実施 2022.10 ・ 更新 2026.08.17
温度管理商品の配送でトラック約1割削減、ファミリーマートの自社開発AI
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ドライバー不足で配送が回らない
- 配車計画がベテランの経験頼み
- 車両を減らしてCO2も抑えたい
どのようなAIの取り組み?
各店舗への配送ルートを計算するAIシミュレーターを自社開発し、定温センターの配送コース数とトラック稼働台数を約1割減らしたAI取り組み
業種
コンビニエンスストア(小売)
取り組み領域
店舗への配送ルート設計・配車計画
使ったAI
自社開発のAI配送シミュレーター(経路最適化AI)
主な成果
定温センターの配送コース数・トラック稼働台数をそれぞれ約1割削減
全国に店舗網を持つファミリーマートが、各店舗への配送ルートをAIに計算させる配送シミュレーターを自社で開発し、実際の配車計画に適用した取り組みです。まず2022年10月に全国の定温センターで本格稼働させ、翌2023年10月からは冷凍配送にも同じ仕組みを広げて、全国の拠点へ順次展開しています。2024年の春夏以降には常温配送への導入も計画されており、温度帯を単位として適用範囲を段階的に押し広げる進め方が取られました。背景にあったのは、ドライバー不足が深刻化するいわゆる2024年問題への対応と、CO2排出量の削減という二つの要請です。
出典:ドライバー不足やCO2排出量削減など、物流課題への対応 ファミリーマート×ローソン、初の共同輸送 4月11日(木)から、東北地方の物流拠点間において開始|ニュースリリース|ファミリーマート 発行元:株式会社ファミリーマート
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ファミリーマートが直面していたのは、ドライバー不足によって、全国の店舗へ商品を届け続ける体制そのものが揺らぎかねないという状況でした。あわせてCO2排出量の削減という環境面の要請もあり、走る量を増やして乗り切るという選択肢は、初めから取りにくい構造にあります。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「人が足りない」という数の問題ではなく、自社で動かせる変数がごく限られていた点にあります。ドライバーの数も燃料の使われ方も、外部環境に左右されて自社の努力だけでは増減させにくい。そのなかで唯一、自社の意思で組み替えられるのが「どの店にどう回るか」という走らせ方の設計でした。人を増やして解く問題を、走り方を変えて解く問題へ置き換えたところに、この取り組みの出発点があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
配送ルートを計算する仕組みを既製品で調達せず、自社開発を選んだ判断がこの取り組みの土台になっています。コンビニの配送は、店舗ごとの納品時間帯、センターがカバーする配送圏、温度帯によって変わる車両の使い方といった制約が幾重にも重なり、そのままでは汎用の最適化ツールに載せにくい領域です。自社で作るという選択は、こうした自社の物流網に固有の条件を、計算のルールそのものへ書き込めることを意味します。裏を返せば、現場の配送条件をどこまで正確にデータとして表現できるかが精度を左右するため、内製はその作り込みを自分たちの手で回し続けられる体制を選んだ判断とも読めます。
適用範囲を温度帯という単位で切り、定温から冷凍、そして常温へと順に広げていく進め方も効いています。物流の仕組みを一度に全面刷新すれば、想定外の挙動が出たときに店舗への供給そのものが止まりかねません。温度帯ごとに区切れば、影響範囲を限定したまま検証でき、先に稼働させた領域で得た調整の勘所を次の領域へ持ち込めます。全国の拠点へ順次拡大するという広げ方も同じ発想の上にあり、一気に置き換えるのではなく、動かしながら適用先を増やす設計です。
効率化の物差しを配送コース数と稼働台数という現場の単位に置いたことも見逃せません。経路最適化は走行距離や所要時間といった計算上の数値で語られがちですが、それらが縮んでも車両とドライバーの手配が変わらなければ、現場の負担も環境負荷も動かないままです。ルートをコース単位で束ね直し、台数に跳ね返る形にしたからこそ、計算結果が配車計画という実務の言葉へ翻訳されたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
定温センターでは、配送コース数とトラックの稼働台数がそれぞれ約1割減りました。走らせる車両が減れば、確保しなければならないドライバーも、そこから出るCO2も同時に小さくなります。ドライバー不足への対応と環境負荷の低減という、別々に見える二つの課題へ同じ一つの施策で届いた点が、この成果の意味だと考えられます。なお常温配送への展開は今後の予定であり、そこでの効率化はこれからの段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、決まった届け先へ繰り返し配送している事業です。多店舗を展開する小売や、取引先を定期的に回る運送・卸のように同じ経路を何度も走る業務であれば、一度組み直したルートの効果が毎日積み上がります。判断の分かれ目は、納品時間の指定、積める量の上限、車両の温度帯といった条件を、担当者の頭の中からデータとして取り出せるかどうか。ここが曖昧なままAIに計算させても、現場が実行できない机上のルートが出てくるだけになります。
逆に、届け先も物量もその都度変わるスポット配送や、荷主との細かなやり取りで積み込み順が決まるような業務では、同じ形での応用は難しくなります。手をつけるなら、直近1か月の配送記録を持ち出して、同じ方面へ1日に何台走っているかを日付ごとに並べてみるところから。台数が重なっている日が見つかれば、それが自社にとっての最適化余地の大きさです。
この事例は2022年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ファミリーマート
全国に店舗網を持つコンビニエンスストア「ファミリーマート」を運営。代表取締役社長は細見研介。物流2024年問題に対し、AIを活用した配送シミュレーターの自社開発や他社との共同輸送など、配送効率化・CO2排出量削減の取り組みを進めている。
出典・参考情報
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