実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
荷待ち時間をAIカメラで自動記録、年間300万円の削減を見込む物流倉庫
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- トラックの待機時間が読めない
- 作業実績の手入力が漏れる
- 荷役の時間を数字で把握したい
どのようなAIの取り組み?
AIを搭載したカメラでトラックのナンバープレートを読み取り、荷待ちと荷役の実績記録を自動化したAI取り組み
業種
物流倉庫業(運輸・物流)
取り組み領域
倉庫のトラック受付・荷役管理
使ったAI
AI搭載画像センサー(画像認識)
主な成果
管理工数の削減で年間約300万円のコスト削減を見込む
三井倉庫サプライチェーンソリューションの物流倉庫で、トラックの荷待ちや荷役にかかった時間を自動で記録する仕組みがつくられました。開発を担ったのはソニーセミコンダクタソリューションズ、Hacobu、レスターエレクトロニクスの3社です。AI処理機能を内蔵した画像センサーが構内に入ってくるトラックのナンバープレートを検知・認識し、その情報をトラック予約受付サービス「MOVO Berth」の予約データと突き合わせます。照合を担うのはレスターエレクトロニクスが開発したアプリケーションで、入退場の記録から作業の開始・終了時刻がシステムの画面へ自動で反映されます。千葉県市川市の拠点で実証実験が行われ、8つの荷積み降ろし場(バース)で正式な運用が始まっています。
出典:ソニーセミコンダクタソリューションズ、Hacobu、レスターエレクトロニクス物流倉庫の荷物積み降ろし場での作業効率向上に向け、エッジAI技術を活用したサービスを提供開始~利用実績や作業時間のデータ取得を自動化し、物流2024年問題に向けたドライバーの作業負荷低減に貢献~|ニュースリリース|ソニーセミコンダクタソリューションズグループ 発行元:ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
トラックドライバーの長い荷待ちと荷役の負担は、2024年度から適用される働き方改革関連法を前に、物流業界が正面から向き合わざるを得ないテーマでした。ただ、待機時間を縮めようにも、その前提となる実績の把握は手入力の申告に頼っており、入力忘れや誤りを避けられない状態が続いていました。
ここで見落とせないのは、困りごとの正体がデータの不足ではなく、記録する人と作業する人が同じだったという構造にあったのではないか、という点です。荷物を捌いている最中に時刻を打ち込む行為は、どうしても本来業務の後回しになります。現場が立て込むほど記録が粗くなる——改善のために最も知りたい繁忙時のデータほど当てにならないという逆転が、静かに起きていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
認識の対象をナンバープレートという一点に絞った設計が、この仕組みの土台になっています。トラックは必ずナンバーを掲げて構内へ入ってくるため、ドライバーにも庫内の作業者にも操作を一切求めないまま、どの車両が来たのかを特定できます。記録漏れという課題を「入力を徹底させる」方向ではなく「入力そのものをなくす」方向で解いた判断が、ここに表れています。
読み取ったナンバーを、Hacobuのトラック予約受付サービス「MOVO Berth」が持つ予約情報と照合する構成も要点のひとつです。カメラが捉えるのは「その車両が来た」という事実だけで、それが誰のどの予約に当たり、何の作業を意味するのかは、予約側の情報と結び付いて初めて確定します。判定を担うアプリケーションをレスターエレクトロニクスが、AI処理機能搭載のインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」とエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」をソニーセミコンダクタソリューションズが、予約受付の基盤をHacobuが受け持つ分担も、この構成に対応しています。認識精度の高さそのものよりも、既存の業務システムのどこに接続すれば数字が実績データとして成立するかを見極めた設計だと言えるでしょう。
機器側で処理を済ませ、メタデータだけを送り出す構成も見逃せません。映像そのものを流さずに済むため伝送データ量が抑えられ、常時動かし続ける設備でありながら運用の負担が膨らみにくくなります。実証で終わらせず日々の業務に乗せるという観点では、この地味な選択が効いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
千葉県市川市の拠点での実証実験を経て、8つのバースで正式にサービスが導入されました。積み降ろしにかかった時間が手入力を介さず正確に取得できるようになり、記入漏れや打ち間違いがなくなったほか、予約が入っていない車両についてもログとして実績が残ります。集まったデータはドライバーの待機時間の削減、庫内作業の準備、人員配置の最適化といった業務プロセスの見直しに使われており、手作業による管理工数が減ることで年間約300万円程度のコスト削減が見込まれています。
うちでも使える?
応用できるかどうかを分けるのは、「外から見える識別子」と「突き合わせる相手」が揃っているかです。車両のナンバーのように、対象が必ず携えていて離れた位置からでも読み取れる符号があること。そしてその符号に意味を与える予約台帳や作業指示のデータが、すでにシステム上に存在すること。工場の資材搬入口や商業施設の納品ゲート、建設現場の車両管理など、この2つが揃う現場であれば同じ発想を乗せやすいはずです。
反対に、照合先となる予定情報が紙や口頭のままだと、通過時刻のログは残っても「何の作業だったのか」と結び付かず、実績データにはなりません。屋外に据えるカメラは天候や日照、夜間の照明条件によって読み取りの安定性が変わるため、設置角度や逆光の影響を確かめないまま本番に進むと、精度の低下がそのままデータの欠損として跳ね返ります。
試すなら、直近1週間分の手入力の実績と、予約や伝票に残る時刻を並べて突き合わせてみてはどうでしょうか。そこに現れたズレの大きさが、自動記録に踏み出す価値を測る最も分かりやすい物差しになります。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
イメージセンサーやエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」、LSI/IC/モジュール、マイクロディスプレイ、レーザーダイオードなどを提供する半導体企業。代表取締役社長 兼 CEOは清水照士。
三井倉庫サプライチェーンソリューション株式会社
出典・参考情報
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