実施 2023.10 ・ 更新 2026.08.17
20言語対応の生成AIで観光案内が1日450件に、大阪の分散誘導の設計
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 外国語の問い合わせに人手が足りない
- 案内できる情報が多すぎて活かせない
- 特定の場所にだけ人が集中する
どのようなAIの取り組み?
20言語以上で応答する生成AIチャットボットを公式観光サイトに載せ、無人での多言語案内と訪問先の分散を狙ったAI取り組み
業種
観光情報サイト運営(観光・サービス)
取り組み領域
観光案内/旅行者からの問い合わせ対応
使ったAI
生成AIチャットボット「Kotozna laMondo」(ChatGPT活用)
主な成果
利用が1日100件未満から1日450件へ増加
大阪の公式観光情報サイト「osaka-info」に、20言語以上で応答できる生成AIチャットボット「Kotozna laMondo」が搭載されました。開発はKotozna株式会社と株式会社JTBの共創によるもので、OpenAIのChatGPTを基盤に、旅行者が自分の言葉で尋ねた質問へ自然な文章で返す仕組みが組まれています。狙いは二つあり、ひとつは急増する訪日外国人への言語対応、もうひとつは、サイトに登録された700を超えるスポットのうち一部の人気地点に人が偏るオーバーツーリズムの緩和です。開発の過程では、複数のエンジニアチームによる技術研究に加えて大阪観光案内所での実証実験が繰り返され、誤った情報を出さないための対策と、一度に扱える文字数の上限という制約への対処が詰められました。
出典:日本初!生成系AIチャットボットで、多言語おもてなし観光案内|デジ田メニューブック|デジタル田園都市国家構想 発行元:デジタル田園都市国家構想
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
現場が抱えていたのは、増え続ける訪日外国人にどう言語を合わせるかという問題でした。それと並んで、サイトには700を超える観光スポットが載っているにもかかわらず、人の流れは一部の有名な場所に集中し、オーバーツーリズムが起きているという状況もありました。
この二つは別々の悩みに見えますが、編集部の見立てでは根がつながっています。掲載数がいくら多くても、旅行者が実際にたどり着けるのは、あらかじめ名前を知っていて、検索しやすく、自分の言語で情報が得られるごく一部にすぎません。つまり困りごとの本質は情報が足りないことではなく、700件という在庫が旅行者の側から引き出せない形で置かれていたことではないでしょうか。人が偏るのは好みの問題である前に、案内の入口が狭かった結果とも読めます。
どうやって、うまくいったのか
大阪観光案内所という実際の窓口を検証の場に選んだことが、この取り組みの土台になっています。生成AIは事前の技術研究だけでは挙動を読み切れず、想定外の聞かれ方や曖昧な言い回しに触れて初めてクセが見えてきます。エンジニアチームによる技術研究と現場での実証実験を往復させた進め方は、仕様を机上で固めてから公開する順序とは逆で、AIの不確かさを設計へ織り込む時間を先に確保したものと言えます。
誤情報を出さないという難所を、AIの性能そのものではなく、参照させる情報の作り方で解いた点も見逃せません。膨大な観光情報をそのまま渡せば、一度に処理できる文字数の上限に突き当たり、回答の精度も落ちます。ここで効いたのが、旅行者の問いに対してどの情報が答えになるのかを判断できる観光業界側の知見であり、何を優先して引かせるかという選別に業務知識が投じられました。技術上の制約を、業務を知る側の判断で埋めた役割分担。
自然な言葉で、しかも20言語以上で受け答えする入口を置いた設計は、訪問先を散らすという目的とも噛み合っています。行き先を指定して探す従来型の検索では、旅行者はすでに知っている地名しか入力できません。条件や気分を言葉で伝えられる窓口であれば、700件を超える側から候補を差し出す余地が生まれます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
従来のチャットボットは1日あたりの利用が100件に満たない状態でしたが、新しいシステムの搭載開始からの3日間で1日450件まで利用が伸びました。無人のまま24時間365日、旅行者それぞれの言語に合わせた対応ができる体制にもなっています。取り組み自体も複数のメディアで紹介され、他の観光局からの問い合わせが寄せられています。利用数の伸びは、これまで問い合わせにまで至らなかった層が案内を使い始めたことの表れと考えられます。
うちでも使える?
相性がよいのは、案内する情報の数が多く、聞き手の言語や事情がばらばらで、それでいて聞かれる内容はある程度パターンに落とせる接点です。自治体の窓口案内や商業施設の多言語フロアガイドは、これに近い構造を持ちます。反対に、参照させる情報が最新の状態に保たれていない場合や、回答の誤りが安全や契約に直結する領域では、この形をそのまま持ち込むのは難しいでしょう。この事例でも、扱える文字数の上限への対処と検索精度の調整という地味な工程に手が割かれており、ここを省けば誤った回答のリスクが残ります。
はじめの一歩としては、自社が案内している情報を、問い合わせで実際に使われているものと、載せてあるだけで一度も引かれていないものに分けてみてはどうでしょうか。眠っている情報の量が大きいほど、この事例の構造は自分ごとになります。
この事例は2023年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Kotozna株式会社
20言語以上に対応する生成系AIチャットボット「Kotozna laMondo」を提供する企業。大阪公式観光情報サイト「osaka-info」にJTBと共創で同チャットボットを導入した。
出典・参考情報
日本初!生成系AIチャットボットで、多言語おもてなし観光案内|デジ田メニューブック|デジタル田園都市国家構想
発行元:デジタル田園都市国家構想
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