実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.17
AIの収穫予測で規格外野菜と飲食店をつなぎ、畑の食品ロスゼロへ
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 規格外品を毎回捨てている
- 収穫量の見込みが立たない
- 余りそうな分の売り先がない
どのようなAIの取り組み?
AIの収穫予測と地域の飲食店とのマッチングにより、農場で出る規格外野菜を捨てずに使い切ったAI取り組み
業種
農園運営・野菜栽培(農業)
取り組み領域
収穫計画/規格外野菜の販路づくり
使ったAI
収穫量・収穫日を予測するAI(農作物マッチング基盤)
主な成果
農場での畑の食品ロスゼロを達成
株式会社タカミヤが運営する農場「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」では、栽培の過程でどうしても出てしまう規格外野菜の使い道が定まらず、畑の中で行き場を失っていました。そこで、農作物プラットフォームを手がける株式会社Kukulcanと組み、需要と供給を結び付ける仕組みを立ち上げます。農園が入力する情報をもとにAIが収穫量と収穫予定日を予測し、想定より多く採れそうな作物や規格外になる野菜の情報を、収穫を迎える前の段階で食品事業者へ届ける流れです。マッチングをシステム上で終わらせず、浅草地域の飲食店や異業種の店舗を巻き込み、配送拠点の確保や規格外野菜を使ったメニューの提供まで含む地域ぐるみのエコシステムへ広げました。
出典:「野菜廃棄ゼロ農場」でサスティナブルな農業改革を! AIによる「畑の食品ロス」ゼロ宣言! | 株式会社Kukulcanのプレスリリース 発行元:株式会社Kukulcan
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
農場で生まれる規格外野菜は、味や品質そのものに問題がなくても出荷の基準から外れてしまい、そのまま畑に残されます。TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARKでも、この扱いに答えが出ないままでした。しかも、摘果された野菜のように畑の段階で失われる分は、日本の食品ロスの定義に含まれていません。
編集部の見立てでは、ここでの本質は「捨てる量が多い」ことではなく、捨てられる作物の存在が畑の外へ伝わる経路を持たなかったことにあります。統計に数えられていない以上、削減目標も対策の予算も立てにくく、現場が問題意識を持っていても社内外で共有できる形になりません。数えられていないものは、動かしようがない。
どうやって、うまくいったのか
予測を収穫後ではなく収穫前の情報として使った設計が、この仕組みの起点になっています。農園が日々入力する情報をもとに、AIが収穫量と収穫予定日を割り出し、想定より多く採れそうな作物や規格外になりそうな野菜を、収穫を迎える前に食品事業者へ知らせます。余った作物の引き取り先を後から探すのではなく、まだ畑にある段階で需要を先に押さえる順番へ組み替えたことが効いていると考えられます。
農作物プラットフォームという共通の受け皿を挟んだ点も見逃せません。株式会社Kukulcanが開発したこの基盤が需要と供給を突き合わせる役割を担い、農場側は栽培と情報の入力に、事業者側は使い道の判断に専念できる分担ができています。一対一の交渉で毎回条件を詰める形では、少量で不定期にしか出てこない規格外品ほど話がまとまりません。予測という揺れのある情報を、受け手がその場で判断できる形に整えて流す経路を用意したことが、取引を回す条件だったのではないでしょうか。
画面上のマッチングで完結させなかった運び方も、この取り組みを支えています。浅草地域の飲食店や異業種の店舗と手を結び、配送拠点を確保し、規格外の野菜を使ったメニューを店頭に出すところまで地域内でつなぐ形が作られました。作物は情報と違って運ばなければ届かず、鮮度の制約も抱えているため、受け渡しの動線が組めなければ成立の通知だけが空回りします。連携先を近い地域に絞った判断が、その物理的な弱点を現実に扱える距離へ収めたと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
予測とマッチングが回り始めたことで、これまで捨てられていた規格外野菜にはすべて使い道が付き、TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARKでの畑の食品ロスはゼロになりました。規格外のミニトマトやイチゴは地域のレストランやカフェへ渡り、フレンチの食材やスイーツとして新たな付加価値を持つ素材に変わっています。飲食店からは酸味と甘みのバランスを評価する声や、背景のある食材だと受け止める声が寄せられ、SNSでも反響が生まれました。手をかけた野菜に値が付くことは、生産者側の意欲にもつながっています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、出てくる時期と量がある程度読める余りものを抱えていて、なおかつ受け取り手が近くにいる場合です。食品製造の工程で生じる規格外品や、アパレルの余剰在庫のように、状態は悪くないのに既存の販路に乗らない品目は、これと近い構造を持っています。鍵になるのは、余ってから引き取り先を探すのではなく、余りそうだと分かった時点で先に知らせられるかどうかでしょう。
一方で、そのまま持ち込みにくい条件もあります。予測の精度は農園側が日々入力する情報に支えられており、現場の記録が続かなければ知らせる中身が痩せていきます。均質な規格と安定した数量を前提とする取引先しか持たない場合や、受け渡しを担う拠点が遠く配送の手間が見合わない場合も、同じ形での成立は難しくなります。まずは来月出そうな余剰品を一つ決めて、付き合いのある近隣の一社へ「この時期にこれくらい出そうです」と早めに伝えてみる。返ってくる反応から、需要側が事前の情報を欲しがっているかどうかが見えてきます。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Kukulcan
農作物プラットフォームの構築を事業内容とする企業。代表取締役社長はホンリナ、資本金1050万円。農園の情報を迅速に把握するシステムを開発し、AIによる収穫量・収穫予定日の予測と食品事業者とのマッチングにより「畑の食品ロス」削減に取り組む。
株式会社タカミヤ
出典・参考情報
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