実施 2023.04 ・ 更新 2026.08.17
KDDI、社員7割が生成AIを業務活用 全社浸透を支えた二軸の進め方
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを社内でどう使うか分からない
- 一部の社員しかAIを触っていない
- 研修をしても業務に定着しない
どのようなAIの取り組み?
安全な社内版の対話型AIの全社開放と研修・社内コンテストを組み合わせ、社員の7割以上が業務で生成AIを使う状態まで広げたAI取り組み
業種
通信事業(情報通信・ITサービス)
取り組み領域
全社の業務効率化/社員のAI活用推進
使ったAI
生成AI(社内版の対話型AI「KDDI AI-Chat」)
主な成果
全社員の7割以上が業務で生成AIを活用
KDDIは、2022年後半からの対話型AIの急速な広がりを受け、グループ全体のAI導入とデータ利活用を担うData&AIセンターを起点に、部門をまたぐバーチャル組織「KDDI Gen.AI CoE(KGA)」を立ち上げました。進め方は二方向に分かれています。ひとつは各部門の本部長クラスをプロジェクトオーナーに据え、バックオフィスやCS部門の既存システムと生成AIをつなぎ、業務工数をどこまで減らせるかを実証実験で検証する流れ。もうひとつは、万全なセキュリティを施した社内版の対話型AI「KDDI AI-Chat」をグループ社員約1万人に開放し、日常の仕事のなかで自由に試せる環境を整える流れです。あわせて、全社員向けのプロンプト研修、社内大学「KDDI DX University」での専門研修、社員が業務効率化のアイデアを競う社内コンテストも行われています。
出典:KDDIが実践する「生成AI活用」の現在地と未来 ビジネス展開を見据え、社内プロジェクトを推進|be CONNECTED.|法人のお客さま|KDDI株式会社 発行元:KDDI株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、特定の業務が回らないという個別の不調ではなく、生成AIが一部の専門家の道具から誰もが使える道具へ変わったことへの危機感でした。この波に乗り遅れないよう、まず社内で実証実験を重ねて知見とノウハウを蓄え、将来的には法人顧客向けのソリューションにつなげる道筋が描かれています。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な課題は「どのツールを選ぶか」ではなく、約1万人規模の組織のなかで、AIを使いこなす人と一度も触れない人の差が固定化してしまうことだったのではないでしょうか。通信事業者にとって生成AIは自社の商材にも直結します。社内で使い込んだ経験がないまま顧客に提案する状態こそ、避けたかったリスクだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
トップダウンとボトムアップを同時に走らせた進め方が、この取り組みの骨格になっています。本部長クラスをプロジェクトオーナーに任命したトップダウン側は、バックオフィスやCS部門の既存システムとの連携という、現場の一存では手を付けられない領域を扱います。対するボトムアップ側は、社員が自分の手元の仕事にAIを当てる余地を開く役割を担う。片側だけでは、号令が現場に届かないか、現場の工夫が基幹業務まで上がらないかのどちらかに落ちやすく、二軸の配置はその両方をふさぐ形になっていると読めます。
約1万人が自由に使える社内版の対話型AIを先に用意した判断も効いていると考えられます。生成AIの社内展開でつまずきやすいのは、情報漏えいへの懸念から利用そのものを禁じ、結果として誰も慣れないまま時間だけが過ぎる状態です。セキュリティを固めた自社環境を整えるやり方は、「使わせない」ではなく「安全に使わせる」側へ振ることで、社員一人あたりの試行回数を増やす設計になっています。
研修と社内コンテストを組み合わせた育て方は、活用アイデアの発掘を現場に委ねる仕組みとして働いています。全社員向けのプロンプト研修で入口の操作をそろえ、社内大学の専門研修で深めたい人の受け皿を作り、コンテストで実際の使い道を競わせる。面接の日程調整や、ペルソナを設定したアイデア出しといった用途は、どの部署にどんな手間があるかを知る当人からしか出てこないもので、推進組織が使い方を考えて配る形では拾いきれない部分です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
全社員の7割以上が業務で生成AIを活用するようになり、1日がかりだったプログラミング作業が2〜3時間に縮まる、自由記述アンケートの集計が効率化されるといった具体例が出ています。社内で効果が確認されたプロンプトをテンプレート化し、専用回線とセットにした安全な環境として、法人顧客向けの生成AIサービスの提供も始まりました。電話の音声データをテキスト化して要約する機能など、既存の通信サービスへの組み込みは現在も進行中で、ROI(投資対効果)の見極めやAIに任せる業務範囲の線引きは今後の論点として残されています。
うちでも使える?
持ち帰りやすいのは、二軸を並べるという考え方そのものです。全社員が触れる安全な環境づくりと、基幹業務への組み込み検証は、目的も進む速度も別物なので、片方の停滞をもう片方の言い訳にしない形で分けて置く。この構図は数十人規模の会社でも成立します。
一方、そのまま真似しにくい部分もあります。約1万人分の自社環境の整備、社内大学での専門研修、推進を担う専任の組織を置くことは、相応の体力を前提とした打ち手です。既存システムとの連携検証も、KDDI自身が今後の課題としてROIの見極めを挙げているとおり、投資に見合うかどうかの判断が難しく、費用対効果が読めないまま着手すると途中で止まりやすい領域といえます。小さな組織であれば、まず基幹システムには触れず、業務で使ってよいAIツールと入力してはいけない情報の線引きを一枚にまとめ、全員が同じ前提で試せる状態を作るところから。うまくいった使い方を持ち寄る場を月に一度でも設ければ、社内コンテストに近い循環は小さく再現できます。
この事例は2023年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDI株式会社
通信事業者。経営戦略本部 Data&AIセンターがKDDIグループ全体のAI導入・データ利活用を推進し、バーチャル組織「KDDI Gen.AI CoE(KGA)」を設置して生成AIの社内利活用プロジェクトを推進。社内版ChatGPT「KDDI AI-Chat」を開発してグループ約1万人の社員に提供するとともに、ソリューション推進本部を通じて法人顧客向けの生成AIソリューションを提供している。
出典・参考情報
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