実施 2023.08 ・ 更新 2026.08.17
三菱UFJ銀行、自治体の帳票入力をAI-OCRで自動化し年400時間削減の見込み
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 紙の書類の入力に時間を取られている
- 書式がバラバラな書類の処理が大変
- 入力後の目視チェックの負担が重い
どのようなAIの取り組み?
全国の自治体から届く税の通知書について、書式の異なる帳票を読み取るAI-OCRと住所マスターの連携で入力と所在地コード付与を自動化し、年間約400時間の削減を見込むAI取り組み
業種
銀行業(金融)
取り組み領域
税務関連書類の入力・確認業務
使ったAI
AI-OCR(ABBYY FlexiCapture/文字読み取りAI)
主な成果
年間約400時間の業務時間削減を見込む
三菱UFJ銀行では、全国の自治体から届く固定資産税や償却資産税の通知書を、毎年4月から6月にかけて手作業で専用システムへ入力し、紙と画面を見比べる再鑑まで行っていました。対象は通知書で約600通、課税明細書を含めると約2,000件に上ります。この業務に対し、TOPPANエッジが非定型の帳票に対応するAI-OCR「ABBYY FlexiCapture」を導入。自治体ごとに異なる約400種類の帳票パターンを、通知書と明細書の組み合わせから共通のひな型へ整理して156パターンに集約し、罫線や地紋との重なり、スキャナーで読み取りにくい色の帳票に対する調整を加えました。行内の住所マスターを組み込み、読み取った住所から所在地コードを自動で出力する機能も開発されています。
出典:【会談記事】自治体ごとに異なる帳票も高い読み取り精度でデジタル化。事務作業の負担を大幅に削減するAI-OCRソリューション|TOPPAN Edge 発行元:TOPPANエッジ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
毎年4月から6月という限られた期間に、約600通の通知書と、明細書まで数えれば約2,000件の書類が全国の自治体から届きます。担当者はそれを専用システムへ打ち込み、さらに紙と突き合わせて再鑑し、所在地コードについては目視で確認したマスターの値を書き足していました。通常業務と並行して回すには、明らかに重すぎる負荷です。
編集部の見立てでは、この困りごとの芯にあったのは件数の多さそのものではなく、書式を決める権限が送り手の側にあるという構造でしょう。自治体ごとに様式が違う以上、受け取る側がどれだけ手順を整えても標準化できる余地は乏しく、形式の差を人が吸収するしかありません。しかもその負荷は年間に均されず、特定の数か月へ一気に集中します。
どうやって、うまくいったのか
約400種類ある帳票パターンをそのまま一つずつ定義しにいかず、通知書と明細書の組み合わせを分析して156パターンのひな型へ束ねた設計が、この取り組みの起点にあります。非定型帳票に強いAI-OCRであっても、定義の数はそのまま開発工数と保守対象の量になります。似た構造を持つ帳票を見つけて型を共有させる整理は、コストを抑えるだけでなく、一つの型に読み取りの実績が集まるぶん精度を安定させる方向にも効いたと考えられます。
読み取りを阻む要因を、AIの認識力の問題ではなく紙という媒体の物理的な条件として切り分けた調整も見逃せません。罫線や地紋に文字が重なる箇所ではしきい値を動かし、スキャナーが拾いにくいピンク系のドロップアウトカラーが使われた帳票では、文字を探させるのではなく座標値で位置を指定してデータを抜き出す。汎用の認識精度を一律に引き上げようとせず、崩れる条件ごとに別の手を当てるという分業が、実務で使える水準へ届かせたのではないでしょうか。
自動化の範囲を読み取りで止めず、行内の住所マスターをアプリケーションへ組み込んで所在地コードの出力まで含めた点も、設計判断として重要です。読み取った住所に該当するコードを自動で当てる仕組みは、目視でマスターを引いて補記するという、AI-OCR単体では取り残されてしまう手作業を消しています。前後の工程まで見て自動化の線を引き直したことが、担当者の仕事を「入力」から「確認」へ質的に置き換える要因になったと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
大量の帳票を一度に処理しても高い精度で読み込めるようになり、納税通知書についてはほとんど誤りが見受けられない水準に達しています。入力の工程自体がなくなり、確認は一つの画面上で完結するため、紙と画面を見比べる負担も大きく軽くなりました。所在地コードの自動出力まで実装できたことで、理論上は年間約400時間の業務時間削減が見込まれる段階です。現場からは繁忙期の処理が滞りなく進むことへの期待が寄せられており、連続スキャナーの導入など次の効率化も視野に入っています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、取引先や行政機関など送り手側が書式を決めている書類を、定期的にまとまった量で受け取っている業務です。種類が多くても、よく見れば同じ構造の組み合わせで説明できるなら、この事例のように型を束ねる余地があります。反対に、届く書類が毎回一点物で共通項を見つけにくい場合や、記載内容の読み替えに担当者の判断が入る書類では、読み取りを自動化しても確認の工程がそのまま残り、効果は限定的になりやすいでしょう。読み取った値を突き合わせる社内マスターが整備されているかどうかも、どこまで手作業を消せるかを左右します。
まず試すなら、手元にたまっている数十枚の書類を並べ、どれとどれが同じ型として処理できそうかを見比べてみてはいかがでしょうか。パターンがいくつに収まりそうかが見えた時点で、自動化の現実味はかなりの精度で判断できるはずです。
この事例は2023年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
TOPPANエッジ株式会社(現TOPPAN)
AI技術により非定型・準定型帳票にも対応するOCRソリューション「FlexiCaptureシリーズ」などのAI-OCRソリューションを提供する企業。営業統括本部や事業推進統括本部DXビジネス本部BPM推進部を擁し、帳票のデータ化や業務効率化の提案・開発を行う。
株式会社三菱UFJ銀行
出典・参考情報
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