実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.17
地方銀行が生成AIで融資稟議書の作成時間95%削減、開発期間は約2カ月
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 書類の作成に時間を取られている
- 決まった様式の文書作成が多い
- 生成AIを安全に業務で使いたい
どのようなAIの取り組み?
実証済みの生成AI資産を土台に、融資稟議書の作成アプリケーションを約2カ月で仕上げた銀行の取り組み
業種
銀行業(金融)
取り組み領域
融資業務/稟議書の作成
使ったAI
生成AI(Azure OpenAI Service)
主な成果
融資稟議書の作成時間を95%削減
宮崎銀行は、中期経営計画で掲げた労働生産性の向上に向けて、行員が手作業で進めていた融資稟議書の作成に生成AIを取り入れました。開発は日本アイ・ビー・エムの支援を受けた共同開発の形をとり、同行向けに新しく構築したクラウド基盤の上でアプリケーションを動かし、マイクロソフトのAzure OpenAI Serviceと接続する構成が採られています。ゼロから設計するのではなく、日本IBMが実証を済ませていた生成AIのアセットを持ち込んだことで、設計にかかる手間と費用が抑えられ、約2カ月で業務に使えるアプリケーションが完成しました。2024年4月には一部の店舗で本番利用が始まり、稟議書作成にかかる作業時間の大幅な短縮につながっています。
出典:宮崎銀行と日本IBM、融資業務における生成AIの活用を開始し、融資稟議書の作成時間を95%削減 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース 発行元:日本アイ・ビー・エム株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
融資稟議書は、行員が一件ずつ手作業でまとめる書類でした。中期経営計画では収益力の強化につながる労働生産性の向上が掲げられていた一方、現場ではその書類づくりに多大な時間が費やされていた、というのが出発点です。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「書類が多い」という量の話にとどまりません。稟議書は、審査に必要な材料を決まった様式に整えて並べる文書であり、書き手の判断が表れる部分と、既にどこかにある情報を写して埋める部分が混ざります。後者に相当な時間が吸われていたとすれば、行員の目利きが最も要る部分に時間を配分できていなかったことになります。経営計画に掲げた生産性向上が、日々の書類仕事によって足止めされていた構図ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
日本IBMがすでに実証を終えていた生成AIのアセットをそのまま持ち込む開発方針が、この取り組みの起点にあります。銀行の書類業務に生成AIを当てるとなれば、通常は要件の詰めから作り込むことになりますが、動作の確かめられた部品を土台に据えれば、議論は「何を作るか」ではなく「自行の稟議書にどう合わせるか」へ絞り込まれます。約2カ月という開発期間は、その絞り込みが生んだ結果として説明でき、費用を抑えられた点も同じ判断から派生した効果と考えられます。
アプリケーションは同行向けに新設したクラウド基盤へ載せ、生成AIの処理は外部のAzure OpenAI Serviceから呼び出す。この二層に分けた構成は、銀行が譲れない管理面の要件と、進化の速いAIモデルの利用とを、別々に扱えるようにする設計です。自前で抱え込む範囲を基盤側に限定したことが、短期間での立ち上げと実業務での利用を両立させたのでしょう。
全店へ一斉に広げず、一部の店舗での本番利用から着手した進め方も見逃せません。稟議書の下書きは精度が足りなければ書き直しに戻る性質の作業ですから、限られた範囲で実際の案件に当てながら精度を詰め、サブシステムからのデータ連携を後から整えていく順番には合理性があります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年4月から一部の店舗で本番利用が始まり、これまで行員が手作業で行っていた融資稟議書の作成時間は95%削減されています。今後は全店での運用開始に向けて、アプリケーションの精度向上とサブシステムからのデータ連携が進められ、融資以外の銀行業務へ生成AIの適用を広げる方針も示されています。95%という数字は一部店舗での実績であり、扱う案件の幅が広がる全店展開でも同じ水準を保てるかどうかは、これからの精度向上にかかっている部分と言えます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、書く内容の型が組織として定まっていて、載せる情報の出どころもはっきりしている書類業務です。稟議書のように何を書くべきかが様式として共有されていれば、AIの下書きが的を外したときに、どこがどう違うのかを人がその場で判断できます。逆に、様式が担当者ごとにばらばらだったり、判断の根拠が文書に残らず口頭でやりとりされている業務では、下書きの良し悪しを測る基準そのものがないため、同じような時間短縮は見込みにくいところです。
もう一つの前提は土台側にあります。この事例でも専用のクラウド基盤の新設と外部AIサービスとの接続が組み合わされ、全店展開に向けてはサブシステムとのデータ連携がこれからの課題として残されています。社内システムから必要な情報を取り出せる状態になければ、書類の骨格をAIに任せる段階までは届きません。まずは自社で最も本数の多い書類を一つ手元に置き、その一枚の中で既存データの転記で埋まる欄と、人の判断を書く欄がどのくらいの比率になっているかを、実物に線を引いて確かめてみてはいかがでしょうか。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本アイ・ビー・エム株式会社
業種は情報通信。代表取締役社長は山口明夫、資本金1053億円、未上場。銀行業務とシステム・アーキテクチャー、ハイブリッドクラウドの知見をもとに、AI技術を活用したアプリ開発やインフラ構築、コンサルティング、プロジェクト全体管理を提供している。
株式会社宮崎銀行
出典・参考情報
宮崎銀行と日本IBM、融資業務における生成AIの活用を開始し、融資稟議書の作成時間を95%削減 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース
発行元:日本アイ・ビー・エム株式会社
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