャパンの火災保険における業務効率化をAIエージェント「Heylix」で支援 発行元:AI inside 株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
代理店の担当者は、顧客から受け取った固定資産台帳を一項目ずつ突き合わせ、必要な情報を書類へ書き写していました。項目数が膨れ上がる案件もあり、確認と転記に相当の時間と労力が費やされていました。
ただ、この困りごとの本質は作業量そのものではなく、書類の形を自分たちの都合で決められないという非対称性にあったのではないでしょうか。固定資産台帳は、あくまで顧客が自社の資産を管理するために作った資料であり、保険の手続きに合わせて整えられたものではありません。受け取る側は、どんな並びで何が書かれているか分からないまま読み解く立場に置かれます。規則をあらかじめ書き込む方式の自動化がここで行き詰まったのは、処理が難しかったからというより、規則を書き切るための前提そのものが成立していなかったためだと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
注目したいのは、不要なシートや空欄行が混ざったままの台帳を、そのまま受け取る前提で仕組みを組んだ点です。文書を扱う自動化では、AIが読める形に人が整える下ごしらえが残り、負担の置き場所が変わっただけという結末に落ち着くことがあります。前処理を挟まない設計は、この落とし穴を入口で塞いでいます。担当者に求められる操作をファイルのアップロードだけに切り詰めたことも、同じ考え方の延長線上にあるはずです。
どこに何が書かれているかという判断まで含めてAI側に委ねた範囲設定も、大きな要因でしょう。項目の位置や名称を人が指定していく方式では、顧客が増えるたびに設定作業が積み上がり、結局は誰かの手作業に戻ってしまいます。資料の構造を自律的に認識するAIエージェントを用いることで、書式のばらつきを個別対応ではなくAIの処理そのもので吸収する形へ切り替えた、と読み取れます。
開発を担ったAI inside株式会社の関わり方も見逃せません。同社の経営層向けAI実装コンサルティングチーム「InsideX」が伴走し、転記の自動化にとどまらず、AIを用いた査定業務全般の改革へ向けた支援が継続されています。仕組みを納めて終わりにせず業務の組み替えまで並走する体制は、現場の一機能を置き換えるだけでは効果が広がりにくい種類の改革において、実装後の伸びしろを左右する要素になります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
固定資産台帳からの転記作業は、生成AI機能の活用により精度95%での自動化に至りました。手作業で確認と転記を担っていた代理店担当者の負担は軽くなり、業務の効率化につながっています。損保ジャパンでは、この取り組みを他業界や他業務へ広げることも視野に入れた検討が進められています。
うちでも使える?
応用の見込みが立ちやすいのは、書類の形式を自社で決められない業務です。取引先から届く注文書や仕様書、申請者が持ち込む資料のように、送り手の都合で様式が決まる書類を扱っていて、なおかつ取り出したい項目自体ははっきり言葉にできる。この二つが揃えば、同じ考え方が働く余地があります。
反対に慎重な検討が要るのは、抽出した値の正しさを受け取った側で確かめにくい場合です。精度95%という水準は、裏を返せば残りをどう扱うかを決めておく必要があるということでもあります。保険金額に関わる数値のように、一件の取り違えが後の契約内容に響く項目であれば、どこを人が見るのか、どの段階で差し戻すのかを先に決めておかないと、確認作業がまるごと残って効果が相殺されかねません。
まず試すなら、いつも処理に手こずる書類を一件、整形せずそのままAIに読ませてみること。どの項目まで取れて、どこで外れるのか。その境目こそが、自社で仕組みを組むときの設計線になります。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
AI inside 株式会社
生成AI・LLMや自律型AIをはじめとした最先端テクノロジーの研究開発と社会実装を行うテックカンパニー。AIエージェント「Heylix」やAI-OCRサービス「DX Suite」、AIインフラ「AnyData」「AI inside Cube」を政府機関・地方公共団体・民間企業へ提供し、提供するAIサービスは5万人を超えるユーザに累計66億回以上利用されている。代表取締役社長CEOは渡久地択。
損害保険ジャパン株式会社
出典・参考情報
AI inside、損保ジャパンの火災保険における業務効率化をAIエージェント「Heylix」で支援
発行元:AI inside 株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
