実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
りそなの実務で実証済みのAIをツール化、静岡銀行が住宅ローン提案先を予測
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 顧客リストを手当たり次第に当たっている
- 誰に何を勧めるべきか判断できない
- 提案先の見極めがベテラン頼み
どのようなAIの取り組み?
りそなグループの実務で効果が実証されたAIモデルをソフトウェアに搭載し、住宅ローンなどへの顧客ニーズをスコアで予測できるようにしたAI取り組み
業種
地方銀行(金融)
取り組み領域
個人向け営業/金融商品の提案
使ったAI
顧客ニーズ予測AI(銀行業務支援ツール「Data Ignition」)
主な成果
ニーズの高い顧客を絞り込む営業への転換を見込む
りそなホールディングス、りそな銀行、ブレインパッドの3社は、AIを活用した銀行業務支援ツール「Data Ignition」を共同開発し、その第一弾の提供先として静岡銀行へ届けました。このツールは、必要なデータをAIに読み込ませると、住宅ローンや積立投資信託といった金融商品について、顧客一人ひとりのニーズの高さをスコアとして予測します。中身に組み込まれているのは、りそなグループが自社の実務のなかで活用効果を確かめてきたAIモデルそのもので、利用する銀行の側は複雑な設定や開発を経ることなく、導入後すぐに予測データを営業活動へ回せる形になっています。りそなグループは今後、連結子会社のFinBASEを通じて、地域金融機関向けの展開を広げていく方針です。
出典:AIを活用した銀行業務支援ツール「Data Ignition」の提供開始について|ニュースリリース|りそなホールディングス 発行元:りそなホールディングス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
静岡銀行が向き合っていたのは、デジタル技術やデータを使って付加価値の高い営業へ切り替えたいという要請と、膨大な顧客データから一人ひとりのニーズを読み取り、ちょうどよいタイミングで商品を提案することの難しさでした。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は、データが足りないことではなく、手元にあるデータを「次に誰へ何を提案すべきか」という判断へ翻訳する型を自前で用意しきれない点にあったのではないでしょうか。予測モデルを一から作るとなれば、設計と学習と検証を往復しながら精度が実用に届くかを確かめる長い工程が必要になり、それが終わるまで営業の現場は従来のやり方を続けるほかありません。地域金融機関にとって重かったのは、データの保有量ではなく、確からしい予測にたどり着くまでの距離だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
りそなグループの実務ですでに活用効果が実証されたAIモデルを、そのままソフトウェアに搭載するという設計が、この取り組みの中核にあります。AI活用でつまずきやすいのは、作ってみたモデルが期待した精度に届くかどうかが、動かしてみるまで分からないところです。実務で回してきたモデルを持ち込む形にすれば、その不確実性は提供する側があらかじめ引き受けたことになり、受け取る側は精度を確かめる工程を飛ばして使い始められます。導入の判断を「効果が出るかどうか」から「自社の業務に合うかどうか」へ寄せられた点が効いていると読めます。
複雑な設定や開発を不要にし、必要なデータを読み込ませるだけで予測が返る形に入り口を絞り込んだことも、実装のハードルを下げる方向に働いています。何でもできる汎用の分析基盤として作れば応用範囲は広がりますが、そのぶん学習や設定の設計を利用側が背負うことになります。用途を住宅ローンや積立投資信託といった商品のニーズ予測に限定した判断は、使い始めるまでの距離を短くする側にはっきり振れた選択でした。
出力を、顧客ごとのニーズの高さを表すスコアという形にそろえた点も見逃せません。予測結果を順位づけできる数値で返せば、営業担当者は「今日はどの顧客から連絡するか」という日々の判断にそのまま接続できます。分析の成果物を現場の行動へ変換する部分はAI活用が空回りしやすい難所であり、そこを出力形式の設計で埋めにいったやり方と言えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公表されているのは確定した実績値ではなく、これから見込まれる変化のほうです。ニーズの高い顧客を的確に抽出し、優先度の高い先からアプローチできるようになるとされており、手当たり次第の営業から抜け出す道筋が示されています。静岡銀行はこのツールの活用をグループ一体での高付加価値営業の実践に位置づけており、りそなグループ側もFinBASEを通じて地域金融機関への機能・サービス展開を加速させる構えです。
うちでも使える?
この事例からは、二つの型が取り出せます。一つは、自社の実務で効果を確かめたモデルを他社でも動く形にまとめて外へ出す、提供する側の型。もう一つは、外から来た予測を自社の営業判断に組み込む、受け取る側の型です。前者は、似た業務を似たデータ構造で回している同業が複数いる領域、たとえば小売の需要予測や不動産の物件提案などであれば、検討の余地があります。
受け取る側として難しくなるのは、予測に使う顧客データの項目や粒度がツールの想定と食い違う場合、そしてスコアを見る人と実際に顧客へ連絡する人が分かれていて、順位づけが日々の行動につながらない場合です。スコアは高い順に並べただけでは力を持ちません。誰がいつ確認し、上位の何件にどう当たるかまで決まって、ようやく機能します。まず試すなら、直近に提案した案件をいくつか取り上げ、その相手を選んだ理由が担当者の記憶によるものか、記録に残るデータによるものかを見比べてみてはいかがでしょうか。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社りそなホールディングス
東証プライム市場上場(証券コード8308)の企業。社長は南昌宏。株式会社りそな銀行を擁するりそなグループの持株会社で、2022年2月に株式会社ブレインパッドと資本業務提携契約を締結し、「データを起点とした新たなサービスの開発」「地域金融機関などへのデータ活用サービスの提供」に取り組む。連結子会社のFinBASE株式会社を通じて、りそなグループや革新的なテクノロジーを有する企業の機能・サービスと利用企業をAPIで繋ぐ金融デジタルプラットフォームを提供している。
株式会社静岡銀行
出典・参考情報
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